2010年9月1日水曜日

LX3ケース再設計、また続き

昨日、本切りの刃型が出来上がって来ましたので、本日は荒裁ち用の刃型の製作となります。これは寸法はだいたい合っていればよいという簡単なものですので、自分で曲げます。

まず設計



本切り刃型よりも一回り大きめに荒裁ち用のデータを作ります。
ぶっちゃけ言って、本切り用の刃型に沿ってペンを走らせて型取りしても全く問題無いと思いますが、せっかくCADという便利なものがありますので、外周枠線からオフセットしてデータを作ります。


なぜ荒裁ち用などという刃型を作るのか、というと、成牛革の場合「半裁」と言って、牛半頭分が一般的な販売単位で、その半裁からカメラケースに必要分の革をカット(荒取り)するために、この荒裁ち用の刃型を作るわけです。

「そんなもの手で切ればいいじゃないか?」と思われるかもしれませんが、別に手で切っても良いんですよ。普通どこでもそうやっていると思います。ただ手で切るのは数分といえども時間がかかるし、1つのケースを作るのに革と心材の2回手で荒裁ちするのは非常に面倒です。何十個一度に作る場合はなおさらです。
そして手で荒裁ちをすると何と言っても革の無駄が多いです。荒裁ち刃型を作っておけば、カット時間わずか数十秒で、必要分プラス4mmだけしか無駄になりません。

こういう刃型も外注すれば数千円かかりますので、いちいち用意するのは気が引けますけど、何と言ってもウチの場合は材料費プラス私の人件費しかかかりませんので気軽に作れます。しかも台湾製の刃材を使っていますので、マーチンミラー(オーストリア製の刃材)の半額程度です。実に抜け目のない男だね。
台湾製の刃材はマーチンミラーと比べて、私程度では特に材質が劣っているとか感じたことがないのですが、日本には入ってきていないものですので、代理店でもやってみようかな(笑)

いずれにせよ荒裁ち刃型をわざわざ用意できるというのは、かなり贅沢なものだと思います。

しかし問題は刃型が気軽に作れるので、 作れば作るほど刃型が増えて置き場所に困る、ということです。
一つ新しい製品を作れば遠慮無く刃型が増加します。最近は思い切って使わない刃型を処分しております。


 油圧クリッカーの横には、よく使う荒裁ち用の刃型が引っかけてあるのですが、もうこれ以上刃型を引っかける場所がないです。これぐらいはほんの一部で、実はまだまだ膨大な量の刃型があります。


さて話は戻って、データから型紙をレーザーカット。
私は刃物を使って自分の手で何かを切るという行為が大嫌いですので、レーザーはありがたいです。

刃の外周延長は696mmです。これもCADがコマンド一発で計算してくれます。便利な世の中ですね。足りないといけないので、710mmで刃材をカットして作ります。



上の写真左下に余った刃が見えますね。10mmぐらいでしょうか。キッチリ696mmで刃材をカットしていたら、足りなかった!と、泣きを見たかもしれません。まあ何事も多少の余裕は持っておいた方がよろしいようで。

仕事の合間の空いた時間に曲げております。


 適当で良い割には、ほぼ型紙に沿って曲げました。


補強桟を溶接してつけて、さび止めにつや消し黒を吹いてLX3/LX5ケース用荒裁ち刃型の出来上がり。

刃型が作れる革製品メーカーは、この日本でただ1件:Aki-Asahiのみです。刃曲げの腕は大したことありませんけど。




さて次は、底部分に手縫い用の穴を開けるためのミシン目刃型の設計となります。
真っ直ぐの刃を櫛状に切れ目を入れて曲げる、という少々手間がかかる刃型です。
手縫いをする箇所は、直線部分は2.5mm x 2.5mm 、曲がり部分は 2mm x 2mm という二種類の目を入れますので、これも寸法を計算して櫛状刃の設計をします。

今日は少々時間がありませんでしたので、ミシン目刃を作るのはやめにして、残った時間はLX5用のディスプレイスタンドの本切り用刃型を曲げました。


背景が汚くて恐縮ですが、補強桟は内側ではなく、刃型の外側につけてあります。



そして、LX5用ディスプレイスタンド完成ということで、本日はおしまい、というわけにも行くはずもなく、明日MAIIIクリッカーを5台大阪に納品に行くので、今日のうちに車に積み込んでおきました。

明日は早起きして大阪行きです。