2011年3月26日土曜日

ミシンモーターの交換とテーブルサイズのスリム化

先週の日曜日に大阪から運んできてもらった腕ミシンですが、昨日新しいサーボモーターが届いたので、本日交換となりました。例によってウチで暇している年金生活者(親父)にやってもらうことにいたします。


ウチの工房はすでに手狭になってきているという感じが良くおわかりいただけると思います。


まず古いクラッチモーターを外すことから始めます。


ものすごく年季が入っております。
このクラッチモーターですが、今時のサーボモーター(コンピューター制御モーター)から工業ミシンを踏み始めた私のような若輩者だと、まったく仕事が出来ません。昔の職人さんは、このクラッチモーターできちんと仕事をしていたのですから、実に立派なものだと思います。クラッチモーターで細かい仕事をするのは至難の業です。だから私は10万円追加で払ってもサーボモーターを買ってきます。

クラッチモーターできちんと仕事が出来るのでしたら、実に安上がりです。 10000円ぐらいで新品が買えるはずです。買わなくてもこのミシンには実際ついていますし。



テーブルサイズも長すぎて、作業場に入りませんので、思い切って無理矢理半分ぐらいにしてしまうことにします。とりあえず使い勝手とか、この際そういうことはどうでも良いです。空調が効いた事務所スペースに押し込める大きさにすることが、目下最大の目的なのです。

というわけで上の画像のように、テーブルを真っ二つにしてしまいます。後先考えずにとりあえず真っ二つ、実に男らしい行為ですね。


違うアングルから見てもテーブルはやはり真っ二つです。
このテーブルの残骸は、これまた男らしく、折を見て焼却処分にすることにいたします。


クラッチモーターを外して、サーボモーターを取り付けます。
ネオジム磁石を使っているからなのでしょうか、サーボモーター自体は小さいんです。しかもパワーは500ワット。元々ついていたクラッチモーターが200ワットですから倍以上のパワーです。

家庭用のミシンが50ワットぐらいなのでしょうか。職業用ミシンでも100ワットぐらいでしょう。
このサーボモーターは500ワット、次元の違う世界です。工業用ミシンというのは、実に圧倒的なパワーなのです。生地が厚いとか固いとか・糸が太いからとかでミシンが進まなくなるということがまずありません。しかもこのミシンは上下送りですから、生地を上下から挟み込んで掴んで強引に送っていきます。まさに戦車のように縫い進んでいきます。

パワーが大きいと何が良いかというと、つまらない理由で仕事が止まりませんから、余計な精神的ストレスがかからないことです。実際、たまに家庭用ミシンを踏んでみたりすると、あまりのパワーのなさにイライラしてしまいます。
強力なパワーを四六時中かけますので、ボディがこれまた堅牢です。何と言ってもミシン本体はクソ重い鋳物のボディです。プラスチックの部品などほとんど見当たりません。3000rpmで一日中回し続けてストラップを縫い続けてもビクともしません。

どうです?なんかとても工業用ミシンが欲しくなったでしょ?(笑 )
もう何と言ってもプロが使う機械というものには、夢とロマンそして血と汗と涙が詰まっているのですから。

ただ工業用ミシンというのは、普通真っ直ぐ縫うだけの機能しかついておりません(一本針直線本縫いの場合)。家庭用はジグザグに縫えたり、ボタンホール周りを縫ったり、実に色々な機能がついていて立派なものだと思います。


モーター自体は小さいのですが、モーターの下にコントローラーというもの(つまりコンピューター部分)を装着しないといけません。これが結構な大きさなのです。糸切りとか返し縫いとか色々な機能がついておりますが、私が使うのは針位置検出とスピードコントロールのみです。


モーターを交換したらベルトも長さが合わないので、新しいものを購入してきました。
 そこら辺に普通に売っているVベルトです。このVベルトですが長さの表示がインチなので結構不便です。今回のベルトは51インチ。ホームセンターで1200円ぐらいで買ってきました。


素人が慣れない仕事をしているので、親父も丸一日かかっていました。


「やっつけ仕事」という雰囲気満点ですが、スリムにはなったと思います。
テーブルの脚あたりが無理矢理と言うよりも、まったくもって自分勝手という主張をしている気がします。

最後にフットペダルを離したときに針が下死点で止まるようにシンクロナイザーを調整します。実際は下死点よりもちょい過ぎあたりの、糸が釜の剣先にかかった時点だとか何だとか聞いたことがありますが、まあ糸飛び無く縫製してくれれば何でも良いです。

10万円のサーボモーターを追加で投資して、丸一日がかりで苦労して取り替えたのは、実を言うと
「針位置検出機能」:フットペダルを離したときに必ず針が下死点で止まる事と、
「スピードコントロール」:縫製速度の調整、
たったこの2点だけの事なのです。驚くべき事ですね。
逆に言えば工業用ミシンの世界では、この2つのことをやるためだけに10万円の追加投資が必要なわけです。

そうは言っても10万円ぐらいの追加投資で、1000万円利益が出れば、別にそれぐらい痛くもかゆくもないという話でもあります。まあ1000万円の利益が出ればの話ですが。


腕ミシンが入りましたので、せっかくですから袋物でも作ってみようか。