2015年5月12日火曜日

Bali Kamis物語 その5: 別れ

バリ島在住20年である店主の配偶者に何かバリの身近なことを書いてもらうことにします。
名付けてBali Kamis物語 (Kamisはインドネシア語で木曜日)。

前回のは Bali Kamis物語 その4



別れ

バリ島で2匹の犬を飼っており、1匹はバリのローカル犬もう1匹は黒ラブです。


ローカル犬には2種類ありキンタマーニ犬(anjin kintamani)と言ってキンタマーニ高原エリアにもともと住んでいる種類で毛足の長い犬と、もう1種類はバリ犬(anjin bali)と言って、バリに来た事がある方はよくクタエリアで見かける毛足の短い種類です。
バリ島は15,6年前までは外来種の犬の持ち込みが禁止だったので、犬を飼うとなるとバリの犬以外にはありませんでした。
その後、外来種持ち込み可能になると大型犬から小型犬と日本ほどではありませんが色々な種類の犬がペットショップで売られるようになりました。

そんな影響でしょうか、ここ数年前からバリ島で狂犬病が発生するようになり犬に対しての狂犬病の予防接種が義務付けられるようになりました。
そう言っても、人間に対する医療知識すら薄い国ですので、犬に対しての認識も薄くその義務を果たしているかどうか、信用はできません。

仕事柄、観光客が犬や猿に噛まれた対応をしないといけませんので、自ずと色々な知識が身につき、危機感を覚え、自分自身が狂犬病の予防接種を受ける事が一番安全であると言うところにいきつきました。この話をバリに住んでいる日本人の友達に説明しても、誰ひとり予防接種を受けようとしないと言う、この危機感のなさにはいつも驚かされます。

私の家族であったキンタマーニ犬のきんた(13才)が5月10日朝、息を引きとりました。
1週間ほど前からご飯が食べられなくなり、食べても戻してしまう状態だったので、もう覚悟はしていました。延命治療はしないと決めていたので、ドクターを呼ぶのも止めようかとも思っていましたが、決意が弱くドクターを呼んでしまいました。しかし、この行為は苦しい時間を長引かせるだけで、自分自身のやる事はやったと言う気持ちを納得させる為の行為でしかないのではないかと、また考えてしまうのです。
日に日に弱っていくきんたを見ているのはとても辛い事でしたが、最期は家族に見守られながら息を引きとった事は彼にとって幸せだったんだろうと思います。


動物の火葬場なんてものはまだ存在しないバリ島では、自分の家の庭に埋める事が普通ですので、私も自分の家の庭に埋葬しました。埋葬する時、黒ラブのジョゲ―ルは埋葬場所の周りを走り回り吠えて埋葬の邪魔をしたり、翌日も埋葬場所の前で寝そべっていました。
彼なりに何か感じる事があるのかも知れません。

ローカル犬は血統書なんて無いですから本当の誕生日は知りません。買い取った時期から逆算して5月頃かな、、、って感じで5月5日と決め、この13年間毎年感謝の気持ちを込めてお祝いをしてきました。
しかし今年は、既に体が弱っていて、ケーキを食べてくれないまま天国へ行ってしまいました。


20年前は知っていたはずの配偶者の誕生日(5月5日)を全く記憶していなかった私ですが
どこか遠い記憶の中に埋もれていたのかもしれません。