2017年1月27日金曜日

従業員の離職と今後の展望

何でこんなに忙しいのかと思ったら、年末に一人の従業員が離職したからでした(笑)

現状、当店は資金的に特に困っていることはなく(全くの無借金)、赤字もとりあえず出したことは無い(今年度もたぶん黒字決算で法人税納税業者)という、相当恵まれた環境にあるのですが、この事業が今後20年続くかどうか?と言われると、事業を運営しているこの私が自信を持って
「10年は何とかなったとしても確実に20年は無理でしょう」
と言わざるを得ません。全般的に言ってカメラ市場はかなりの縮小傾向です。今の状況を見て、10年後にこのカメラ市場が大きくなっているか小さくなっているか、どちらかに100万円賭けましょうか?となったら、私は迷うことなく小さくなっている方に100万円を張りますね。
こうなると事業拡大を考えるとかとんでもない話で、市場縮小に合わせて何とか自分が引退するぐらいまでは上手いこと生き残って利益を確保していこう、という相当な消極的経営です。消極的経営というのは、ぶっちゃけ言って夢がない事業で、身軽でもあるので、私の気が向かなければいつでもやめてしまいかねない、そういう感じのものです。

「事業を辞めてあなたは食って行かれるのか?」
とか心配していただくこともありますけど、そのお気持ちは有難いことですが、そんなことはまったく心配していただく必要はありません。20年もこういう感じで何の組織にも属さず、事業は決して大きくならなかったけど(そもそも未だになぜ会社とか事業規模というものをわざわざ大きくする必要があるのか、さっぱりその意図がわかりませんし)、小さな利益は手堅く確保してきて、無借金。無駄な見栄を張るのが嫌いで、清貧を理想としている、大体どんな人間かわかると思います。親しい人は「これで食いっぱぐれたら奇跡だ」と評される、まあそんな感じです。あなたはおそらく私よりも才覚のある人でしょうけど、私はあなたが考えるよりもずっと甘くない人間である可能性はかなり高いです。退路は必ずガッチリ確保して行動するような人間に、何の心配もする必要はありません。自分でこう言ってしまうのは気が引けますけど、大概腹黒い人間なわけです。

ただ気がかりなのは従業員の将来で、まだ私より10歳若いので、彼が引退するまでこの事業が存続していない可能性は、かなり高いです。基本親方一人で回している個人経営みたいな形態は、親方が辞めたら大体そこまでなのです。その時47歳で、さあ次の仕事を探しましょうと言っても、間違いなく上手く行かないです。そこで、高く売れるときに売る、そしてそれはまさに今。このあたりで真剣に彼の将来を考えよう、ということで、やっぱり今後それなりに存続しそうな企業に就職を探してみることにいたしました。

時はまさに求人倍率が高い絶好の時期です。それでも闇雲に探してもなかなか良いところに当たる可能性は低いです。そこで私は考えた、色々な地元企業を財務状況から経営状態など実によく知っている組織というものが、案外知られていないけど身近に存在します。それは何かと申しますと、

税務署と銀行です。
しかし税務署はそんなことを面倒見てくれませんので、選択肢としては銀行になりますね。

ウチのつきあいがある銀行様は信金です。完全地元密着型で、実にあちこちの地元企業をよく知っている。毎月かならず担当している企業に顔を出して、どうですか?なんて話しているのですから当たり前ですよね。景気よさそうな顔をして実は青色吐息だとか、苦しそうな顔をしながら裏では実は左うちわで大笑いだとか、表面では決して見えないところまでよく見えているのが、何を隠そう銀行なのです。
私もたまに銀行の営業マンさんに「こんな感じでウチは大丈夫でしょうか?」なんて聞くことがあるのですが、「全然大丈夫ですから、この際ドカンと大きな借り入れでもしてください」と冷たく言われます。

どこか良い就職口はないですか?なんて聞いてみたら、もう打てば響くように即回答あり。

何と言っても近い。自転車通勤が出来る近い職場希望というウチの従業員にいきなりピッタリだ。こんな近くにしっかりした企業様があったとは知らなかった。大企業に30年もくっついているのでかなり安定しているし、仕事内容も本人に合いそうだ。また銀行さんが「ここはそろそろ財務的にやばい」などというところは決して紹介しません。銀行の情報力というのは、実に驚くべきものがあります。
提示された条件も、この条件なら私が行きたいぐらいだ、という立派なもの。さすが立派な企業はウチなんかとは違います。「どうだ?ここならウチよりも安心だろう?」とウチの従業員に言ったら、まんざらでもなさそうです。探してはじめてから2回の面接して決まるまでのこの間、何とたったの2週間。打ってみたら見事に響いた大きな銅鑼、そんな気分です。


※他人様のビデオです。

とんとん拍子で決まって、昨年末円満退社となりました。

就職を探すなら、一度つきあいのある銀行さんに相談してみよ。就職情報誌よりも遙かに頼りになりますよと、そういう話でした。

10年先の暗い市場を今から見越して、早々と手を打つ。ちょっと早すぎないか?と思われるかもしれませんが、世の中を見てみると、決断が早すぎて失敗するよりも、決断が遅すぎて失敗するケースの方が遙かに多いというのが現実ではあります。