2021年2月9日火曜日

溶接屋の田中さん

たまにですがMAIIIクリッカーのハンドルを曲げてしまわれて修理の依頼が入ります。



大概は明らかな注油不足、もしくは天板の位置が高すぎてハンドルに無理な力がかかっているのが理由です。ハンドルが下に下りきる寸前でパチンとものがカットできる位置に天板の高さを合わせていただければまずハンドルが曲がることはありません。

それは良しとして、この修理は曲がった部分をカットして、一回り太いパイプを被せて溶接をしてつなげるという修理となります。


ここで溶接という作業が必要になるのですが、これを自分でやるよりもプロに頼んだほうが全然安心なので、昔から付き合いがある溶接屋の田中さんに依頼します。

どれぐらい昔からかというと、私が20歳の頃に田中さんの近所にある建設会社にいたので、もうかれこれ30年も前からということになります。その他、私のかなり遠い親戚筋にこの一帯とか熱田の卸売市場を仕切っていた悪名高いやくざ者、暴れん坊三兄弟(暴力団というよりも侠客)がいて、田中さんもお世話になったという関係もあり(昔のやくざ者は地元民に対して面倒見が良かった)、結構親近感がある存在ではあります。

ご覧いただければおわかりだと思いますが、個人事業主が一人で切り盛りしている雑然とした下町の町工場(「こうじょう」ではなく「こうば」)で、こういう工場は大概の場合、親父さんは職人気質で生真面目で人柄が良く、無欲で金儲けに縁がない(決して貧困層ではない)、そういう感じのところで、その典型であるのがこの田中さんなのです。

こういう下町の町工場の何が良いかというと、依頼者が個人法人問わず面倒な手続き無しで、小さな仕事ならその場でやってくれて、5分ぐらい世間話をして、工賃は現金を置いてくれば領収証をくれて完了するということです。大きな工場だと、ちょっとその場で2箇所だけ溶接してほしい、などという仕事を頼めるものではありません。小さな町工場というのは非常に貴重な存在です。

しかしだんだんとこういう町工場は少なくなってきているのが現状で、歳取って廃業する溶接屋さんが多いので、田中さんのところにも遠くから一見のお客さんが何らかの方法で調べて、持ち込んでくるそうです。

田中さんは20歳で溶接屋を始めて今70歳。もう半世紀も溶接一筋で食っているそうです。個人事業主は定年がないので、辛くもありますが、反面体が続く限りいつまでも働けて生涯現役でい続けられるという利点もあります。鉄、アルミ、ステン、鋳物とほぼ普通にある金属なら何でもアーク、ガス、ロウ付けで溶接します。

今の時代はなかなか貴重な職人さんですが、体が動くうちは続けると仰ってますので、何かちょっとした溶接してくれるところはないかな、とかはたまたそれなりにまとまった仕事であるとか、そういうものがあったら田中さんに頼んでみるのも良いかもしれません。

「田中溶接工業所 名古屋市瑞穂区大喜新町」というワードで検索すると出てきます。Webサイトとかメールアドレスとかそういう気の利いたものはありません。連絡はTELのみです。

ただ田中さんも仕事の都合がありますし、いきなり訪ねて何でもやってくれる便利屋ではないので、電話して概要を伝えてからお願いします。また歳が歳なので、あまり無茶な要求はしないでほしいところではあります。