2010年4月5日月曜日

また一工夫

昨日はよく充電しましたので、今日からまた激闘の日々が始まりました。とはいうものの、昨晩飲んだ睡眠薬の量が多かったみたいで、昼ぐらいまでラリっているような、いないような妙なテンションでした。一応申し上げますが、睡眠薬を飲んでラリって楽しむという趣味は私にはございません。ただ単に量を間違えただけです。

さてと、ウチの場合ケースの制作時に手縫いの部分があります。


 底のパーツと側面の合わせ部分、上の矢印部分です。この一周は手縫いです。


おそらく駒合わせ縫いと言うのでしょうか、斜めに針を突き刺してクロスステッチをしていきます。
革で手縫いをするときにはまず間違いなくガイドの穴を開けます。上の画像でも、まだ縫っていない部分に穴が空いているのがおわかりいただけると思います。普通は菱目打ちという道具を使って穴を開けるわけですが、これがかなり面倒で時間がかかります。時間にして5分ぐらいかかるのではないでしょうか。木槌でコンコラコンコラと菱目打ちを叩きながら穴を開けていくわけです。1個ぐらいでしたら大して苦にならないのですが、これが10個もやろうとなると、大変な苦痛を伴う作業になります。「このひたすら単調な行為は一体自分の人生に何の意味や意義があるのだろうか?」そういう自問との戦いです。

そこで今日は、この無駄に時間を食う単調で下らない作業を一発で済ませられるように一工夫しようじゃないか ということでやってみたいと思います。

まず設計。


実際に穴を開けるラインを描き、2.5mm間隔の線と2mm間隔の線を分別します。上の図ですと赤い線が2.5mm間隔のミシン目になる線で、青い線が2mm間隔のミシン目になる線。寸法を測りやすくするために分解します。CADならコマンド一発で正確な寸法が出せますので、その寸法に合わせてギザ刃を描きます。


描いたギザ刃の図をレーザーで画用紙にカットして刃にゴムのりで貼り付け、それに合わせてグラインダーで櫛状に切れ目を入れていきます。谷側の切れ込みの深さが多少揃っていないのは、刃型作りの素人がやっている事ですので、ご愛敬だと大目に見てください。間隔が揃っていないのは、これは設計です。

ちなみにミシン目刃というものは、普通に製造販売されております。伝票なんかでミシン目が入っているものがありますよね。あのミシン目を入れる刃材です。ナカヤマとか塚谷という刃材屋で入手可能です。しかし刃の厚みが最大で0.9mm程度のものしかなく、私がやろうとしているような目的では、強度が足りなすぎなのです。硬い革などに使うとすぐに刃が曲がるか折れるかで使い物になりません。実は何度も試したことがあります。
今回使った刃は2mm厚で、とりあえず強度的には大丈夫だと思います。


その櫛状の刃を曲げて成型した状態です。
上手くいったものの写真を載せておりますが、一発で上手く仕上がったわけではありません。ストレート刃とは違い、ミシン目刃の曲げには多少癖がありますので、その癖を掴むまで数個失敗しております。


実際に底部分のパーツに穴を開けてみた状態。
いいんじゃないでしょうか。今まで5分以上かけていた作業が、MA3ハンドクリッカーで軽く圧をかけるだけ、時間にしてたったの10秒に短縮出来ました。
なんだかとても嬉しいぞ

実際に縫製してみましたが、手で穴開けをしたものと特に何ら違いは見られません。平目になっている分だけ縫い目が少し綺麗になってさえいます。

作業時間5分短縮。たかが5分というなかれ。10個以上並べて作ることなどウチでは毎度の事なのです。10個で50分の短縮。12個なら1時間の短縮ですよ。5分短縮というのは、驚くべき効率化なのです。

ここで誤解なきよう余計とも言える説明をさせていただきますが、効率化というのは、工程をサボったり端折ったりする事ではありません。品質を下げずに手間を省くこと、これがすなわち効率化です。私はそう思っております。

今日という日を生きていて良かったという気分です。というか今までなぜこれをやらなかった、という気分でもあります。


今日のネタとは関係ありませんが、友達がチュパチャップスのツリーを差し入れてくれました。120個もあります。

それではみなさん、ごきげんよう。