2011年11月20日日曜日

またストラップ100本追加の巻

本日、2011年11月20日(日曜日)。
またストラップ100本の注文が入っておりますので、日曜日ではありますが、出勤してきてストラップを作り始めます。
材料が入り次第、もう100本追加になりますので、3人ぐらいでやっている工房がこなす量としては、尋常ではないものとなってしまいました。

ストラップ100本とかになりますと、まず表革と裏革(ライニング)の貼り合わせだけでも大変な作業となりまして、当然ですがこれだけの量になると手で接着剤を塗るとかお目出度いことをしていたら到底間に合いません。裏革(豚スエード)の1枚ものに接着剤を吹き付けるという、少々力業(チカラワザ)的なやり方となります。その為に当店には接着剤の吹きつけブースが設けてあります。


吹き付け専用の接着剤(しかもゴム系)というものが売っているのだから、世の中は便利なものです。一斗缶で3缶ぐらい買うと案外安いです。


接着剤の吹きつけが終わった状態です。


表革の方は牛革です。この革の大きさは285デシ。デシというのは10cm x 10cmですから3平方メートル弱という感じですね。これだけではネックストラップ100本取れないと思いますが、まあ取れるだけ取っていきましょう。

だいたい形を見れば、牛のシルエットがわかると思います。上が背で、右側がおそらく頭のほうですかね。


黒い四角いものが、ストラップの荒裁ち用の刃型です。
大きさは約 28cm x 72cm。これでネックストラップが12本取れます。
しかしながら、革というものの形状は、無駄が多いのは一目瞭然ですね。天然ものですから仕方がありませんけど。


では、クリッカーでカット(荒裁ち)していきます。


結果、8枚半+余り少々取れました。
ということはネックストラップ100本何とか取れそうな感じです。これはラッキーですね。
余り部分も細かなパーツで使いますので、無駄は余り出ません。


そしてゴム糊塗り機を使って、カットした牛革にゴム糊を塗っていきます。
ゴム糊塗り機を使うとこれがまた綺麗で早いんです。道具万歳です。というかハナっから手で何とかしようとか全く考えていません。大概のことは機械でやった方が綺麗で早いというのが事実のようですね。


とりあえず5枚ほどゴム糊を塗りました。たぶん、このスエードには4枚ぐらいしか貼れないと思います。


4枚の表革と裏革を貼り合わせた状態です。


油圧クリッカーの圧力を使って、表革と裏革を圧着していきます。
この圧着がミソで、人力では到底出せない10トンとか20トンとかのパワーでガッツリ圧着できます。



豚スエードが無くなったので、また接着剤の吹きつけとなります。
スエードは1回の仕入れで、15枚~20枚買い付けます。そんなに大きな量でもないのですが、製造している工場で直販してもらっています。


午前11時頃、青春ミシンの池田さんとスタッフさんが東大阪からウチ(名古屋)まで遊びに来ました。
一緒に昼ご飯を食べて、MAIIIクリッカーを乗せて大阪までご帰還。
まあ、何と言いましょうか。この二人の会話は漫才のようで、ほとんど話芸ですね。中古ミシン屋というよりも芸人という方が近いと思います。

午後からは、また一人で仕事となります。ストラップのカットを始めます。



クリッカーの圧盤が結構大きいので、工夫をすれば縦に1クリックでカット出来ます。
今までは2クリックしていたのですが、そうやると刃型が弓なりに反ってきてしまうのです。1クリックでしたら刃型が反らないので、末永く使えます。耐久性は、おそらく1万本くらいは余裕でしょう。


ネックストラップ100本分をカットし終えました。もうドッチャリという感じですね。
これからまだ切り口すべてコバ塗りをして、それからやっとミシン縫製。大概気が遠くなります。
今回の仕事は卸価格で出しますので、手間の割にはそれほど儲かるものではない、ということはだいたい想像できると思います。損益分岐点に近い際どいところの仕事ですから、兎にも角にも効率最優先でやらないと赤字となります。そういう仕事をきちんとこなすことによって、自分を鍛えているわけです。普段からこういう厳しい積み重ねをしているから、ここぞという勝負所で「あそこは利益をゴッソリ掻っ攫っていくのが上手い」という、そういう業者になれるわけです。
まあ、仕事が上手い事に越したことはありません。


何とか100本分のコバを塗ったところで、午後6時10分前。
一段落つきましたので、今日はここまでで退散いたします。