2013年1月27日日曜日

使いやすいマウス用パームレスト

私はマウスのパームレストが市販の物でなかなか使い心地の良い物がないと感じております。まあくまなく探せばあるのでしょうけど、基本的に市販の物は自分用に設計されているのではないので、多少使い心地がしっくり来ないのは仕方がありません。

そこで、私が使いやすい形状で作ってしまえ、ということで、実際に作ってみました。


とりあえずダークタンの革が余っていたので、ダークタンで作りました。。


半月型というのが実はミソです。


割と小ぶりです。


2つの凹凸絞り型と荒裁ち用、本裁ち用、その他の3つの専用刃型。刃型は毎度のごとく自分で曲げました。
何か一つ作ると、刃型がゴロゴロ増えるのには閉口してしまいますが、絶対に革を手でカットしないのが当店の方針で、これだけは何が何でも譲れない鉄則ですので、刃型が延々と増えるのは仕方がありません。


半月状の形状なので、マウスの尻を手前まで持ってこられます。
マウスによっては、尻がかなり出っ張っているものがあり、円形のパームレストだと尻が当たって、マウスが遠くなり、操作がしにくいのです。


凸型の設計はこんな感じです。ちょっと上部が波打っていてまだまだモデリングがそれほど上手くないと言うことがうかがい知れます。でも革絞りすから、絞ってしまえばうまいこと自然なカーブになります。

掌底が当たる部分を凹ましてあるので、フィット感がとてもよろしいです。
実はこの部分を凹ませないと、三次元で絞り型を設計している意味がありません。巷でよく見る、木のブロックを糸ノコでカットして凸型だけで絞りをやっているのと何ら変わらないからです。まあ一種の意地みたいなものです。というよりも、マウスのパームレストは掌底がキモのようで、この部分がしっくり来れば至極快適になるようです。


 削りだした凸型。


 うーん、実に快適。自分の使いやすいように設計しているのですから当たり前ですよね。
内部にゴムを詰めてありますので、硬すぎず柔らかすぎず、というかちょっと硬めで割と私好みです。
販売するとなると、手の大きな人にとってちょっと小さいかもしれませんので、一回り大きなサイズも用意する必要がありそうです。


黒も作ってみました。何と言いましょうか、この自由曲線を組み合わせたヌルッとした曲面と立体物という存在感がたまらないです。自由曲線は嫌いだったのですが、それを使って物体が実際に出来ると、これは実に良いな、と思うようになりました。


2つ並べればキーボード用のパームレストになります。けど、キーボード用だとちょっと小さい気がします。やっぱり一回り大きめのサイズも用意した方が良いでしょう。

自分の欲しい物を、設計から、絞り型の切削、刃型の製作まですべて自分で出来てしまうという、実に恵まれた環境にあります。極小規模なレベルですが、これこそモノ作りの醍醐味と言えるかもしれません。

マウスは毎日相当な時間を自分とともに過ごしているのですから、出来れば快適に気分良く使いたいものです。