2013年3月5日火曜日

革漉き機のサーボモーター仕様

昨日、青春レザーミシン工房(Danguman)に行ったついでに強奪してきた 入手してきた新品のサーボモーターです。



当店のミシンは2台ともサーボモーターをつけてあります。革漉き機にサーボモーターなど普通もったいなさ過ぎてなかなかできないのですが(サーボモーターは単純に値段が高い)、青春レザーミシン工房(Danguman)で、革漉き機にサーボをつけているのを知ると(ブログ記事)、ウチの革漉き機もクラッチモーターからサーボモーターに交換しないと気が済まないわけです。サーボモーター仕様の革漉き機、とても贅沢です、贅沢すぎ。

現状モーターの出力は200w、このサーボは550w。2倍以上のパワーです。何でもパワーを上げれば良いってものではありませんが、サーボは速度調整が出来るという利点があります。スローなのにパワーが出ているというところが肝です。クラッチモーターは所定の回転数で所定のパワーが出るという感じですよね。クラッチモーターでスロースピードを出そうとすると、ペダルを小刻みに踏んでクラッチを繋いだり外したりして、それは結局パワーは出てないのです。

スロースピードでもパワフル、というのがサーボの利点です、、、間違っていたらゴメンな


早速、親父を呼んできてモーターの交換をいたします。
ホームセンターで売っている2x4のSPF材を組み合わせて作った、DIY精神あふれる素人仕事丸出しのテーブルが上の画像の見所です。ええ、私が作ったのですよ。材料費2000円未満だったと思います。


クラッチモーターを外しました。5年ぐらいですがよく働いてくれました。クラッチモーターの利点はとにかく丈夫なことです。機械というのは使っていればそのうち壊れるのが当たり前ですが、構造が単純なほど、機械は壊れにくいです。何と言っても壊れる部分が少ないわけですから。


サーボモーターを装着します。特に難しい事はありません。
このサーボはクラッチモーターと穴位置が同じですので、そのままモーターを取り替えるだけです。


何と!シンクロナイザーまで付属しております。ミシンだと針位置の検出に使うものですが(縫い針を上死点・下死点で止めるために使います)、革漉き機はそもそも針などありませんので、シンクロナイザーは必要ありません。検出器があってもコントローラーがついていないので、意味はないのですが。


可能ならプーリーも左側の小さいモノに交換します。モーターの軸についているプーリーを小さくすれば、速度は落ちますがパワーが出ます。当店は革漉き屋さんをやっているわけではないので、そんなにスピードは必要ないです。ゆっくり確実に革漉きが出来れば何も言うことはありません。

しかし、一見しただけで軸の径が違うので合わないかな。


コントローラー(制御コンピューター)がついていませんから当然なのですが、クラッチモーターと比べてすごい小さいサイズです。そしてクラッチモーターと比べると、これはオモチャか?というぐらい軽いです。
今は強力なネオジム磁石がありますからパワーを上げてもモーターのサイズを小さくできるのでしょう。


ミシンに装着した例ですが、サーボモーターでもコントローラーをつければ結構な大きさになります。


今まで使っていたベルトよりも短くなりますので、紐をプーリーに引っかけてベルトの長さを測ります。困ったことにベルトはインチでサイズ表示をされております。実測73cmですので、73cm / 2.54 = 29インチ。29がなければ30インチで調整というところでしょう。ベルトはホームセンターで普通に売っている1000円ぐらいのものでとりあえず問題無いです。


私が勘違いしているだけかもしれませんけど、モーターについているプーリーって、幅が少し狭い気がします。気がするのではなく、狭いのです。これで使えないことはないんですけどね。もう1サイズ細いベルトを使うのが本当なのでしょうか?


でも、革漉き機にしろミシンにしろ、ボディの方のプーリーはこのサイズのベルトでピッタリなのです。
おかしくね?








ベタ漉きは広い範囲に刃を当てて革を送るので、パワーが要ります。
スロースピードでベタ漉きが出来るのは良いですね。クラッチモーターでも出来ないことはないのですが、これほどやりやすくないです。



この中間漉きというのは、この動画が初めてのチャレンジです。つまり全くの素人ですが、難なく出来ました。



この漉きも、この動画が初めてのチャレンジです。これもとりあえず難なく出来ました。
つまり曲がり漉きでも、複雑なカーブだとしても、とにかくスロースピードでしたら、誰でも出来るわけです。

どうやらクラッチモーターの時代は終わりつつあるようです。少なくとも私にとって、今後クラッチモーターはあり得ない選択となりました。

ゆっくりスタートという設定が出来るので、漉き始めの革が刃に当たる瞬間がとてもソフトです。
これでおそらく漉きの失敗がかなり減るでしょう。クラッチモーターでタラタラ~とスタートすることは至難の業ですから。漉き始めの革と刃の当たりさえ綺麗に決まれば、革漉きの半分は上手くいったようなものです。

もっとスローも可能です。これだけスローなら初めて革漉き機に触る初心者の方でも、余裕で正確な革漉きが出来るでしょう。

こんなことならもっと前にサーボモーターに変えておけば良かった、随分と長い間、何と馬鹿馬鹿しいことをしていたものだと後悔の気分です。なぜプロの革漉き屋さんが革漉き機ごときに高価なサーボをつけているのかやっとその意味がわかりました。便利な道具というのは、だいたいそんなものです。余裕があるなら良いものを買っておいた方が間違いないです。5万円サーボに投資して100万円分の喜び。また「良い道具は未熟な腕前をカバーして有り余る」という良い例になりました。