2020年1月20日月曜日

複雑な形状の貼り革(Leica R8 winder)


 知り合いのカメラ修理屋さんからR8ワインダーに革を貼り付けてほしいという依頼がありました。
 依頼主のお客様は、塗装が剥げているのが気に入らないそうで、革を貼って見栄えを良くしたいという事です。


 問題点は、こういう複雑な三次元形状で、しかも貼り付けたい部分はRがついているという、革を貼るのはちょっと無理な形状です。
 皆さん御存知のように革というのは平たいものです。平たいものをR形状に貼り付けるというのは基本的に無理だということはご理解いただけると思います。私は物理の法則を無視した魔法使いではないのです。
 正直無理ですので、これは塗装したほうが早いと申しましたが、ぜひ革張りでと仰るので「決して期待されるほどきれいな仕上がりにはなりません」とご理解をお願いしてやってみることにいたしました。


18mm幅のテープ状の革をそのまま貼り付けても絶対にうまく行かないだろうということは見てわかると思います。
まずはスキャナーで底面をスキャンして、革を貼り付ける部分の下端と上端の線を拾います。スキャナーと言っても三次元スキャナーではなく、安価なフラットベッドスキャナーです。


ここで三次元CADというものが役に立つ。Loftで立ち上げて3次元形状にする。
本当は中間部分が膨らんでいるのでRをつけないといけないのですが、これ以上ややこしくしても展開時に問題が出るので、とりあえずこのままでやってみます。


そのLoftした3次元形状のオブジェクトを平面展開。


途中経過をすっ飛ばしていますから簡単にできたように見えると思いますが、一発でうまくいくわけ無いです。何度も切り直してデータを修正して、20回ぐらい繰り返してここまでになりました。




こんな展開形状は2次元だけで頑張っても難しいと思います。
3次元が使えてよかったよかった。