2010年12月31日金曜日

闘い未だ終わらず

大晦日ですが、結局工房に来てゴソゴソやっております。


LX3ケース用の治具が少々気に入らないので、データを引き直しております。
またアマゾンジャラというハードウッドをもらってきてしまいました。工事で残った残材だからタダで結構ですよと言われるのですが、タダだと気が引けてしまい、こちらも貰いにくいので、今度からはきちんと値段をつけて下さい、とお願いしておきました。
後ほどMDX40で切削をしたいと思います。

闘い未だ終わらず、というよりも、家にいてもヒマですので結局何かやっていると、そういうわけです。


切削の工程を練って、材料をセットします。

ふと隣のデッキ工事屋さんを見ましたら、社長は出てきておりました。小さい会社の経営者というのはどこもよく働きますね。
近いうちに飲みに行きましょうと言いながら、結局忙しくてまだ実現しておりません。今日は昼飯でも誘ってみようかな。


切削開始。
色々なアイデアはあるのですが、なかなかモデリングをして切削をするというところまで至らず、ほとんど動いておりません。私がケースの製作という日常業務に追われていて、余裕がないからです。これもフル稼働すれば、相当儲かると思うんですけどね。なんか勿体ない話です。


面出し→荒削り→仕上げ1→仕上げ2 という工程を組みまして、面出しと荒削りが40分ぐらいで終わりました。


ワサワサの削りクズをちょっと吸い取ったのがこの状態。
面出しと荒削りは大きめの切削刃でグワーッとという感じで割と早いです。


ここでエンドミルをφ1.5スクエアという割と細めのものに交換して、仕上げ1となります。
シミュレーションだと5時間という長丁場でした。実際もそれぐらいかかるでしょう。



あまり実感は湧かないと思いますが、上のような感じの物が出来上がる予定です。

結局、昼食は隣のデッキ工事屋の社長さんとサイゼリヤで取りました。



午後3時頃。仕上げ1の切削終了。


ほぼ出来上がってますけど、あとちょっと仕上げるところがありますので、仕上げ2の工程に移ります。


先ほどよりもさらに細いエンドミルφ1に交換します。
切削刃自動交換などという気の利いた機能はついておりませんので、自分でエンドミルを交換して、Z基点出しを手動でやります。


仕上げ2が30分ぐらいで終わり、治具が完成しました。


LX3用の刃型で厚紙をカットして、嵌め込んでみます。はい、ピッタリですね。


上の方にある3Dイメージと似たようなアングルで撮ってみました。
何が偉いって、サイバー空間にある図形が、実世界で削り出されてくるというところですね。
理屈はわかるのですが、実際にそうなるんですから、不思議で仕方がないです。


ステッチのガイドラインとしてのネンが入りました。
ただこれだけのことをやりたいがために、この労力。ちょっと頭がおかしいのではないか?という気が自分でもしてきます。が、しかし、自分のところで作っている製品に綺麗なステッチを入れるためだけの事に、俺たちはこれだけの労力をかけて、大真面目に真剣にやっているということだけはおわかりいただけると思います。

金が欲しいだけなら、「ベテランの職人が一針一針正確に丁寧に縫っています」 と説明文にヒトコト書いておけばいいんです。お客さんは大概その言葉を信用してくれます。まあ素人は欺せても、玄人が見れば一発でレベルがバレますけどね。ウチは素人嵌め込みみたいな仕事をしたいとは思ってないんです。

今日は大晦日で私も4時半に仕事を切り上げ、近くのスーパー銭湯「桃山の湯」 で一風呂浴びて帰宅しました。

今年も途中何度か危機があったり、もうやめだとすべて放り出したくなったこともありましたが、毎度毎度這々の体ながら、何とか乗り切りました。割と最近ではありますが、10月には工房の引っ越しもして、新たなスタートもいたしました。
こうやって何とか続けられたのも、ひとえに皆様のご支持のおかげだと思っております。ここで再度深く感謝をいたします。

厚かましいお願いではありますが、また来年もご支持いただければ大変ありがたく思います。

では皆様よいお年をお迎えください。

今年もありがとうございました。

時間があればみんなで工房の片付け掃除をしようと思っておりましたが、30日もほぼ目一杯通常業務をこなして定時となりました。


それでもちょっとだけ片付けました。


こちらの方はクリッキングや吹きつけなどの作業コーナーですので、まあ雑然としております。来年は根本的な解決を考えましょう。


もうこちらのコーナーは「どうでも良い」という投げやりさが感じられます。

夜の7時からは近所の居酒屋で3人で慰労会。


今年もよく頑張ってくれました。ありがとう。


疲れて寝てしまっています。私は運転代行で、スタッフはバスで歩きでそれぞれ帰ります。

ああ今年もなんとか終わったな。
皆さん、ありがとうございました。

2010年12月29日水曜日

プリンターの不思議

BrotherのHL-2140という小さなレーザープリンターをこの1年ぐらい使っておりまして、サイズが小さいから邪魔にならず、重宝しております。


ウチだと注文書を刷るのに結構使います。たくさん使うところから見れば少量でしょうけど、3ヵ月ぐらいにトナー1本ぐらいという感じでしょうか。

トナー4本ぐらい使ったところで、今度はドラム交換のサインが出ました。
Amazonでドラムを探したところ、¥ 8,796円。本体自体を12000円ぐらいで買った覚えがありますので、ドラムが9000円弱と高いものですね。




すぐに値段が上下すると思いますので、キャプチャしておきました。


本体のお値段はいくらぐらいなんだろうか?と、これもAmazonで見ましたところ、何と9000円
トナーもドラムも入ってこのお値段です。どうなっているのでしょうか、一体?




そうなると結局新品1台9000円を買うという選択となってしまいます。




現状、どこも壊れてないのに、新品を買うという少々複雑な気分です。
物の流通というのは、何というか不思議なものですね。

2010年12月27日月曜日

まだ一仕事も二仕事も

そろそろ今日からお正月休みに入ったという方も多いのではないでしょうか。

ウチはまだまだ一仕事も二仕事も残っておりまして、今日も6時にみんなで夕飯を食べて残業をしております。おそらく明日も残業。もちろん私は昨日も出勤。


こういう時期に、短納期で結構な量のケースの注文をねじ込んでくるお客様がいらっしゃるのです。外国のほうですが。


「何とか12月の納品は少なく分納させて下さい。お願いします。お願いします。」と頼み込んでも、結構な量です。

仕事があるだけ有り難いことですけど。

2010年12月26日日曜日

クリスマスは焼き肉でも

別にクリスマスだからということもないのですが、ちょうど残材を焼却していたので、そのついでに「今日の昼飯は焼き肉でもやってみようか」ということで、早速スーパーで食材を買ってきて始めました。


時計型スチールストーブというものです。ちょっとした焼却炉代わりにちょうど良いです。
すっかり良い感じに火が起きております。


肉類:ホルモン・味付け手羽元・豚肉ロース切り身。あとはタマネギとキャベツ。合計額1500円ぐらいです。これで3人分。鶏肉と豚肉が好きです、という人には結構割安に楽しめる世の中です。


何と言っても直火の焼き肉はいいね。「はさめず醤油」かけて照りにして焼いて食べると、もう言うことなしです。



さて話は変わって、先日の投稿:廃材利用編の続き


改良型を作ってみました。


片方の櫛部分がダブルになっております。


この形状だと何が良いのかと申しますと、上のように小さなパーツを乾燥させるときにバラけずに置いておけますので非常に便利なわけです。


ケースの底部分のパーツだとこんな感じで、側面に接着剤を塗って乾燥させておくわけです。



隣のパーツと干渉せずに並べておけます。

データをいじるぐらい5分もかからないのに、なぜ今まで作らなかった?というぐらい驚きの便利グッズとなりました。

2010年12月24日金曜日

一難去ってまた一難

ウチみたいな小さい組織は、何と言っても経営基盤が脆弱で、何か一事あるとすぐに前途が怪しくなるのが悩みの種ですが、今年は結局スタッフの出入りがあり、その都度何とか辛うじて乗り切ってきたのが現状です。

何とか今年は乗り切ったかな、というところで、また一難。
ウチで4年勤めていて、私の片腕のようなスタッフが、来年3月に結婚退社したいという話になり、また私は頭を抱えることになりました。
結婚するというなら、これはもう慶事ですので、本来笑って送り出してあげたいところなのですが、何とか6月までいてくれないかな、とお願いして、問題をちょっとだけ先送りしたというところです。

新しいスタッフを入れて引き継ぎをしないと何ともなりませんが、兎にも角にも、ウチは覚えることが多すぎて、しかもある程度臨機応変さも要求されるわけで、こう言っては何ですが、相当頭の良い人間じゃないと今のスタッフの代わりは無理。

頭のいい人間は世の中にそれなりにたくさんいるでしょうけど、そういう人がちょうど仕事を探していたりしていて、ウチで働こうかな、などと思う、という確率は非常に低いです。とても困りました。

それでも、思えば今のスタッフは22歳でウチに来て、あっという間に4年もたってしまったわけです。
ウチで働いて恥ずかしい思いをさせないよう、私もできる限り努力いたしました。ウチに来てから貯金もかなりできているはずですし、足がよろしくないため、朝晩の送り迎えはほぼ欠かさずやりました。

それでも彼女が踏ん張ってくれたおかげで、当店は何とか乗り切ってこられました。本当に感謝しています。心からありがとうと言いたいです。この4年間、彼女と仕事ができて私はとても幸せだったです。

さて、ここで今後の選択となりますが、

  1. 新しいスタッフを探す
  2. どこか大きめの革工房にウチを吸収してもらう
  3. 事業縮小する
どれも非常に難しい選択ですね。来年はいきなり前途多難の模様です。

とりあえず1からトライしてみたいと思います。読者さんの中で以下のような方がいらっしゃいましたら、是非ご連絡をお願いします。

私はなかなか物覚えが早くて、臨機応変でちょっとせっかち、そして頭の回転はちょっと良い方だと思う。Aki-Asahiの工房は見たこともないような道具設備が揃っていて、何か創作意欲が沸いてきますねぇ、しかも働きが良ければ年に4回賞与が出るそうじゃないですか、割と近くだし是非一度働いてみたいねぇ。

2010年12月23日木曜日

廃材利用

ウチでは3mm厚のアクリル板を敷いてカッターマット代わりに使っているということを書いたことがあると思いますが、しばらくすると表面がカッターの線でギザギザになってきますので、たまにペーパー掛けして表面を均します。

ペーパー掛けと言っても、オービダルサンダーを使って力尽くでペーパー掛けをやるんですけどね。
それも何度も何度もやって、1年も使っているとそろそろこのアクリル板カッターマットも寿命だなという域に達してきます。廃棄の時期が来たようです。

そして、今日は仕事の合間に、廃棄予定のアクリル板の再利用を考えようという企画。


サイズは300mm x 600mmぐらいでしょうか、缶スプレーの大きさと比較をしてみて下さい。


簡単な乾燥台を作りましょうということで、3mm厚に合わせたデータに手直しをします。


データをレーザー加工機に送ってカットなのですが、ちょっとアクリル板のサイズが大きすぎるようです。
でもこのまま無理矢理カットします。


カットできましたよ。


組み立ててアクリル接着剤で固定します。


何かしょうもないものが出来たな、と思われるかもしれませんが、こんなものが実はものすごく便利です。ゴム糊を塗ったパーツを仮置きしたり、コバ塗りをしたパーツの乾燥など、製品を数個から数十個一気に作ったりするからなのですが、ウチではこれがないと仕事にならないぐらいです。1個1個作っているような業者さんでしたら、大して必要もないものでしょうけど。


ちょくちょく落としたりして壊れて減っていくのですが、5個も作っておけばしばらくは心配ありません。

廃材ももう一度ご奉公してもらうということで、リサイクル精神あふれる一品でした。


年末も押してきたのですが、まだ80個ぐらいケースが残っております。あと一週間ぐらい死ぬ気でやらないと終わりません。今日が休日とか、相変わらず全然関係ないです。

おそらく正月も私自身は1日休んで2日から縫製しているという予感です。

2010年12月21日火曜日

退屈な作業など

どんな仕事でも似たようなものでしょうけど、当店の仕事も割と地味で退屈な作業が多いです。


せっかくですから、退屈紛れに動画を撮ってみました。
上の動画は表示されておりますでしょうか?

両面テープを貼り付けたスエードのパーツを型に嵌め込んでクリッカーで圧をかけます。
型には山折り谷折りの溝が仕込んであります。つまりパーツに折り皺をつけるだけの、非常に単調で退屈な作業です。何個あるのかわかりませんが、とにかく延々とありますので、眠くなってきます。

このクリッカーは盤が低いので、椅子に座って作業が出来ます。正直、座ってじゃなければやっていられないです。

まあ地味なもんですね。

2010年12月20日月曜日

ああ、あこがれのシャトルシェフ

ホームセンターとかに行って、鍋を見ていたりするとキリの方は500円ぐらいの中国製から、ピンの方は1万円以上するような鍋が並んでいたりして、ピンの方はル・クルーゼシャトルシェフと相場が決まっております。
ル・クルーゼなんてただの鋳物のホーロー鍋じゃねえか、何でこんなものが2万円もするのか?と息巻きたくなるのですが、別にル・クルーゼを買う予定もなければ、特にほしくもないですので、どんな値段がついていようが別にどうでもいいです。
でもシャトルシェフはちょっと欲しいんです。保温調理というガス代とか電気代がかからないという思想が素晴らしいです。ただ問題は、1万円を超えるシャトルシェフを買って、ガス代・電気代の元を引くのは一体どれぐらいの期間がかかるか?それを考えると気が遠くなるというか、少々現実的ではありませんね。
だいたい今の工房で、これだけ油圧クリッカーとかエアーコンプレッサー、レーザー加工機、バキュームなどいかにも電気を大食いしそうな機械をさんざん回して、電気代は1ヵ月1万円を切るぐらいです。IH使って煮炊き程度で1万円の電気代を使おうと思ったら、これまた大変なことだと思います。

そんなわけで、わざわざ新品で買うのは馬鹿らしいということで買っていなかったのですが、本日ふらりとリサイクルショップに入ったら、ひょっこり置いてあるんです。そのシャトルシェフが。
私の他にいた夫婦が、興味ありそうな無さそうな感じで展示されているシャトルシェフを見ていました。
「お前らそのシャトルシェフを買うんじゃないぞ。いいか、絶対買うんじゃないぞ」と心の中でつぶやき、
「さあお前ら、さっさとどっか行け。失せろゴマ。英語で言うなら ゲット・アウェイ・セサミだ、どうだ参ったか」と念じていると、シャトルシェフから離れていきました。ラッキーです。
早速私が近づいて値段を確認すると、何と 税込み945円
そのまま掴んでレジに突撃。さて一体ここに何を買うために立ち寄ったのか?なんてことはもうこの際どうでもいいです。945円のシャトルシェフを買う運命だったということ以外、一体何があるのでしょう?

何と素晴らしい。4.5リットルの大きいタイプです。特に不具合も無さそうです。
早速タマゴを20個ばかり買ってきて、すべてシャトルシェフにぶち込んで一煮立ち。
そのまま1時間ほど保温しておいたら、立派な固ゆで卵になりました。殻をむいて、またすべてシャトルシェフにぶち込んで、味付けをして一煮立ち。今度は数時間保温調理させて、というか放置するだけですが、立派な煮タマゴができあがりました。実に素晴らしい。
WEBを探したら、シャトルシェフのレシピが掃いて捨てるぐらいヒットしました。945円の中古鍋でしばらくは人生がエンジョイできそうな予感です。

2010年12月19日日曜日

LX5ケース試作続き その3

本日日曜日、とりあえずLX5の方から片付けようと言うことで始めてみました。

まず、治具が微妙に合わず気に入らないので、データを少しいじって削り直しです。


二次元データからまた三次元データを作って、CAMで切削データを練っていきます。


ボツ(没)の治具です。なかなか高価な木材で捨ててしまうのも勿体ないので、ひっくり返して裏面に新たに切削をしたのでした。実にケチくさいですね。製品じゃないんですからいいんです。治具なのですから。


微妙に合わずに、ちょっと気に入らない、ということは治具とか刃型では案外よくある事で、それを気に入るまで削り直すとか作り直すことが、自分のところで出来るということは非常に有り難いことです。

実はこの治具も2回削り直しました。


では、実際に革を使って作ってみましょう。刃型で切り出してきます。


形状保持のステン板を貼り合わせます。このステン板を切り出す刃型も本日作りました。
画像ではハッキリ見えませんが、スクリーン回りの強度を保つためのプラ板も貼り合わせてあります。


レーザーで切り出した裏革+PETを貼り合わせます。





裏革+PETは簡単な図にすると上の画像のような感じのものです。赤い部分がPET板です。端から1mmほどは補強のPET板は不要ですので剥がしてあります。所々縦のラインで黒い部分は、曲がりの部分です。曲がりの部分も補強のPET板は不要ですので、この部分も剥がしてあります。レーザーの出力を弱めたハーフカットを駆使してこういう複雑な芸をやります。


圧着して取り出した状態です。


ステッチのガイドラインとしてのネンが革の端から2mmほどのところにきれいに入りました。
相変わらず多大な準備をして細かい芸をやっております。


そして、ガイドラインに沿って縫製。

ここでちょっと休憩。


MAYA マルチニークの女 


ラテンテイストあふれるJAZZアルバムです。
Youtubeのリンクをのせておきますので、ぜひ聞いてみて下さい。

ちょい綺麗なのか ちょいブス なのかとても微妙なルックスがまたいいんです。歌の方はもう素晴らしいです。