2012年11月30日金曜日

ブドウの革トレー試作 続き

昨日上手くいかなかったブドウの革トレーの試作ですが、凹型を結局削りだして再挑戦します。




絞ってみましたところ、結果は無残に失敗でした。昨日と同じく破れます。

仕方がないので、根本から再設計します。
まずサイズがちょっと大きすぎるので、これを一回り小さくします。ブドウのヘタの部分が小さすぎるのでこれは少し大きめにします。そして、ブドウの粒部分の彫りのカーブを少し緩く。こんな感じでやってみます。


とりあえず形状の見直し。少し小さくして、出来ればシンメトリーではない形状にしたいところです。


こうすれば、少し自然な形状に見えるかもしれません。


適当にやっているように見えると思いますが、この2次元の状態で、キチッとキリの良い寸法で円を作っておかないと、3次元で形状を作るときに少々面倒なことが起こりますので、R9.53mmとかR9.48mmではなくカッチリR9.5mm(φ18)で円を描いておくことが重要です。


ブドウの粒の皿になる部分は、緩いカーブで充分だろうということで、深さは2mmに設定して、円の直径に合わせてカーブを描いておきます。


さあ、ここから3次元世界に入っていきます。先ほどの2次元CADで作ったデータをライノで読み込みます。


とりあえずあっという間にここまで出来ました。だいたい30分ぐらいでしょうか。


ブドウのヘタ部分は新たに作るのも面倒なので、リンゴのトレーのデータから該当部分を引っ張ってきてくっつけました。

だいたいこんな感じの形状jが完成品となる予定です。
あとは凸型凹型を分離すれば出来上がりです。ここまで実質1時間かかっていないと思います。
驚くべき早さですね。ライノが良くできている3次元モデリングソフトなのは間違いないですが、実は簡単なことしかしていないからです。


切削に入る前に、凹型凸型を3次元のソフト上で重ね合わせてみて、革が挟まる部分のクリアランスが間違いなくあるかどうかチェックして、切削のステージに移ります。

2012年11月29日木曜日

ブドウの革トレー試作


先日の投稿に引き続きブドウの革トレーを試作というよりもまず革を成型するための型枠を削り出します。


設計した3次元のデータは上の通りです。


凸型の荒削りが終わった状態です。この後、エンドミル(切削刃)を交換して仕上げの切削にかかります。


凸型の切削が終了いたしました。
これは、どうなんだろう?この複雑な形状で革を破らずに成型出来るのでしょうか?相当難しそうな感じですが、成型出来たとしたらかなりすごい物が出来そうな気がします。

そして凹型の切削。


2012年11月29日午前8時半。荒削りが終わったところです(前日晩にセットして、夜中にゆっくり削ってました)。これからほぼ半日以上かけて仕上げの切削に入ります。

さあ、果たして本当にこんな形状で革絞り成型が出来るのでしょうか?
ちょっと楽しみでもあります。この形状で革絞り成型が出来るのでしたら、また革製品の自由度が上がることでしょう。


さあ削り上がりました。


絞りやすいライトキャメルを使って絞ってみます。


本当は数時間おかないと形が決まりませんが、とりあえず革が破れないかどうかチェックしたいため、型枠から外してみました。


大変残念なことではありますが、矢印部分が耐えきれなかったようで、破れております。
この部分はフィレットして丸みをつけないといけないようです。

データを修正して、また二日がかりで型枠の切削をします。


しかし、削り直しは時間がかかるため、それはまた今度にして、とりあえず該当部分を手で適当に削って丸みをつけてという超ローテクな誤魔化しをやって、再度絞ってみます。

いずれにせよ、絞り型はこの商品を販売する時点で再度切削し直します。
データだけは直しておきましょう、ということで、破れる部分をフィレット(丸面取り)をします。



ライノで丸面取りを実際にやっているビデオです。この程度でしたらコマンド一発で出来るので、苦労しません。


ブドウの実の部分と言いましょうか、円柱の部分の根本の方もフィレットして、たぶんこれで上手くいくような気がします。あくまで気がするだけで、実際にやってみないことには何とも言えません。

凸型の方のデータはとりあえずそのままで良いです。削り直しはまた今度考えます。

まあ、複雑な形状の革絞りという華やかな大技の裏舞台は、とにかく根気勝負という仕事で、全くもって地味な作業を延々と続けているだけなのです。

2012年11月27日火曜日

風邪引いて一回休み

先週末に弟が子供2人を連れて遊びに来たのですが、そのうちの一人がすごい熱を出していて、イヤーな予感がしたのですが、すっかり私が風邪をもらってしまったようです。その子供は薬飲んで一晩寝たらケロッと治っておりました。


仕事場に来ても、寒気がひどくて、何ともなりません。
そういえばハクキンカイロという便利なものがあったな、と言うことで、引っ張り出してきました。


引っ張り出してきたのは結構なのですが、燃料が入っていないのです。薬局にベンジンを買いに行かないといけません。

以前ハクキンカイロに凝って、わざわざ昔のAタイプ火口(上の写真)を探して数個ストックしてあります。A火口は石綿が使ってあるので、現行品の火口よりも丈夫なのです。

さて、風邪のため、本日は縫製をお休みにして、リンゴ革トレーに続く商品を作るため、3Dモデリングソフト(ライノセロス)をグリグリいじり回していました。モデリングソフトで凹型凸型のクリアランスを考慮しながら形状を作っているという行為は、なかなか時間を忘れて没頭するんです。


今度はちょっと高度な形状でブドウ型です。
とりあえず形状が出来上がりましたので、早速切削に取りかかっております。
上手いこといけば、今週末頃にはサンプルが上がる予定です。

2012年11月26日月曜日

いきなり好感触、、、

 11月23日金曜日から販売を始めたリンゴの革トレーですが、正直当店の商品ラインアップとは毛色が違う商品ですので、認知度が上がらない限りあまり売れないだろうな、と思っていたのですが、いきなり好感触です。もうすでに15個ぐらいご注文をいただいておりまして、作った本人が少々驚いております。予想としては、一月あたり4つぐらい売れれば良いところだろうと、そんな感じに思っておりました。

 これの売れ行きが続くかどうかはかなり微妙なところなのですが、型に嵌めて1日は圧をかけていないと成型できないので、どうしても1日に2つぐらいしか出来ないという商品です(現状絞り型が2セットのみです)。現状、絞り型を少なくとももう1セット用意しないと間に合わない状態なので、急遽本日絞り型を切削することにいたしました。


 絞り型というのは、外注すると結構高く付くと思いますが、自分のところで切削すれば材料費の数百円ぐらいで済みます。ただMDX-40切削機とモデリングソフトの先行投資分100万円がかかっているので、これの減価償却分が1セットあたりいくらになるか、正直なところあまり考えたくありません。
 まあしかし、材料費数百円ぐらいでしたら、作っておいても気になりませんので、あと2セットぐらい用意しておきましょう。


 スクエア型のトレイも、サンプルを一通り作ったら販売開始したいと思っておりますので、こちらももう1セット絞り型を用意しておいた方が良いでしょう。


リンゴ型の革トレーで味を占めましたので、今度は西洋梨型の革トレーも試作してみます。

今週は珍しく切削機がフル回転の予定です。



リンゴの革トレーとは関係ないのですが、フルーツつながりのねたです。友達がタイに行ってきて、お土産にドリアンチップスとドリアンのクリームが挟まっているウエハースのお菓子をもらいました。


ドリアンチップスは、それほど濃厚ではないのですが、クリームが入っているお菓子の方は、これがまた臭いからして生ドリアンという感じで、仕事場に置いたらガス漏れしているのではないかというぐらいの強烈な臭いです。

私は以前シンガポールに1年いたことがあり、そのときにたまにドリアンを食べたのですが、たまに食べるぐらいなら、まあ食べられないことはないというか、正直なところあまり好きにはなれなかったです。
シンガポールでは公共交通機関に生ドリアン持ち込み禁止という法律があったはずなのですが、それも当然という気がします。と言うよりも、ドリアンを食べた人間がバスに乗ってきた途端に、ドリアンの濃厚な臭気がバスの中に一気に広がるという強烈な食べ物です。

次はドリアンの革トレーに、、、いや、やめておこう。

2012年11月23日金曜日

リンゴ型の革トレー販売開始

しばらく前からボチボチ作っていたリンゴ型の革トレーを販売開始いたしました。


現状11色のカラーバリエーションから選択可能です。

お値段 1900円(税送料込み)。革の立体成型品が何とこのお値段。
ご購入は販売ページからどうぞ。


私は両面テープで車のダッシュボードに軽くひっつけて小物置き場にしております。

2012年11月21日水曜日

革の型絞りトレー 続き

先日の投稿で設計した絞り型を削り出しました。


ザッと10cm四方の正方形です。
こんな程度の物でも、のんびり削って2日がかりという結構な時間がかかりますが、一回作ってしまえばそうそう壊れるものでもないので、切削時間はそれほど問題ではありません。


設計したデータとちょっと形状を変えていますが、3次元のモデリングソフトでバーチャルな世界で作った三次元形状が、そのまま現実世界に物体として表現されるということは、毎度毎度新鮮な驚きです。



2012年11月23日追記

早速、この革絞り型を使って絞ってみました。



シンプルな正方形は灰皿っぽくなるかと思いましたが、それほどでもなく、悪くないとおもいます。



2012年11月19日月曜日

簡単に絞り型設計

縫製の合間に、革絞り型を設計してみます。
出来るだけ簡単にというかスマートにやってみます。


まず、形状と大きさの設計です。
リンゴ型のトレイの大きさと比べながら、大きさと角の丸面の半径を決めます。この時点では平面・すなわち二次元CADです。

今回は正方形の簡単な形状ですので、それほどデザインに頭を悩ませる必要はありません。


三次元に移行する前、つまり二次元の状態で、壁の状態を設計してしまいます。設計というほど大仰な物ではなく、厚みが1.2mmの革を絞るので、1.2mmの隙間をオフセットして作るだけです。内側が凸型、外側が凹型となります。


先ほどの大まかな枠と、二重の線をライノ(三次元モデリングソフト)に持ってきて、上の画像のように組み立てます。

この状態で、外枠の線をレールにして、そのレールに沿って二重の線をグルッと回すと凹型と凸型の型枠が一気に出来てしまいます。このコマンド名は「レールスイープ」といいます。


ちょっとわかりにくいですが、この状態ですでに革が挟まる1.2mmの空間を残して、凹型と凸型が出来上がっているのがわかると思います。



 上の2枚は違う角度から見た状態です。
 

二つに分けて、ちょっと加工して凹型と凸型を作りました。
恐ろしく簡単に革絞り型が設計できることがおわかりいただけると思います。

外観が、ちょっと灰皿っぽいのが気になるところですが、せっかく設計したので、削りだしてみたいと思います。

2012年11月18日日曜日

マイクプリアンプの真空管交換

先日購入したマイクプリアンプ:「ART Tube MP Studio V3」の真空管を交換してみます。


Googleで「ART Tube MP Studio V3 真空管交換」とサーチすれば、写真入りの解説がヒットしますので、それを参考にやってみます。

写真も撮りましたけど、まあ簡単に作業のご紹介。


Input、Outputのツマミを外します。これはマイナスドライバーなどでゆっくりテコで起こしてやると、つまみ部分だけ取れます。


ちょっと起きれば、後は指で簡単に外れます。

ノブの根っこに付いているナットを反時計回りに回して外します。


両側のネジ4本を外します。かなり硬く締めてありますので、左手でガッチリボディを握って、ドライバーを押しつけて最初の一ひねりを回さないとネジの頭を舐めます。まあ注意点はこれぐらいです。


これで蓋を開くことが出来ます。V3のつまみは外さなくても構いません。


V3のつまみの下に配線がつながっているので、この程度しか開きませんが、真空管の交換だけならこれだけ開ければ充分です。


元の真空管を外した状態です。左手で真空管のソケットあたりをしっかり押さえて、真空管は少しずつ左右にゆっくりグリグリと揺らしながら外します。一気に外そうとしないで下さい。

新しい真空管をソケットにゆっくりと注意深く押し込んでネジを元通りに組み付けて完了です。
真空管の表面に手の脂とか付くと、高温で真空管が割れたりするといけませんので、手袋をして真空管を扱うとよろしいかと思います。

さあ、音が変わったのかどうか、軽く弾いてみましょう。



まだまだ全然下手でお恥ずかしいのですけど、まあ約1か月だからこんな程度ということで。



エフェクター(Tone Lab ST)をいじるとテルミンが弦楽器のような音になったり、管楽器のような音が出たり、ハードロック風・ヘビメタ風なんでもありです。
ズラッと同じフレーズを弾いてみました。もう何でもアリって感じですね。とてもテルミンとは思えません。(上の音は後から編集したものではなく、こういう音が実際に出ます)

下手な演奏を聴いて頭が痛くなってしまった方は、中島みゆきのオリジナルもしくはFei Wongの北京語カバーを聞いて耳を治して下さい。

それは良いんだけど、肝心のエフェクトを掛ける前の音は変わったのでしょうか?さっぱりわかりませんけど、自己満足と言うことでとりあえずOKです。


初心者がこういう飛び道具を使うのは如何なものか?と思いますが、こういう楽しみでもないとすぐに飽きてしまいますので、継続するためには飛び道具でも何でも持ってきて、単調さを克服しながら続けるのが良し、そんな気がします。プロを目指すわけじゃないんですから、これで良いんです。

実は、自宅練習用にもう一台テルミンを買ってしまいました。

2012年11月14日水曜日

FINEPIX REAL 3D W3用貼り革の試作

先日、FINEPIX REAL 3D W3というステレオ写真デジカメを買ったのですが、カメラの持ち方が独特で、いい加減にカメラを持って構えると指が写り込んでしまうのです。指が写り込むカメラというと、旧ソ連製のHorizon 202というカメラに強烈な思い出がありますが(モスクワ郊外にあるKMZの工場まで行って買ってきた)、Horizon202には指写り防止の専用のグリップが付いていました。FINEPIX REAL 3D W3にもオプションでシューティング・グリップが用意されているのには少々驚きました。
まあそういうものが用意されているのは立派なのですが、結局面倒だから買わないです。

ここから本題なのですが、指写りしないようにカメラをホールドすると、表面がツルツルしているので滑りやすく、ホールドの感触がよろしくありません。そこで当店の登場で、滑り止めの貼り革を作ってみようというわけです。


とりあえず本体をスキャンして、指がかかる部分をCADでトレースして、レーザーで画用紙をカットして実機に合わせてみながら寸法取りをしていきます。


曲線が多いので割と面倒だったのですが、1時間ほどで採寸は終わり、実際に貼ってみました。

滑り止めが付いて、だいぶホールドが改善されました。
これも近いうちに販売しましょう。900円税送料込み予定です。




以前の投稿で、テルミンを購入したというネタを書きましたが、テルミンのその後です。


マイクスタンドを2000円ほどで購入して、工房の片隅にテルミンを設置。マイクスタンドの背が高すぎるので、30cmほど寸法を短くして、使いやすい高さに設置しております。


VOX  PATHFINDER10という激安なギターアンプを3600円ほど買ってきて設置。


私は楽器演奏にに全く縁のない人生を送ってきましたので、詳しいことはわからないのですが、GAINという音を歪ませる機能がアンプに付いております。
このノブをひねってGAINを掛けてやる(過入力させる?)と、音がどこか「ブワーッ」とした感じの音になり、「これはちょっと面白いな!」と、少し感激。

どうやら電子楽器(エレキギター)の世界には、エフェクターというものを使って、音をいじって好みの音色にしたり、色々な効果をつけたりして楽しむもののようです。



せっかくだから、何か自分もつけてみようと言うことで、Amazonを見ていたら評価の高いブツを発見。
ART TUBE MP STUDIO V3という真空管マイクプリアンプというものです。マイクプリアンプをなぜ楽器に付けるのか?という話は私も詳しくわかりませんが、深いことは考えずにとりあえずガンガンやってみようということで、6000円ほどで購入。真空管搭載でこのお値段、信じられませんね。


ただ、初めから付いている真空管は中国製の安物で、評判が悪いので、真空管の交換は必須のようです。わたしも ELECTRO-HARMONIX 12AX7EH というロシア製の真空管を同時に購入しました。
とりあえず評判の悪い中国製をしばらく使ってみて、真空管交換をしてみたいと思います。

それで、このART TUBE MP STUDIO V3をテルミンとアンプの間に噛ませてみたところ、これが確かに音に暖かみが出るのです。音が良くなったのか悪くなったのかは私の耳ではわかりませんが、音の角が取れて丸みが出た、そんな気がします。何はともあれ「これは実に面白いな!」、そんな気分です。

まだ2曲ぐらいしか弾けていない状態なのに、もう音にエフェクトを付けるという方向に興味が向いてしまっております。そしてさらに VOX Tone Lab ST というギター用マルチエフェクターも注文してしまっております。もう何でも良いから細かいこと考えずにガンガンやってみるゾ!という勢いなのです。

それでも毎日昼休みには30分ほど練習をしており、ちょっとずつテルミンも弾けるようになってきております。



昨日の記事に書いたフルーツトレイ「リンゴ」タイプですが、販売するのに押し型が1つだけだとどうしても心許ないというより、サンプル写真を撮るためのラインアップを作るのにも随分と時間がかかってしまいます。何しろ押し型に革を挟んで固定している時間が、半日~1日かかるのですから、当たり前なんですけど。


久しぶりにMDX40で切削することにいたしました。
切削も結構時間はかかるのですが、自分の手で切削するわけではなく、機械が勝手にやってくれますし、一回押し型を作ってしまえば半永久的に使えますし、ウチで切削する分には材料費だけです。
便利な世の中になったものです。