12000円ぐらいで買ってきた30年前の折りたたみ自転車、台湾のNeoBike社製 Neo Compoですが、もともとスターメーアーチャー製の内装3段ギアが付いています。
これもYoutubeの解説を見ながら分解清掃とグリスアップして近場の移動に使っておりましたが、家の周りは坂ばかりという人力の自転車だとなかなか厳しい環境におります。
そこで、ギアを多段化すれば人生はもっとより良きものになると判断して、改造を施すことにいたしました。ただ簡単ではなさそうです。
正直、後輪だけで良いんですけど、そういう売り方をしてくれないので305ホイールを前後買います。カセットスプロケットがつくものというところが重要です。16インチホイールにボスフリーだと14-28tしか付きません。これが漕いでも漕いでも進まない自転車になってしまい何ともなりません。
中国の独身の日セールで買ったので、実際は送料込83ドルでしたが、この時点で自転車本体の価格とどっこいとなりました。しかし商品写真には写っていないチューブとタイヤまでついていたのでお得感満載でした。
カセットホイールを買ってしまったので、もうやらないわけには行きません。リアエンド幅は110mm程ですので、カセットホイールが入る130mmまで無理やり広げます。精度とかそういう面倒な事は考えません。広げるとエンドがハの字に広がりますので、これも大きなモンキーレンチなどで挟んでまっすぐに曲げてやります。アルミフレームだとこんなの無理ですけど、スチールなのでこういうことも何とかできます。それにしても本当に強度は大丈夫か?というぐらい柔らかいフレームです。
12-32tというスプロケットとそれに合うディレーラーを取り付けてみましたが、地面とのクリアランスが取れません。というかすでに地面よりも下に位置していますので、平均台の上を走るのでもない限り、単純に走行不可能です。
また違う問題も出てきました。トップ側でフレームにチェーンが干渉します。多段化ということを前提にフレームを作っていないので、仕方がありません。あと2mmぐらい逃せばなんとかなるかもしれません。とにかくここまで来て諦めるわけにはいかないのです。
16インチにはロー側28tぐらいが限界だろうということで、
RD-TY21-MB 6S ゲージ:SS 正爪 14-28T ディレーラー
CS-HG41-7 7S 11-28T スプロケット
を買い直し。6速ディレーラーで7速を無理やり引っ張ることにします。正爪ブラケットだとこれぐらいしか選択がないのですから仕方がありません。
ギリギリですが地面とのクリアランスは一応取れているようです。
特に何をしたわけではないですが、チェーンはギリギリ干渉しなくなってました。後から考えると、リアエンドがハの字になっているのをまっすぐに直したからかもしれませんが、まあよくわかりません。いずれにせよフレームが外装多段ギアをつける構造にはなっていないのは間違いないことです。
あくまでギリギリ干渉していないというだけで、状況によっては6速,7速でチェーンがフレームにわずかにかすってシャーという軽い音を刻んでくれますが、平凡なようでも人生を50年以上生きているとそういうことも起こるものだという大きな気持で、慌てず騒がず深く気にしないことにします。
オリジナルのチェーンリングをはめてみたところ、あらま!チェーンが噛んでくれません。
そういえば、もともと内装ギア用のチェーンだったものを外装8速用チェーンに交換したので、チェーンの太さが違ってきているのですね。
52Tのチェーンリングは持っていたので、5アームクランクの中古を調達してきて装着しました。近くのハードオフにはジャンク籠みたいなものがあり、無造作に自転車パーツがゴロゴロ入っていて、不思議なことに今回の改造で使える中古の自転車部品が色々入っていました。
様々な面倒事を乗り越えてやっとここまで来ました。16インチ305サイズホイールの7速化が一応終わったのでした。
地面とのクリアランスを稼ぐために1コマ分チェーンを無理やり詰めています。
オリジナルの鉄板を打ち抜いたような重たかしいチェーンリングを軽量のリングに交換したので、見た目がスリムでスッキリ。チェーンカバーも取っ払いました。フェンダーとリアキャリアも外すとスポーティな姿で実にカッコいいのですが、雨の日にも乗る実用車なので泥除けフェンダーは残しておきます。
6速ディレーラーで7速のしかも指定範囲以上のギアを引くので、ディレーラーを色々調整しても今ひとつ変速が気分良く決まりません。中間ギア(3速4速)を合わせると両端ギア(1速7速)がきれいに入らない、その逆をやると中間ギアがグズグズする、そんな感じです。どうやらキャパが足りてないようです。妥協点として、両端ギア(1速7速)からチェーンがスプロケットから脱落するのは面倒なのでこれを優先して、中間ギアはグズグズ言っていたとしても私が腹を立てるぐらいの事で、実害はそれほどないのでこっちはもう仕方がないと諦めます。スパッと入らなくてもギアをガチャガチャと上げ下げしていればそのうちに目的のギアに入るから。
要は無理に無理を重ねているので、うまく動く方がおかしいのです。しかも施工しているのは素人ときています。ここまで良く頑張ったと生暖かく見てほしいところです。
ブレーキは前後ともシングルピボットの全然効かないオモチャみたいなブレーキからデュアルピボットのものに交換して、ブレーキの効きはだいぶまともになりました。16インチの小径車でブレーキがやたら効きすぎるというのもこれまた怖いですので、ちょうどいい塩梅というところではないでしょうか。
305サイズのホイールですから、トップ11Tで頑張って漕いでも平地だと30kmぐらいでしょうか。下り坂だと37kmぐらい出ましたけど、こんないい加減な自転車で40kmも出したくはないです。調子に乗ってスピードを出していると大事故を起こしそうな雰囲気がこの自転車には漂っています。
街乗りの平地だと4,5,6速だけで間に合います。それ7速化の意味あるの?という感じですが、威力を発揮するのは登坂時ですよ。普通の坂で3速、ちょっときつい坂で2速、激坂で1速。1速だと猿回しの自転車芸みたいな感じになりますが、自転車を降りなくても坂を登れるのはありがたいです。運動部の学生がママチャリで立ち漕ぎしながら必死に登ったり、軟弱な文系学生が自転車を押して登る坂も、私はこの自転車を低いギアで高回転でペダルを回しながらも登坂していきます。これは一種感動的な姿です。
スピードを出さずに低めのギアでチンタラ漕いでいても、それがまた何だか楽しいなと思える、そんな素敵な自転車になったのでした。
同系色の革を巻いた3Dプリントのグリップがこれまたいい。
7速のシフターは数百円で新品が買えてしまうというコスパの良さ。それでいてなかなか使いやすいという文句の付け所がないものです。見た目が安っぽい?数百円の商品にそんな文句を言うのは完全に間違っていますよね。
結局、自転車整備の知識も技術もない人が力づくで改造して車体以上の金をかけて7速化というアホみたいなチャレンジが終わったのでした。
ですが金をかけた以上に満足度は高いです。この自転車でちょっとした遠出も可能になるわけで、私の人生は7速化で更により良きものになったのでした。
ウチのネコによく似たシルエットの自作サドルバッグもいい感じになっている。
気になる重量ですが、バッグ類全部つけて実測12.1kg。古い時代の自転車だし鉄フレームだし14kgぐらいあるのでは?と思いましたが意外と軽いです。
30年前のコテコテ自転車を無理やり自分で何とかして乗れるようにする、このプラグマティズム、これが私にはカッコいいあり方なのでございます、、、なんつってな。
追記
散々苦労しましたけど、このディレーラーを使えば小径車でも32Tぐらい全然行けるらしい。
このディレーラー、10速スプロケ、シフター、10速チェーンと揃えたら結構なお値段になりますけどね。