前回投稿(スマートタグの旅 5)からずいぶん時間が経ちました。
結論から申し上げると、大変残念な結果になりました。双六で言うなら「振り出しに戻る」、いや正確には「振り出しすら通り越してスタート地点の裏側まで行ってから戻ってきた」という、壮大なる徒労の旅でありました。
マリア・エレナでの長い沈黙
マリア・エレナで1ヶ月ほど留め置かれた状態が続いていたので、これは砂漠の真ん中で座礁したかと半ば諦め気味になっておりました。もう動きそうもないなと思いつつ、たまにFind Hubを覗いてみる日々だったわけであります。
引き返す荷物
サンティアゴ空港の近くに戻ってきたので、あとは飛行機に積まれて日本に強制送還されるのでしょう。行きは期待に胸を膨らませて追跡していたこの経路を、今度は敗走ルートとして逆走しているかと思うと、何とも物悲しいものがあります。
経路の全容
なぜ届かなかったのか
戻される正確な理由はわかりませんが、砂漠の僻地に荷物を送ろうとした身としては、いくつか思い当たる節があるわけであります。
- 地図で見るとキジャグアには郵便局が存在しない。マリア・エレナまで本人が取りに来る必要があったのではないか。砂漠のど真ん中に住んでいる人間に「郵便局まで来い」というのは、もはや試練の類である。
- 関税を払えと言われて、「そんな荷物は知らん」と突き返された可能性。身に覚えのない国際郵便が届いたら、普通はそうなるだろうという話です。
- そもそもキジャグアに郵便を配達するルート自体が存在しない。とりあえずマリア・エレナまで運んでみたものの、その先に行く手段がないのでしばらく放置された挙げ句、自動的に返送処理された、という可能性。
いずれにせよ、「世界で一番雨の降らない町」へのルートは、郵便インフラという名の高い壁に阻まれたのでした。水すら降らない場所に、小包が降ってくるはずもなかったという次第であります。
壮大なる旅の総括
郵便料金わずか550円で地球の裏側まで送り届けられ、そして(たぶん)日本にいる私の手元にまで帰還してくるという壮大なルート。2ヶ月以上をかけて太平洋とヨーロッパと南米大陸を股にかけた旅行を、スマートタグは静かにやり遂げたわけであります。到達こそできなかったものの、550円でこれだけの旅程を踏破するというのは、ある意味国際郵便という文明のバグを突いたような壮挙ではないかと。
ちょっと残念な結果ではありましたが、スマートタグの方もさすがに疲れたことでしょう。しかし休息はまだ早い。今度は新たな僻地を探して、再び旅に出てもらわなければなりません。
中央アジアには飛び地があちこちに散らばっていると聞いたことがあります。ウズベキスタンの中のキルギスとか、キルギスの中のウズベキスタンとか、国境線が酔っ払いの描いた落書きのように入り組んでいる地域があるらしいのです。その中の僻地っぽいところを見つけ出して、次なる旅の目的地にしたいと考えている次第です。