2023年12月30日土曜日

宝田(ほうでん)式製麺機?


 また気合が入った小汚い機械を入手してきました。


送料込みで1700円とかそれぐらい。メーカー不明だけどネットで調べると宝田(ほうでん)式製麺機というものではないかと思われます。





このままでは産廃に準ずるものと言われても仕方がありませんが、欠品は無さそうです。


底板の裏には裏書きあり。
「昭和24年6月28日新調 粟飯原リン所有 下宿坂下」
昭和の昭の字が照になっているのが微笑ましいです。
粟飯原リンさんが亡くなり、何十年も納屋に眠っていたのが遺品整理で業者に引き取られ私の手元にきたものだと想像されます。


シャフトは頑強に圧入されていたのでギアとシャフトの分解は諦め、そのままの状態で洗剤液にドブ漬けして、錆取り、汚れ落とし、ローラーの磨き、使えないネジはネジ穴の切り直しをしてステンネジに交換、ホッパーと一本足は鋳造アルミだったので磨くのはやめて塗装で何とか使える状態にしました。

古くて埃が被って汚れていただけで、別にどこも壊れているわけではなかったので、無理して分解する必要もなかったですどうでしょう






どうでしょう?この美しいカーブを描いた一本足のフォルムがたまりません。
この姿を雅に表現すればフラミンゴ。雑に表現したらカカシですね。


古い木の底板は捨てて新しいものに交換しようかと思ったけど、粟飯原リンさんの裏書きを尊重して、カンナを掛けて防腐剤を塗って後世に残すことにしました。
新品同様にはできなかったけど、外装の汚れ落としはもう少し頑張ろうかな。そういえばホッパーに付いてた麺送りの木製ローラーをつけるのを忘れていました。

ネットで調べるとこんな名前の会社が出てきました。
宝田工業株式会社

この会社が昭和30年設立なので、会社設立前の個人事業のときに作られたものではないかと思われます。もしかして製麺機で儲けてその資金を元手に会社設立という経緯なのでしょうか。
何れにせよ歴史を感じます。

元の所有者であるリンさんの子どもたちは、この製麺機で作られたうどんを食べて大きくなったのでしょう。明治大正生まれのリンさんがパスタという洒落たものを知っていたとも思えませんので、子どもたちはうどんばかり食わされるのに堪りかねて
「また今日もうどんかよ!母ちゃん、もううどんは食いたくないよ、勘弁してくれよ」
と不平の一つも言ったかもしれません。そんな子どもたちも今はすっかりおじいさんおばあさん世代になっていることでしょう。
中古カメラにも言えることなのですが、すべての古いものにはドラマが詰まっている、それを地で行く古い製麺機ですね。

他の製麺機の麺切りローラーは2.2mm幅ですがこれは1.8mmなのがちょっとうれしいです。

俺もな、2.2mmの麺はちょっと飽きてきたんだよ。今は1.5mmくらいの細麺が食いたいんだよ。