2010年5月31日月曜日

不思議な不思議な資本金

本日法人設立のため、司法書士さんのところに書類揃えて行ったのですが、さて日常的によく聞く「資本金」というのは一体どういうものでしょうか?とりあえず合同会社の場合の例です。株式会社の場合は違うと思います。

まず不思議なのが、資本金というものは法人登記の前に用意するわけです。つまり法人を申請するときですね。その時点ではまだ法人が設立されていないので、その法人の口座というものは当然存在しません。では資本金はどこに置いておけばいいのでしょうか?法務局に預けるとか、代理する司法書士さんに預けるとか、私はそんなふうに思っておりましたが、実は違うのです。

資本金:例えば300万円としますと、その300万円をどこからでも良いから調達してきて、申請者の個人口座にその300万円を入金するのです。その「300万円という額面が入金されました」と記入された通帳のコピーを添付して法人設立の申請するのです。



だったら300万円以上入っている通帳のコピーじゃアカンのですか?という当然の疑問を私もぶつけましたら、それじゃあダメなんだそうです。今ひとつその真意が把握できませんが、ダメって言うんですから仕方がないので、256円の送金手数料を払って、自分の口座から別の自分の口座にネット送金して、それを通帳記入して持って行きました。

何だったら1時間だけ300万円借りてきて、入金+通帳記入してその状態の通帳をコピーの後、即その300万を引きだしたとしても、別に問題ないのだそうです。それじゃあタダの見せ金じゃないですか?と当然思われると思いますが、まさにその通りなのだそうです。

何億の資本金を用意して設立する立派な会社の場合は知りませんが、資本金数百万という自分の小遣い銭程度で「それじゃあ、とりあえず一本行っておきましょうか?」という居酒屋でお銚子頼むぐらいなノリの合同会社を設立するぐらいでしたら 資本金=見せ金 という認識で全く問題なしということです。

6月1日に申請予定でしたが、6月1日は仏滅なんですねぇ。6月7日に申請が通ったらダブル仏滅ですよ?と言われてしまうと、普段気にしたこともない事を変に気にしたりして、
「6月2日が大安です」と言われて、
じゃあそれでお願いします、となったのでありました。8日に申請が通ったりしてダブル大安になるでしょうか?

で、法人設立したら、このブログは「シャチョウ激闘ブログ」となるかというと、別に変えるつもりはありません。だいたい「社長」って響きが悪いよね。夜の繁華街なんか歩くとちょくちょく

「シャチョウ!寄っていってくださいよ。いい女の子いますよ!ねえシャチョウ」

って呼ばれます。そんなイメージしかないです。今後も「店主激闘ブログ」ということでよろしくお願いいたします。

合同会社と書いてありますが、合資会社とか合名会社の書き間違いではありません。合同会社です(Wikipediaへのリンク)。

2010年5月30日日曜日

また新たな商品作り

本日日曜日。当然ですが店主は休みなし。

またとある雑誌の企画がらみで、新しい商品を作り始めました。"とある雑誌"とかぼかして言わなくても、私を使う雑誌社さんは一件しかないわけですが、昨日ちょっと貼り革を採寸して、本日はケースの試作に手をつけていきます。

今回は澤村徹さんから、話を持ってきていただきました。お座敷がかかった!という感じです。
去年のマイクロフォーサーズワールドから始まって、現在編集中のムック(もうすぐ発売:オリンパスPEN WORLD)に続いて、次の企画(名称未定)ということで、随分と澤村さんにはお世話になってしまってます。もうすでに澤村組の若い衆と言っても良いんじゃないでしょうか。

というわけで、お座敷がかかりましたので、私もとりあえずケースの底板部分の刃型製作から始めたいと思います。



まあ、一人で仕事をしているし、刃型を曲げるのも久しぶりとあって、ノソノソと底板部分の刃型を曲げて、昼から側面に手をつけてみようかと、そんな感じでちょっとのんびり進んでいます。

ちょっと途中で眠気が襲ってきて、1時間ぐらい昼寝をしたりなんかしてしまいましたが、レーザーで床革をカットしながら組み立ててはCADを引き直してを繰り返し、試作15号まで進めました。




何のカメラのケースかは言えないんですねぇ。
画像などを絶対に掲載しないようにという厳命なのです(普通そうですけど)。


こういうシールもカメラに貼ってあります。

形はこんな感じでほぼ決定で良いんじゃないでしょうか。デジカメケースというのはボタンとスクリーンのおかげで、かなり形状が制限されてしまいます。とりあえず今回の親方である澤村徹さんに送って、意見をいただいて進めていくという感じになります。

2010年5月27日木曜日

バーコードリーダーを購入の巻

当店は出荷の時に発送案内メールを出して、伝票番号(追跡番号)がある場合は、その番号をお知らせするのですが、番号を今まではいちいち手入力をしておりました。バーコードリーダーとかあったら便利なんだけどなと毎度毎度思っておりまして、しかも手入力は往々にして入力間違いをしてしまい、お客様にご不便な思いをさせてしまうという大問題がありました。

そこで本日、名古屋は大須の第一アメ横ビル内、奥の方にある委託品を売っているロッカーが並んでいるところで中古品を探してきました。


お値段は何と2500円也。東北リコー製 RT3660USB という型番です。
説明書も何も付いていないので、WEBで探してみましたが、東北リコーのバーコードリーダー部門がすでに売却されており、何の情報も得られませんでした。

USBにつなぐときちんとバーコードを読み込みますので、まあ説明書とかはいいんですけど、意外なところで問題発生。


上の画像はレターパック350の伝票番号部分バーコードですが、これを読み込むと

a326004645632a

なぜか「a」という文字が番号の前後に付加されてしまいます。


さらに上の画像は、代金引換郵便の伝票番号部分です。
こちらの番号をリーダーで読み込むと

c86610663484c

「c」という文字が番号の前後に付加されます。伝票にもCが付いていますけど、Cは追跡をかけるときに不要です。



西濃はどうかというと、

a3772180640a

こちらも「a」という文字が番号の前後に付加されます。

色々試してみましたが、バーコードリーダーの問題ではないようで、運送関連の伝票番号は、a とかc とかの文字が前後に付加されるようです。しかしEMSの伝票番号にはありませんでした。


一体何の意味があるのでしょうか?とにかくa とかcは不要ですので、発送案内メールを出す秀丸メールの自作マクロ(スクリプト)をいじって、バーコードリーダーの読み取り時に a とかcを除去する事にいたしました。使った外部DLLはht_tools.dll(リンク)のTrimStrという関数で実際には下のような感じ。

$ShippingNumber = input("伝票番号を入力");
//ここでバーコードリーダーで読み取り
loaddll Hidemarudir + "\\ht_tools.dll";
//DLL読み込み
$ShippingNumber = dllfuncstr("TrimStr", $ShippingNumber, "a");
//読み込んだ伝票番号両端の"a"を除去
freedll;
//DLLをメモリから解放

しかしながら、皆さん色々便利な機能を考えるものだなと、心底感心したのでした。

2010年5月26日水曜日

アサカメの取材

今日は午後3時前頃に、アサヒカメラの記者さんとカメラマンさんが取材にいらっしゃいました。
ウチの仕事場は"掃きだめ"みたいなところで、たまに来客があるととても恥ずかしいんですけど、 一応昼から片付けと掃除をして、それなりに綺麗にして取材を受けました。

記事は「シャシン手仕事最前線」というコーナーです。来月号に載るのでしょうか。アサカメを読まれる方はぜひチェックしてみてください。

アサカメとなると母体が非常に大きなところですから、こちらもとても緊張するわけですが、いらっしゃった記者さんもカメラマンさんも非常に気さくな方々で、何よりもカメラマンさんに至ってはかわいい女の子(よりは少々年齢が上だと思いますが)ですよ。

仕事内容の取材に40分ぐらい、記事にするためにインタビューのような感じで30分ぐらいお話しをしたのですが、やっぱりこのあたりはプロだなと思ったのが、他人(この場合は私ですね)に気分よく話させるテクニックをよく心得ていますねえ、ということです。上手いこと持ち上げながらインタビュー相手にベラベラ喋らせるわけです。
そして、よくインタビュー相手のことをよく調べてから取材に来ているのには、とても感心いたしました。私が以前やっていた商売の事とか書いた本とかの事など、今時知っている人ももう少ないんじゃないかと思っていましたけど、よーく知っていらっしゃいました。

そんなわけで、私もうっかり随分と喋ってしまったな、という取材でした。

2010年5月25日火曜日

孤独な戦い

スタッフが帰った後も、一人で仕事を続けます。


GF-1の側面パーツの縫製。



 ストラップの縫製はほとんどひたすら真っ直ぐに縫うだけですから楽なもんです。定規を当ててミシンの速度を高速にして、フットペダルを踏むだけです。




心配しなくても、まだ縫うものはたくさんあります。とりあえず今日は夜11時ぐらいまでです。

2010年5月23日日曜日

本日日曜日、でも稼働

本日も店主は稼働しております。

朝食を取ってから始めようとか言っていると、結局グダグダして昼まで仕事にかかれない(かからない)というパターンに填りますので、朝起床したらすぐに仕事にかかるようにしております。


今日はE-PL1ケースの側面と底の合わせ縫いを9個。死ぬ覚悟で頑張れば一日に30個ぐらい出来ますが、今日は日曜日でとりあえず死ぬ覚悟はないので、ボチボチやって、途中で買い物に出かけたりもして、今日はこれぐらいにしておきましょう。

さて、E-P1/E-P2ケースは工程を増やして、品質を高くしたのですが、その解説です。


上の写真のなかの上のピースが荒切りの状態です。この状態は裏革と心材を挟み込んで貼り合わせてある状態です。その状態から、上の写真中の下のように刃型を合わせて本カットとなります。


部分拡大した写真です。端に2本のネン(溝)が入っております。外側の溝が本カットの刃型を合わせるネンで、内側がステッチのガイドラインです。


さらに拡大したイメージです。2本のネンがご確認いただけると思います。


本カットが終了した状態です。見事に外側2mmが残っております。もうこれは一種の「芸」と認めていただいても良いのではないかと思います。


本カット後の拡大写真です。ネンが一本少なくなっているのがご確認いただけると思います。
カットしたものを貼り合わせるのではなく、貼り合わせたものを一気にカットする事によって、表革と裏革のズレは全くなくなり、カット面は非常に美しくなります。

デジカメケースの場合、形状を保たせるために心材を多用するので、(ウチの場合は)かなり複雑なカット工程が必要になるわけです。


芸としては結構、熟成されてきたのではないでしょうか。現状ここまで細かくやっているのはE-P1/E-P2ケースのみです。

2010年5月22日土曜日

怪我してしまいました

オーダー再開して、さあ5月の残りわずかな日数で日銭を稼がないといけないと張り切っているところで、いきなり怪我。



カメラケースの底部分は硬い心材を革で挟んで強度を出しているのですが、硬くて厚いものを刃型でカットする場合、カットした後に刃型にカットしたものが嵌り込んでしまい抜けない場合があるのです。それを無理矢理手で押して抜き出そうとしているところで指が滑って、刃で指をスライス。中指と薬指をやられました。
血が吹くほどではなかったのですが、結構深くまで逝っていて、バンドエイド程度では血が止まらなかったです。怪我など久しぶりです。

不幸中の幸いと言いましょうか、人差し指は無事で、ミシン掛けも手縫いも何とか出来る状態ですので、血が止まった後は通常業務です。

しかし困ったことに来週の26日にアサカメの取材が来るのです。その企画がよりによって、

シャシン手仕事の最前線」という連載ネタの取材で、特に手のアップの写真を撮るのだそうです。
どうしよう...かなり困ったな。

水曜日までに傷口はふさがるでしょうか....。

2010年5月21日金曜日

オーダー再開

やっと何とか大口のご注文が終わりまして、先ほどAirの手配を済ませて発送が完了して(行き先は海外)、オーダー再開させていただきました。長らくご不便をおかけして申し訳ございませんでした。

今回は納期がきつかったのですが、残業・残業の強行軍で押したため納期の4日前に発送することが出来て幸いでした。じゃないとこっちは日銭が入ってこなくて大変なんですから。

きつい仕事を請け負うと、実際のところ辛いのですが、その反面、無理矢理でもこなす事が出来れば、その分、良く鍛えられたという実感があります。今回もとてもよく鍛えられました。

何が鍛えられたかというと、具体的にはケース製作工程がスムーズになったと申しましょうか、スタッフ全員が今自分が何をすれば良いのかということを、暗黙のうちに了解して行動できるということが一番大きいのではないかと思います。こうなると、完成まで結構工程が多いケース製作も、どこかで工程が詰まったりせず「ああ、もう出来たのか」という感じで、さっさと仕事が流れていく、まあそんな感じです。

あの地獄みたいな時に比べれば、通常業務ぐらいヨイヨイですがな、と余裕をぶちかまして大口を叩いているんだとさ。

2010年5月18日火曜日

なんかまた機械が欲しくなったり

私は兎にも角にも機械が好きです。とは言うものの機械でも高級外車とか機械式時計とかはそれほど欲しいと思ったことがありません。私にとって車など軽自動車で充分ですし、時計など一つも持っていません。実を言うとカメラもあまり欲しいと思ったことがないというのは内緒です。とにかくそれらのものはちっとも金を生みませんから全然興味が沸きません、とか言ってしまうと身も蓋もないんですけどね。
何でも良いから働く機械、これに弱い。だから私は若い頃は建設機械に乗っていました。仕事をする機械に痺れてしまう、実に変な性格だね。

またすごいメカメカしいミシンを見つけてしまいました。


ご覧ください、このメカメカしさ。ドイツ製ですよ。ミシンと言うよりも縫製機という感じです。
ドイツ製というのがとても肝心です。ドイツ製のステッチャー(縫製機)で縫った革製品となると、不思議なことに何となくちょっぴり欲しくなってしまう、そんな気分が製品に付加されます。

これはホラでも何でもなく、例えるならビンテージジーンズを履くようなユーザーは、ユニオンスペシャルというアメリカ製のアンティークなチェーンステッチミシンで裾上げをしたものしか認めない、そういうところに如実に表れております。チェーンステッチミシンなど日本のJUKIというミシンメーカーが現行で作っているはずですよ。でもアンティークなユニオンスペシャルじゃないと気分が宜しくないみたいです。なのでユニオンスペシャルなど外観は鉄クズの左か右ぐらい(よく言えばアンティーク感満点)ですが、驚くべきプレミア価格で取引されております。

さて話は戻って、右の方にハンドルというかクランクが見えますね?何と手動(手回し)です。


「オマエ、こんなもの一体何に使うつもりだよ?」と言われてしまいそうですが、

そんなこと私に聞かれても知るわけがありません。とにかく目的なんかどうでも良いんですから、このメカメカしくて全体から「ミシンと言うよりも縫製機」:つまりソーイングマシンというよりもステッチャーという雰囲気がプンプンしているこの機械が欲しいんです。

Youtubeでこの機械が実際に動いているビデオを見つけてしまいました。他人様のビデオですので、ここに直で貼るわけにはいきませんので、リンクを張っておきます

ビデオを見たら、さらに欲しくなってしまいました。もう何が何でも欲しい、これ以上は我慢ができん。
そして、一瞬のうちに在庫(中古)を持っている業者をヨーロッパで見つけました。

恐るべき勢いで、問い合わせのメールを書きました。しかもタイミングを見計らったようにユーロは絶賛大暴落中、今を逃す手はありません。
相手もなかなかのもので速攻で返事が来ました。
「ドイツ語の取説しかないけど良いかな?」
現状きちんと動いていればゴタクはどうでもいいから、送料込み合計額と、銀行口座を早速教えてくれ、と再度返事して、そして、現在インボイス待ち。

また機械が増えるね、、、。

しかしビデオを見ても、一体どういう仕組みでというか理屈でロックステッチをしているのかさっぱりわかりません。 正直言うと、普通のミシンでもどうやって上糸と下糸を引っかけてロックステッチになるのか、何度見ても今ひとつ意味がわかんないですけど。

取説のコピーの一部を送ってもらって、やっと何となくわかりました。


何と縫い針は下に付いているのですね。上から打っているのは縫い針ではなくAwl(縫い穴開け用のキリ)のようです。なるほど、これは賢い。一般的なミシンというのは、縫い穴開けと縫製を1本の針で行いますので、弱点として裏の縫い目があまり美しくないのですが、裏からあらかじめAwlで穴開けをすることによって、表裏ともに縫い目が綺麗に揃うわけなのですね。誰が考えたのか知りませんが、とてつもなく賢い。まさに人類の英知がここに反映されているような気がします。

だがしかし機械をよく見ると、下から上がってくる針にかかっている糸が上糸のはずですが、下糸が巻いてあるはずのシャトル釜は下に付いています。やはりどうやってロックステッチしているのか、よくわかりません。機械が来たら、じっくり仕組みを理解してみたいと思います。

2010年5月17日月曜日

そして第2週

先週は朝の6時から夜12時まで(スタッフは朝8時~夜10時)ケース作りを延々と続けて、何とか先週中にケースは目処が付きました。




以上、一部の写真です。
だいたい3週間の出荷量分ぐらいの量を1週間でこなすのですから、かなり無理がありました。

今週はストラップから始めております。さすがにストラップは、ケースと比べて手間がかかりませんので、本日ほぼ目処が付きました。明日から貼り革を作っていきます。おそらく今週末ぐらいにはオーダー再開できるのではないかと思います。



ただ今後、反応が良ければ今後継続してオーダーを入れたいという先方様の御意向がありまして、これほどのハードワークが今後もし続いたらどうしよう、と頭を抱えている状態です。つまり今後しばらく1か月のうちに2週間オーダーストップせざるを得ないという、非常によろしくない状態になる可能性があるわけです。人を雇って事業規模を大きくするか、側面縫いだけでも外注に出すかとか、色々と考えております。まあ、何はともあれもう個人事業ではやっていられませんので、6月1日にとうとう法人申請いたします。

話は変わって、以前15年ぐらい前、私はシンガポールに住んでいたことがあり、そのときアパートの同じ階(2つ隣部屋)に住んでいて、仲が良かったインドネシア人のドクターが、インドネシアのSintangという州というか県というかの副知事になっていて、現在今度は知事選に立候補しています。


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そのドクターは元々インドネシアのカリマンタン(ボルネオ島)の無医村を4WDとかモーターボートやら時にはセスナで回って医療サービスをしているという変わったことをやっている人(インドネシア政府の医療チームの一員)で、人間としても放っておいても人から慕われるタイプの男でした。

イスラムの断食月の時には、学校に行く前の朝っぱらからそーっと私の部屋に来て、他のイスラム教徒に見つからないようにコーヒーを飲んだり、昼は昼でイスラムの食堂では断食月の昼間は食事を出してくれないので「マクドナルドに行こうぜ」と誘いに来たりして、すっかり断食をサボっていたドクターが今ではすっかり立派な地域の名士になっていたのでした。まあ元々エリートなのですが。


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色々な人生があるものだと感慨深く思ったのでした。

2010年5月13日木曜日

手縫い用糸のロウ引き

早朝から深夜まで延々とケース作りが続いております。
私の役目は側面と底の手縫いですが、淡々とやっております。こんなに真剣に仕事をしたのは、人生初めてなのではないだろうかというぐらいです(実に甘い人生ですな)。


本日手縫いした分だけで上の状態。一体全部でどれだけあるのでしょうか。全部作ったらすべてを並べて記念写真を撮っておきたいところですが、並べるスペースがありません。

革の手縫いは縫製途中に糸が緩まないように糸に滑り止めのロウを引いて縫製をするのですが、ロウを引いたら滑るのではないか?と当然の疑問があるかと思いますが、ロウと言っても松ヤニが混ぜてあるものです。
このロウ引きという作業に案外時間を取られてしまっていることに、本日気がつきました。1回あたり3分ぐらいです。たった3分というなかれ、100個作ったら300分:つまり5時間。ロウ引きという作業は大変重要な作業なのですが、100個で5時間は完全な時間の浪費としか言いようがありません。

そこで本日、このロウ引き作業を一気に済ませてしまおうということで、やってみました。
100円ショップで売っている雪平鍋に、養蜂業者さんから買ってきた蜜蝋を入れて、コンロにかけて液状に溶解。その中に糸を通しながら、片方では電動ドリルの先に紙管をくっつけて、ロウが染みこんだ糸を延々と巻き取っていくという、こうやって書いてしまえば至って単純な方法。糸が絡まないようにしながらとか、糸に付きすぎたロウをこそぎ落としながら糸を巻き取るには、多少の工夫と、人間二人がかりでないと難しいです。


結果は上の写真の通りで、1時間弱の作業時間で全部で500メーターはロウ付けしたと思います。
熱して液状のロウに糸を通しているので、ロウが糸の表面だけではなく中まできちんと浸透していてほぼ理想的なロウ引き状態です。糸がシャキッとしているので縫製途中に糸が絡まったりせず、手縫い時間もわずかですが短縮できて、縫い上がりも美しい、という良いこと尽くめの素晴らしい結果となったのでした。

2010年5月9日日曜日

5月9日 日曜

本日6時起床、すぐに仕事に取りかかります。


日曜日の朝っぱらから機械を回して大きな音を出すわけにはいきませんので、昨日カットしておいた裏革の剥がしをいたします。100%手作業ですから音がしません。とりあえず100個ぐらいあります。



 その後は、側面の組み立て。コバ塗りなど。


午前10時頃からレーザーを使ってアクリルを削りながら治具作り。下の写真はE-P2ケースの底部分の型枠。ネンを入れる押し型です。



 E-P2ケースの側面の裁断。下の写真の分だけで70個はあるのではないでしょうか。これでもまだ一部です。

表革荒裁ち → 表革の床面にゴムのり塗り → 表革+心材貼り合わせ → 2回目の荒裁ち → 縁漉き → ゴムのり塗り

という複雑な工程を経てやっとここまで。ゴムのり塗り機という利器を持っていなかったら、軽く死ねるレベルです。

この後、裏革貼り合わせ → 本裁断 → コバ処理 → ミシン縫製 → 底部貼り合わせ → 側面+底部縫製(手縫い)

書き連ねると結構気が遠くなる工程です。


 今日も午後12時頃まで縫製をやります。



2010年5月8日土曜日

すでに現場は

現在、5月8日土曜日8時18分。
私もスタッフも10時頃まで残業予定で、今後2週間ぐらいこの状態が続きます。


大きなところから大きな仕事をいただきまして、こなしきれるかどうかギリギリの工程です。
私は今日は午前1時頃まで縫製を続け、明日も休みなど当然ありません。すでに現場は地獄に突入しております。