2010年6月30日水曜日

新しいスタッフ

スタッフが卒業して困ったなと思っておりましたが、本日希望者と面談して早速決まりました。
フルタイムで入ってくれると言うことで、これでウチも助かります。
ウチの仕事は決して技術的に難しくないのですが、兎にも角にも複雑です。複雑とは言っても、工程はしっかり決まっており、どういう順番で何をやるということはハッキリしていますので、マニュアルとかがあったら覚えるのは早いのですが、新しいスタッフ一人のためにマニュアルを作るよりも、しばらく付き添って教えたほうが手っ取り早いのですね。

最初はもちろん右も左もわからない状態ですが、一週間もすれば、やっていることの概要とか意味がわかってくるでしょうし、二週間もすれば手の方が慣れ始めてきて、1ヶ月もすればミスはするけど、だいたい全部出来るようになり、3ヵ月もすれば単調で仕事に飽きてくる、そんな感じです。

何はともあれ、去年スタッフを増やしてから、私は工程をブレイクダウンして、難しいことや面倒なことを如何に簡単にやるか、そういう事に重点を置いて工夫をしてきました。
この数日間、私と古いスタッフの2人でケースを作っておりますが、オーダーストップをしてケース作りに専念しているためもありますが、驚くべき早さです。30分でケース1個は出来上がっているんじゃないでしょうか。去年一日8個ぐらいが限界ぐらいでしたけど、一日12個ぐらい余裕で出来ていると思います。毎日12個作り続けられれば、結構な金持ちになれますよね(笑)。まあそうは行かないんですけど。

新しいスタッフが慣れるまで、オーダーストップと再開を繰り返すことになるかもしれませんが、なにとぞご理解をいただければ幸いです。

E-P1/E-P2ケース用底部分の刃型が1年経ちまして、何千個という単位でカットして刃を研いでも切れが悪いので、作り直しました。

2010年6月29日火曜日

オーダーストップ

オーダーストップの繰り返しで、私も大変心苦しいのですが、またオーダーストップ。
今週からスタッフが一人減りましたので、今後ストップが増える可能性が高いです。
スタッフがやめたと言うよりも卒業したという感じで、その人が本業の求職中にウチの仕事を手伝ってもらっていたわけなのですが、目出度く本職の仕事が見つかったわけです。その間8ヵ月。求職としては少々長かったのですが、粘り勝ちというところです。

3ヵ月ぐらいは仕事に慣れるのに大変な時期でしたが、それ以降は充分な戦力で、ウチとしてもとても助かりました。面白いと思ったのは理系の人だったので、物事を覚えるのに理屈で覚えるというか、筋道をきちんとして覚えるようだということでした。私なんかは100%文系で一桁の足し算も億劫な方ですので、物事を覚えるのにはフィーリングのみ。筋道とか脈絡とか理屈はあまり関係ないです。人間は色々なのだな、と思ったのでした。

明日、 スタッフの面接をするのですが、今度もいい人に当たるといいなと思います。

2010年6月28日月曜日

オーダー再開に向けて

現在ショッピングカートを入れ替え中。
使い勝手の悪かった以前のカートと比べて、お買い物をされるお客様にはだいぶ使いやすくなると思います。

去年から随分ちょくちょくとオーダーストップをかけて、再開という時にはかなり緊張します。今日も朝からメールと電話でかなり圧力が高い状態です。また瞬殺オーダーストップになったらどうしよう?しかも明日は名古屋港に通関にいかないといけません。
何と言いましょうか。決戦前夜の気分です。 歩兵の本領を歌ってカラ元気を出してます。

万朶の桜か襟の色
花は吉野に嵐吹く
大和男子と生まれなば
散兵戦の花と散れ

2010年6月27日日曜日

試行

何か思いついて、とりあえず試行してみるというのは、なかなか出来るもんじゃありませんが、非常に重要なことだと思います。

昨日思いついたのは、カメラケースの底部分。ここはいつも切りっぱなしなのですが、ケース底のパーツを絞り出して成型したら、もしかしてさらに格好良くなるのではないかと、ふと思いついたので、試行してみました。


ライノでモデリングから始めてみます。凸型と凹型、革の厚み分を考慮したクリアランスは1.5mm。
これぐらいの割と簡単な形状でしたら、 昼飯喰った後の休憩時間に出来るようになりました。ライノが非常に良くできたモデリングツールだからだと思います。ただ2次元は弱いですので、2DのCADを併用します。


こういう形で切削することにします。


切削終わりました。本当にライノ上のモデルと同じものが切削されました。当たり前のことかもしれませんが、それが工房の中で完結してしまうということが、ある意味驚きです。

誰でもその気にさえなれば、こういう環境を揃えることが出来るわけで、まったく便利な世の中になったもんだと実感します。この時代に生きていて本当に幸せだと思いますよ。

革絞り木型を作るために、5年も10年も修行して正確に木を削る方法を覚えるのではなく、必要そうな物を買ってきて、ライノの使い方を2ヵ月ぐらいで覚えて、あとは三次元切削機にデータ放り込んでおしまい。これは一体どこの未来ですか?という感じさえします。


ほんのわずかなことでも、手でカットするのは絶対に嫌ですので、刃型を曲げて作ります。手でカットするなんて素人臭いことをこの俺様が出来るかよ、という勢いです。
製作時間は約10分でしょうか。
以前これぐらいの刃型を刃型屋さんに頼んだ事があるのですが、小さなものだから待っていればすぐ出来るよー、ってな感じで、わずか5分ぐらいで溶接まで完了して、非常に驚いた覚えがあります。
「はい、1000円」
と言われて、1000円かよ、おい!それで商売成り立つのか?と不思議になりました。(もちろんそんなショボい仕事ばっかりやっているわけじゃありませんけど)

その後、自分で刃型も作るようになってわかりましたが、それでも決して損はしない価格なんだなぁ、ということがわかりました。今でも近所に刃型屋があれば、おそらく自分で曲げようとは思わなかったと思います。


前置きだけは長いですが、それらの治具を使って底部分のパーツを作ってみました。




革が絞られて立体成型されているのが、おわかりいただけますでしょうか?
このパーツの側面は普通切りっぱなしの裁断面なのですが、革を絞って側面まで銀面になっております。


裏から見るとこんな感じです。絞ると器のようになるわけですが、その空間部分を埋める心材をカットするためだけに上にある刃型を作ったわけです。


実際に縫製したものの比較です。
上の個体が、今回製作した立体成型底で作ったケース。
下の個体が、従来の切りっぱなし底パーツで作ったケース。


ズームアップ画像です。
左の個体が、今回製作した立体成型底で作ったケース。
右の個体が、従来の切りっぱなし底パーツで作ったケース。

期待したほど綺麗になりませんでした。従来型の方がすっきりしているような気がします。丈夫さで言えば断然左の方が丈夫なのですが多少手間が増えますので、全体的に考えるとこの試行は、残念ながら不採用。
「手間が増えた分、1000円ぐらい値上げします」となって、お客様が納得するかというと、しないと思います。「従来型で良いから値上げしない方が良い」という方が普通じゃないかな。

では、この試行が無駄だったのか?というと、そうでもないんですねえ。
常に新しいこと/違うことを試行していくことが重要なのです。経験値も数ポイントアップしました。今後こういう試行経験が役に立つ場合が、案外多いのです。

1年前は当店ではこんな事は出来ませんでした。 1年前に比べて現在は目に見える進歩がここにあります。ああ俺は40を過ぎているのに確実に進化しているんだ、と実感できると、仕事も人生も大いなるやり甲斐があるってもんです。

2010年6月26日土曜日

NEX5用ケース ラインアップ

毎度の事で、遅れていて申し訳ございませんが、NEX5のサンプル写真を撮って編集をしております。上がったものからここに載せていきます。


ブラック+ホワイトステッチ。
オーソドックスなホワイトステッチは、飽きがこない魅力があります。


フラットブラック+イエローステッチ
糸がよく映えます。イエローもレモン色ではなく、山吹色という感じで存在感があると思います。


キャメル+ライトブルーステッチ。
栃木レザーのキャメル。オイルヌメという感じの味のある革です。品質はとても良いですが、入っているオイルの量が半端でないので、ゴムのりや接着剤の乗りが悪く製作がしにくいところがあります。ライトブルーのステッチ色はミスマッチかと思いましたが、作ってみたら悪くない気がします。


キャメル+ホワイトステッチ。
栃木レザーのキャメルにオーソドックスなホワイトステッチの組み合わせ。ホワイトステッチはどのカラーにも無難に合います。


モスグリーン+ホワイトステッチ。
新色モスグリーン。 ダコタ系の革で、元々表面は軽く自然なシワをつけてある革です。
正直、グリーンの革素材は色目が難しいです。


ライトキャメル+ホワイトステッチ。
ダコタ系の革で、元々表面は軽く自然なシワをつけてある革で、革としての質感の気持ちよさ、という感じですね。


ネイビーブルーシュリンク+ライトブルーステッチ。
同系色で薄めのステッチ色が、さりげなく、それでいてフルステッチングの美しさと誠実さです。

2010年6月25日金曜日

NEX3グリップレザー カラバリ

NEX3は思い切ってグリップレザーといたしました。


NEX5は、これまた貼り革が作りにくい形状をしておりまして、まだ手もつけておりません。
折を見てNEX5の貼り革も作ってみたいと思います。

複雑怪奇な海運のシステム

読者さんに興味があろうと無かろうと、何でもネタにしていくというスタンスのこのブログですので、今日はちょうど海運の荷物が名古屋港に到着した旨の通知が来たので、これをネタにしてみようと思います。

先回、ミシンを通関した時でおわかりいただけると思いますが、航空貨物というのは結構シンプルです。 荷物の運ぶのに関わっているのは、カーゴ代理店と航空会社のみ。運賃元払いで送ってもらえば、荷受け時に払うのは税金は別にして倉庫保管料程度です。

それに比べて海運は複雑怪奇なシステムになっております。だいたい噛んでいる業者がこれでもかというぐらいあります。私自体がシステム全体像が掴めませんが、適当に解説してみたいと思います。間違った解釈や思い込みがある可能性も高いです。

この複雑さは混載貨物だからかもしれません。コンテナ1個チャーターして荷物を運ぶとなると、おそらくもっとシンプルなのではないかと思います。

では、本日届いたArrival Noticeを例にして話を進めてみましょう。


まず上の画像にある
1:テレシアという会社。まずこれがよくわかりませんが貨物の代理店のようです。オーストラリアの貨物代理店と提携している日本側の代理店ではないかと思います。このFAXはテレシアから送られてきました。この会社は実際にコンテナを持っていたり、倉庫を持っていたりするものではないようです。

2:東陽倉庫。ここがオリジナルのArrival Noticeを発行しているようです。D/O(デリバリーオーダー・荷渡指図書)もここに取りに行きます。じゃあ、今回の荷物が東陽倉庫の倉庫に荷下ろしされたのか?というとそうでもありません(後述)。でも東陽倉庫の倉庫に荷下ろしされることもあります。

3:MITSUI NRC H/W。三井倉庫です。CFS(コンテナ・フレイト・ステーション)とあります。まずそれは一体なんですか?と思いますが、私もよくわかりませんので、こちらのサイトでも読んで理解してください。
実際の荷物はこの三井倉庫に引き取りに行きます。おそらく4の中にあるCFS Chargeはここの取り分です。

4:私が払わされる手数料の内訳。

CFS Charge:おそらく三井倉庫の取り分。

D/O FEE:D/O(デリバリーオーダー・荷渡指図書)の発行費用。おそらく東陽倉庫の取り分。D/Oが無ければ通関一つ出来ませんが、ぶっちゃけコピー紙に刷られた1枚の紙切れです。

THC(Terminal Handling Charge): わかりません。調べてみるとコンテナ・ヤードでコンテナを取り扱うための料金という具合のものですが、これが請求されていない場合もあります。誰の取り分かわかりません。誰かがタバコ銭欲しさに「ちょっとくすねてみました」という感じの微妙な請求額です。

CO-LOAD FEE:何と言ってもこれが一番よくわからない費用です。非常に希なケースでこれが請求されていない場合もあります。私は以前一度テレシアに電話して、今度からこの訳のわからない費用を請求するのをやめようよ、な、な?と言ったことがあり、そのときこの費用の説明を詳しくしてもらったのですが、それでも今ひとつわかりません。こちらのリンク先によくわかるようなわからないような説明があります。要するに積み替え地で他社のコンテナに相積させてもらうための費用のようですが、ここにちょっとした詐欺のようなトリックがあるような気がします。いつもいつも他社のコンテナに積んでもらうばかりではなく、他社が自社のコンテナに相積みさせてくれという場合もあるはずです。その費用は自分のポケットに入れてしまうわけですよね?

5:CSCL(China Shipping)の船に荷物が積まれてブリスベンを出港して、香港からはTS LinesTS Nagoya号という船で名古屋に来ました、ぐらいの意味です。

6:積み替え地の香港から名古屋までの貨物船の航海番号。

7:荷物を積んだ場所。 積み替えておりますので香港からとなります。

8:荷物がおりる場所です。つまり名古屋港。

9:ETA:予定到着日。私の経験でしかありませんが、香港から名古屋はほぼ予定日通りに到着します。

10: Free Time。書いてありませんが、10日ぐらい貨物の無料保管期間があります。

11:これらの費用を払って、D/O(デリバリーオーダー・荷渡指図書)を引き取る場所。

皆さん、おわかりいただけましたかな?書いている私も未だによくわかりませんので、この説明でわかる方が不思議です。とにかく事業仕分けしてやりたいぐらい複雑です。
そして、毎度毎度同じものを同じところから運んでも、この手数料が10000円以下~20000円超まで、いつも違うんです。

そして、このドキュメントには載っておりませんが、ブリスベン出港は6月9日ですので、香港で積み替えもして、わずか16日間で名古屋港に到着しております。MOLのブリスベン→名古屋の直航で12~14日ですので、驚くべき早さです。


今度は折を見て、輸入申告書の書き方講座をやってみたいと思います。

2010年6月23日水曜日

NEX3用ケースのサンプル写真

ものが出来上がっても、このサンプル写真を撮って編集するのが非常に面倒で、結構後回し後回しになってしまうのですが、とりあえずNEX3用ケースのサンプル写真を並べていきます。


フラットブラック+ブラックステッチ


2010年6月21日月曜日

書籍ネタ3つ

その1 オリンパスPEN WORLD 6月22日発売




日本カメラ社ムック オリンパスPEN WORLD(1800円+税)、22日発売となります。


WEB特設サイト(http://www.nippon-camera.com/pen)

特設サイト内の貼り革シミュレーターは圧巻ですので、ぜひ一度お試しください。


今回また当店の商品も掲載いただいております。


貼り革 39ページ~50ページ
ケース 54ページ~55ページ



さらに、何と大盤振舞でカラー広告も背表紙裏に半ページ
背表紙裏、カラー、そして私が最近やることなすこと運が良いと思うのが、このムックには3件しか広告を出しておりません。

オリンパスさん
宮本製作所さん
Aki-Asahi Custom Camera Coverings (つまり当店)

巻末のモノクロ広告ページだとどうしても十把一絡げだな、という印象がしてしまうのですが、
ONLY3のカラーページ。何と言いましょうか、ウチは大した広告費を出しているわけでもないのに、この状態ですと

今、景気が良いベスト3

という印象が自然と出ている、そんな気がします。ウチはまた完全にここでもオリンパスさんの威光にぶら下がってしまっているのですけどね。




その2 アサヒカメラ7月号

アサカメ7月号に、先日取材していただいた記事が載りました。

連載 "現場"をめぐる旅" シャシン手仕事の最前線

186ページから2ページ。
良い感じに記事にしていただきました。ありがとうございました。




その1、その2 と盆正月が一気に来たような慶事ですね。しかしながら、タイミングが悪いことに現状オーダーストップ。

ビジネスチャンス逃して、泣きそうです。




その3 絶版プレミア?

日本カメラの編集者さんからのタレコミがあり、私が以前書いた単行本が、アマゾンでプレミア価格が付いていますよ!というメール。

ホントかいな?と思いながらアマゾンでチェックしてみたところ、1600円の単行本が、何と 中古品6点¥ 5,430より というお値段。そんな値段で買うやつおるのか?と思いますが、売れる売れないは別問題として、そういう値付けがされております。最高額¥7,251。

ウチのスタッフが「え"ーッ!」とカエルを潰したような声を出して驚いていました。

ウチもマーケットプレイスに新品で出して売れたら結構儲かるかも、と思いましたが、実は私ももう残り1冊しか持っていないんですね。

中古品100円~で売られていたら結構ショックかもしれませんが、5430円~というのも、結構複雑な気分です。流通の謎と言えましょう。

2010年6月19日土曜日

会心の一作

NEX5用ケース第1作です。色は新色モスグリーン。


NEX3用ケースから作り始めて、正直NEX5用ケースは相当難しそうだったので、今回はパスしようかと思って、今回の担当者さんである澤村徹さんに
「NEX5用ケースは要らないですよね?」とお伺いを立てたら

「僕(=澤村さん)、NEX5を買ったのでぜひ作ってください」

しょうがない。茶を濁す程度にやってみるかと、一応やってみてダメだったら、やっぱり無理でしたすみません と言えば格好がつくかな、といい加減な事を考えながらも、手をつければ私も意地ですよ。

難関の底部形状は、三次元切削機MDX-40を使って革絞り型を当店で内製。


凸型を当てた状態です。
絞り型が一発で決まって、一気に難関クリアー。

楽をしたいなら、へこんでいる部分に革を重ねて段積みにしてそれらしくやるという方法もあるでしょうけど、私は出来れば製品を美しくスマートに作りたいんです。

絞り型を自分のところで内製するためだけに、深いこと考えずに Rhinoceros 4.0 と Roland MDX-40を導入してしまう店主の男気を買ってくれ。


そして立体成型底。




やっと完成しました。自分で言うのも何ですが、会心の一作だと思います。
鳴り物入りの立体成型底のおかげで、もうカメラの据わりが良いこと良いこと。フィット感も抜群に来てます。

そして、何よりも近未来デザインのカメラが一気にレトロに成り下がります、、、(な、成り下がるのか、、、?)

でもスクリーンのチルトだけは許してほしい。


上向きのチルトぐらいでしたら、こうやって使えないこともない、という感じですが、きっとちょっぴりイヤな気分になると思います。




そして、狂っているとしか思えない膨大な刃型治具類。計12セット。すべてNEX-5ケース専用。
良いですかな?皆さん。気違いってのは、うっかり意地になってここまでやってしまうんです。

しかし何ですな。仕事で一番面白いのは、ここまでのステージという気がします。この後、当然受注をして生産にかかるわけですが、生産のステージに入ると、それほどチャレンジングなわけでも醍醐味があるわけでもありません。ルーティンワークです。まあ、効率がよいルーティンワークに嵌め込むためにここまで試行錯誤して苦労しているわけなのですが。

NEX5ケース準備 大詰め

恐るべき量の刃型と治具を用意して準備してきたNEX5用ケースの準備も、大詰めの段階に来ました。


ケース側面のステッチガイドラインを入れる治具というか型枠のデータを作りましたので、昼からは約3時間レーザー加工機を占有してアクリル板を削り出します。

上の画像にある赤い部分が削る部分で、白い線は削らない部分:つまり凸になる部分です。ここに側面の革を合わせて圧力をかければ、革に押しが入り、それがミシン縫いのステッチガイドラインとなります。


レーザーでアクリル板を削っているところです。インクジェットプリンターとほぼ同じ動きをして削っていきます。


こちらはアクリル板をカットしているところです。 カットの場合は、プロッターと同じ動きをします。


加工機に張り付いている必要はありませんので、荒裁ち用の刃型を作ったりしてます。


新商品を作るたびに刃型は止めどなく増えていきます。
左から、NEX3用、E-PL1用、GF-1用、E-P1/E-P2用、NEX5用の荒裁ち刃型。

型枠が出来上がって、とりあえず製品製作を進めてみました。


今日のところはここまでと。

2010年6月18日金曜日

さあ、お立ち会い

さあ読者の皆様、お立ち会い


この汚い物体は何かと申しますと、本日私が削って曲げて作りました刃型でございます。
あまりに汚いので、お見せするには気が引けるのですが、一体これが何の役に立つのか、ここでご説明いたしましょう。ぜひご覧あれ。


先の刃型は、上の画像のようなアクリルの治具とセットで使用いたします。このアクリルの治具は、ウチのレーザーで加工しました。


NEX3ケースの底部分のパーツを切ってきます。


アクリルの治具に挟み込みます。


フタをして上からプレス機で圧力をかけます。


治具にはレール状の凸の線が彫り込んでありまして、革を当てて圧をかけると革に溝というか押しが入ります。


最初の汚い刃型を革の溝に当てて上から圧をかけます。
ちなみに革の溝は、刃型のラインと同じように作ってあります。


一瞬のうちに手縫い用の穴があきましたとさ。工程としては5分短縮可能です。
治具は役に立っているのか?と思われるかもしれませんが、ぴったりの位置に歯形を合わせるのは、非常に難しいのです。目測では必ず少しずれます。 いつも同じ位置に穴を開けるために、治具が必要になります。

最近、私もだいぶ芸が細かくなってきたね。この小さな芸をやるために、刃型を作って治具を作ってと、結構な労力を使いました。

芸は一日にしてならず。細かな努力の積み重ねが、大きな芸につながる。そう信じています。


そしてコーヒーブレイク。
カリタのダイヤミルを買ってしまいました。電動を買おうかと思いましたけど、コーヒーってのは雰囲気だと思っておりますので、男らしくハンドクランク式。鋳物でガッシリした作りです。これの前はニトリの700円のミルを使っていました。値段はそれの14倍ですが、挽きやすいし、豆は飛び散らないし、挽いた粒は揃っております。やはり値段なりのことはあります。


 NEX3ケースは、まあ割と小気味良く出来上がったと思います。

2010年6月17日木曜日

NEX5用ケース 生産準備

本日発注していた刃型が完成し て、NEX5の方も生産準備が整って参りました。



あと2つ刃を自分で曲げて、2つの治具をレーザーで加工すれば生産にかかれます。
何度もこのブログで解説しているのですが、刃型とは刃を曲げたものです。


この刃型は薄刃を使っておりますので、不注意に扱うと指などスパッと切れます。まあ指が落ちるほどのことは無いですが。

NEX3ケースの方は、現在サンプル写真を撮るためのケースを製作しておりまして、こちらはもうすぐご注文受け付け開始できる予定です。


 これも読者さんにはお馴染みだと思いますが、ウチでNEX5ケースを作るのに必要な刃型群+革絞り用の木型。あと4つ増えますから、合計11個。これらは他のケースに使い回しは出来ません。完全NEX5用ケース専用。

少しでも良いものを作りたい、とか、凝ったことをやってみたい、とか思うと、これらの刃型や治具が確実に増えてきますが、もう11個とかになると「凝り過ぎだろ、これ?」と、少しウンザリしてきました。

まだ来年もデジカメケースを作っていたら、1つのケースに刃型+治具で15個超えたりするのではないでしょうか。

かといって刃型を減らして、その分は手で切りましょう、という事は絶対に無理なのです。一度効率の良い方法を知ってしまうと、少しでも効率が悪い方法に戻るということが出来ません。
結局のところ、私が必死で効率を追求しているのではなく、効率が少しずつ良くなっていくうちに自然と刃型や治具が増えていくというだけの事のようです。

NEX5用ケースの刃型が、もう一つ転がっていました。従いまして刃型+治具の合計は12個です。
狂ってる、、、。

2010年6月16日水曜日

そういえば、法人化

NEX3、NEX5のケース試作に忙しかったり、新しい縫製機が来たりですっかり忘れていましたが、本来ならこれが一番重要事項です。

当店は法人化いたしました。 合同会社アンカー (Anchor LLC)

名前に大して意味はありません。「あ」から始まる短めの名前で思いついた、ただそれだけです。今から考えると「アガート」の方が良かったかもしれません。アガートにしておけば、イベントなどでアクリュさんの前に並べましたね。

まだ法人口座も起こしておりませんので、明日は銀行回りをしようかと思っております。7月からは振込先が変わります。ご不便をおかけして申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします。

なぜ法人化と言われると、色々あって私も説明が面倒なんですけど、この間やった大きめの仕事が、法人じゃないとお金を払ってもらえないんです。やります、やります、なんて軽はずみに答えて仕事をやったはいいけど、金もらえないんじゃ仕方がないですね。相変わらずウッカリしていますよ。

あと当店は輸入やっていたりするんですけど、この動く金額というのが個人の割には結構な金が動くので、銀行がうるさいんです。

「マネーロンダリングの疑いがありますので、今後予告なしに口座凍結する場合があります」

とか一方的に通告して来やがるんです。やってねえよ、そんなこと。きちんと税関通したお上の書類もあるぞ、と言っても、

「それはこちらが判断することです」とか言って埒があかない。

法人だってマネロンぐらいやるやつはやるだろ、と思うんですけどね。その割には同じ銀行から
「初年度会費無料でゴールドカードを作りませんか?」とか勧誘の電話がきたりします。
 口座凍結されかねない預金者にゴールドカードを勧めてどうする
「 こいつら チ ョ ッ ト 頭がおかしいんじゃないのか?」

あと、個人だと税金がすごいのね。今年は毎月100万単位でお上から請求が来るんです。税金は割と喜んで払っている方だと思うんですけど、もう大概勘弁して欲しいです。現状、運転資金に手をつけてますね。来年もこの調子で払うんだったら、私はもう廃業という選択を取りたいです。


まあ、新たなステップアップのためにというよりも、しょうがないからやりましたという結構消極的な法人化で、無理矢理色々なところから背中を押されてヨタヨタと走り出したという形相ですが、皆様今後とも、なにとぞよろしくお願いいたします。

2010年6月15日火曜日

ちょっと縫ってみた

 ラフレンボイル縫製機ネタの続き


せっかく縫製機を買ったのですから、余っているヌメ床革を使って、ちょっと縫ってみました。


ゴロゴロしている刃型で使えそうなものがあったので、カットしてハサミの入れ物。


縫製機の構造上、縫い止めの返し縫いが出来ないのが少々痛いです。返し縫いをしたければ、手縫い針を糸につけて手で縫い戻すしか方法がないような気がします。

元々靴底を縫製する目的のミシンですので、薄物を細めの糸で縫うとか苦手です。おそらく6mm厚ぐらいが薄さの限界じゃないでしょうか、どれだけの種類のAwlと針があるのかわかりませんが、1番糸より細い糸だと糸調子が取りにくかったりするような気がします。このあたりはチップマン・ボスと似たような感じです。

正直、ウチだと5番糸より太い糸を使わないんですよね。 だいたい太い糸を使った小物があまり好きじゃないし。モデルガンを買ってきてピストルのホルスターでも作ろうか?
何と言っても、機械を買う方が目的として先ですから、それから何作ろうか、という話になっています。チップマン・ボスに至っては、自分のベルト一本縫っただけです。

まあ現実的に考えられる商品構想といたしましては、キーボードの手前に置くパームレスト。革絞り型から作って縫製。これはラフレンボイルのような出し縫い縫製機は得意な分野です。革絞り型を作るのはそれほど手間も時間がかからないと思いますが、問題はパームレストの中に詰めるもの。市販のものは中にジェルが入っているのですが、あれはどこで手に入れるのか、一斗缶ぐらいで購入可能なのか、そういう事をあれこれ考えると計画を進めるのが面倒臭くなってきた、、、。

2010年6月14日月曜日

NEX5用ケース試作続き

近未来デザインのデジカメ用に、ちょっぴりアンティーク感のあるケースを力ずくで作る企画、という感じになってしまいますが、続きです。


試作No.10です。もうほぼ形は決まりました。少しだけデータをいじって刃型の発注をいたします。



大変申し訳ありませんが、液晶スクリーンのチルトは犠牲になります。
現状スクリーン部分にPET板が挟まっておりますが、製品ではこの部分は無くなります。




 カメラが裸の状態と比べて、だいぶアンティークな感じが出ていると思います。


そして、今回ワイワイ大騒ぎして作った店主ご自慢の「型絞り立体底」
NEX5の底部形状に合わせて立体を作ってありますので、カメラの座りが非常によろしいです。
内張のスエードごと絞ってありますので、仕上がりは綺麗です。