2010年6月25日金曜日

複雑怪奇な海運のシステム

読者さんに興味があろうと無かろうと、何でもネタにしていくというスタンスのこのブログですので、今日はちょうど海運の荷物が名古屋港に到着した旨の通知が来たので、これをネタにしてみようと思います。

先回、ミシンを通関した時でおわかりいただけると思いますが、航空貨物というのは結構シンプルです。 荷物の運ぶのに関わっているのは、カーゴ代理店と航空会社のみ。運賃元払いで送ってもらえば、荷受け時に払うのは税金は別にして倉庫保管料程度です。

それに比べて海運は複雑怪奇なシステムになっております。だいたい噛んでいる業者がこれでもかというぐらいあります。私自体がシステム全体像が掴めませんが、適当に解説してみたいと思います。間違った解釈や思い込みがある可能性も高いです。

この複雑さは混載貨物だからかもしれません。コンテナ1個チャーターして荷物を運ぶとなると、おそらくもっとシンプルなのではないかと思います。

では、本日届いたArrival Noticeを例にして話を進めてみましょう。


まず上の画像にある
1:テレシアという会社。まずこれがよくわかりませんが貨物の代理店のようです。オーストラリアの貨物代理店と提携している日本側の代理店ではないかと思います。このFAXはテレシアから送られてきました。この会社は実際にコンテナを持っていたり、倉庫を持っていたりするものではないようです。

2:東陽倉庫。ここがオリジナルのArrival Noticeを発行しているようです。D/O(デリバリーオーダー・荷渡指図書)もここに取りに行きます。じゃあ、今回の荷物が東陽倉庫の倉庫に荷下ろしされたのか?というとそうでもありません(後述)。でも東陽倉庫の倉庫に荷下ろしされることもあります。

3:MITSUI NRC H/W。三井倉庫です。CFS(コンテナ・フレイト・ステーション)とあります。まずそれは一体なんですか?と思いますが、私もよくわかりませんので、こちらのサイトでも読んで理解してください。
実際の荷物はこの三井倉庫に引き取りに行きます。おそらく4の中にあるCFS Chargeはここの取り分です。

4:私が払わされる手数料の内訳。

CFS Charge:おそらく三井倉庫の取り分。

D/O FEE:D/O(デリバリーオーダー・荷渡指図書)の発行費用。おそらく東陽倉庫の取り分。D/Oが無ければ通関一つ出来ませんが、ぶっちゃけコピー紙に刷られた1枚の紙切れです。

THC(Terminal Handling Charge): わかりません。調べてみるとコンテナ・ヤードでコンテナを取り扱うための料金という具合のものですが、これが請求されていない場合もあります。誰の取り分かわかりません。誰かがタバコ銭欲しさに「ちょっとくすねてみました」という感じの微妙な請求額です。

CO-LOAD FEE:何と言ってもこれが一番よくわからない費用です。非常に希なケースでこれが請求されていない場合もあります。私は以前一度テレシアに電話して、今度からこの訳のわからない費用を請求するのをやめようよ、な、な?と言ったことがあり、そのときこの費用の説明を詳しくしてもらったのですが、それでも今ひとつわかりません。こちらのリンク先によくわかるようなわからないような説明があります。要するに積み替え地で他社のコンテナに相積させてもらうための費用のようですが、ここにちょっとした詐欺のようなトリックがあるような気がします。いつもいつも他社のコンテナに積んでもらうばかりではなく、他社が自社のコンテナに相積みさせてくれという場合もあるはずです。その費用は自分のポケットに入れてしまうわけですよね?

5:CSCL(China Shipping)の船に荷物が積まれてブリスベンを出港して、香港からはTS LinesTS Nagoya号という船で名古屋に来ました、ぐらいの意味です。

6:積み替え地の香港から名古屋までの貨物船の航海番号。

7:荷物を積んだ場所。 積み替えておりますので香港からとなります。

8:荷物がおりる場所です。つまり名古屋港。

9:ETA:予定到着日。私の経験でしかありませんが、香港から名古屋はほぼ予定日通りに到着します。

10: Free Time。書いてありませんが、10日ぐらい貨物の無料保管期間があります。

11:これらの費用を払って、D/O(デリバリーオーダー・荷渡指図書)を引き取る場所。

皆さん、おわかりいただけましたかな?書いている私も未だによくわかりませんので、この説明でわかる方が不思議です。とにかく事業仕分けしてやりたいぐらい複雑です。
そして、毎度毎度同じものを同じところから運んでも、この手数料が10000円以下~20000円超まで、いつも違うんです。

そして、このドキュメントには載っておりませんが、ブリスベン出港は6月9日ですので、香港で積み替えもして、わずか16日間で名古屋港に到着しております。MOLのブリスベン→名古屋の直航で12~14日ですので、驚くべき早さです。


今度は折を見て、輸入申告書の書き方講座をやってみたいと思います。