2015年10月23日金曜日

双眼鏡のマーケット

先日、とある双眼鏡メーカー様から双眼鏡グリップ革巻きというお話をちょっといただいて、打ち合わせをしながら色々とお話を聞いていたのですが、自分のやっている業界とは違う世界というのは、なかなか面白いのです。

双眼鏡のマーケット規模というのは、ぶっちゃけ言うとカメラの1/10~1/100ぐらいではないだろうか、という話は別のところで聞いたのですが、同じ光学機器のカメラと比べるとだいぶ市場規模が小さいのは間違いないようです。ただその分、モデルチェンジが少なく、余程問題が無い限りは10年ぐらい同じモデルが続くし、ユーザーも一回購入すれば10年ぐらいは使う、という息の長いものだそうです。

デジカメのように受光素子が日進月歩で、日々進化していくようなパーツが内蔵されているわけではなく、レンズといういわば(おそらく)ほぼ完成された技術が主体なので、それほど目新しい機能が増えたりすることもないだろうなぁ、という素人判断ですが、まあそんなものなのではないかと思います。

日本では高級双眼鏡のユーザー層は、バードウォッチングあたりの目的しか考えられませんが、(出歯亀は知りません)、世界というより北米市場では圧倒的にハンティングの時に使われる目的が多いそうです。ただハンティング用の双眼鏡という事を売りにすると、実はハンティングをしないユーザー層からはあまり良いイメージを持たれないから、ここが難しいところだという事です。私はハンティングがどういうものなのかさっぱりわかりませんが、まあ確かに動物を殺すゲーム(という表現が適切なのかどうかわかりませんが)を前面にして売りにされると、敬遠される可能性もあるような気がします。

ただ日本の超有名光学機器メーカーであるN社さんは、アメリカのハンティング市場で上手なマーケティングをやっており、その市場でダントツ人気だということです。日本ではさっぱりそういうイメージを出さないから、まったく知りませんでした。ここでご注意いただきたいのは、私は別にそれを批判しているわけではないです。

じゃあ、素人が思いつく双眼鏡市場というと、やはり「軍用」ですね。軍用としての市場はどうなんでしょうか?と聞いてみたら、これが日本ではさっぱりなのだそうです。日本だって自衛隊という立派な軍(のようなもの)がありますから、当然そこに双眼鏡市場がありそうなものですが、自衛隊は特に双眼鏡を採用していないらしいです。

じゃあ、自衛隊員の皆さんはどうしているのか?というと、双眼鏡が必要な人が、1万円ぐらいの安い双眼鏡を自腹で購入して使っている、ということです。それは本当ですか!?と思うわけですが、双眼鏡メーカーさんはそう言ってます。
「それは作戦行動に支障が出るのではないか?」
自衛隊の合憲違憲論議は別にして、現実問題としてそれで良いのか?と素人ながらに思うのですが、そういう予算がつけられてないのは間違いないようです。東郷平八郎提督はカールツァイスの双眼鏡を使っていたそうですが、それも自腹だったのかなとか考えてしまいますね。戦前は違うのかな。

まあこんな感じで、違う業界の人と話をすると、なかなか興味深いお話が聞けますね。

今日のお話のまとめは、

双眼鏡のモデルチェンジは10年に一度ぐらい。ユーザーの使用期間も大体それぐらい。
アメリカのハンティング市場でニコンの双眼鏡の人気が高い。
自衛隊ではチープな双眼鏡を隊員が自腹で買って使っている。

以上でございます。