2014年1月19日日曜日

三次元形状のグリップの貼り革を考えてみる

デジカメについているグリップですが、よくこういう形のものがあります。


自由曲面とでもいうのでしょうか?とにかく複雑な三次元形状のものです。

三次元CADで設計したと言うよりも、ポリゴンモデラーで作ったような形状ですね。こういう形状はメーカーの設計者さんたちは、どういうソフトを使ってどうやってモデリングしているのでしょうか。私のようにRhinoceros  + TSplinesでやっているわけではないと思います。こいうことは私は全くわかりませんが、興味がそそられるところです。


こういうグリップの貼り革を作って欲しいというリクエストが多いのです。


ただ、革というのは皆様もご理解されているように平面です。平面のものを曲面に貼るということは基本的に理論として出来ないのです。これはつまり、世界地図を思い浮かべていただいて、球面の地球を平面の地図に無理矢理描くと、グリーンランドがやたら大きくなってしまったりする、それと似たようなものです。あの平面の世界地図を球体の地球儀に綺麗に貼れたら、私が何か好きなものをご馳走してあげますよ。

これは一枚の紙を用意していただいて、この自由曲面形状に貼ってみても一目瞭然です。
革というのは紙よりは多少伸びたり縮んだり融通が利きますが、それでも平面の革をこういう形状にうまいこと貼り付けるのは無理でしょう。


当然と言えば当然ですが、こうやって皺が寄るのです。つまり貼りきれないわけです。

革絞りをやって作るという方法なら可能でしょうけど、この自由曲面を綺麗にトレースするということは、リバースエンジニアリングという分野で、当店ではちょっと難しいです。うちの作業スピードだと1年かかっても難しいと思います。

基本的に出来ません。

ただ1枚ものでは出来ないですが、2ピースにしたら出来るかも知れません。


こんな感じで、ベースとなる1ピースの方は進めてみます。
適当に線を描いているように見えると思いますが、この形状の線を描くのに10個以上切って貼ってを繰り返しております。



何か少しだけ光明が見えてきたような感じです。


残りの部分のピースの形状を探りながら描いていきます。


線の描き方には何の理屈もありません。合わない部分の線を引き直してカットして、また線を描き直してと言うただの根気勝負を繰り返します。
直線とか、Rの数字がきちんと決まっている曲線とかはありませんので、自由曲線の制御点をちょっとずつ動かしながら曲線を調整していきます。


20回ぐらい繰り返して、やっとここまで。だいぶゴールに近づいているようです。あと2,3回繰り返せば継ぎ目が合うと思います。

どうしても柄物は継ぎ目が目立ちますので、これはツートンにすれば割と見られるようになるのではないでしょうか。