2015年3月16日月曜日

DIY トライコプター Tangent 800

もっと大きなサイズのトライコプターを作るという予告通り、今回はTコプターで800mmサイズのものを作ってみました。名付けてタンジェント800。

トライコプターも最初は200mmぐらいの小さなサイズ(クアッドの改造)、それから500mmサイズの東雲壱号、そして今回800mmサイズのラージサイズと一通り作って参りましたが、大きなサイズになれば安定感が増すということを自分で実証してみたかったという、まあそんな目的です。

Phantom2が250mm~300mmぐらいのサイズなのに安定して飛んでいるのは、あれは何万台と作ってそれなりに検証されて実績がある製品だからです。数台DIYして喜んでいる素人があのサイズで同じ安定性のものを作るってのは、ちょっと無理があるってもんです。

RCマルチコプターは大きな方が安定して飛ぶ。これが基本原則のようです。


では、モデリングから行ってみましょう。
フレームは15mm角の木材を使います。日本の場合ホームセンターで売っているのが900mm、1800mm、3600mmですので、1800mm長のものを無駄なく活用するという感じでやってみます。
Tコプターはその形状のためフロントヘビーになりますので、バッテリーで中心のバランスを取ります。

基本コンセプトは、自作のヘリは落ちる、という前提です。もちろん墜落しない方が良いですし、そうあるべきなのですが絶対に落ちないという前提で物事を進めると、落ちたときに苦労するのです。精神的ダメージも尋常ではありません。落ちるという前提なら多少気が楽です。事故は困りますけどね。

落ちたときのダメージを少なくして、ダメージを食らってもホームセンターで材料を買ってくれば普通に修理できるというコンビニエントなものを目指します。壊れたらアメリカやら中国に部品を発注して長い間待たないといけないものなど、そういうのはDIYの精神として根本的に間違っています。フレームが折れたぐらいは、近くのホームセンター行って木材買ってきて自分で即修理する、そういうDIY精神で飛びものを作る、そういうことです。

先回東雲壱号でやったようにESC(スピードコントローラー)やその他の電子部品を中央のハウジングに押し込めてガードすると共に、そして更に今回は一歩前進させて、落ちたときにプロペラもモーターもなるべくダメージを食らわない、そういう設計で頑張ってみたいと思います。


そこで、少ない知恵を絞ったのがこれだ。


モーターは通常フレームのギリギリいっぱい端につけるものですが、これを100mmぐらい内側に装着してやる。1045のプロペラの径は260mmぐらいですから、150mmぐらい逃げた方がもっと丈夫になるのですが、そうなると今度は700mmサイズになり、一回り小さいものになってしまうので逃げは100mmで我慢します。
元の木材が1800mmではなく、2000mmなら余裕を持たせられるのですが、1800mmを無駄なく活用するということなので、仕方がありません。

ちなみにテールモーターがフロントの2つのモーターと違うのは、特に意味はありません。余っているものを組み合わせたらこうなったと、そういうわけです。出力も多少違いますけど、深く考えることはありません。200kvぐらいの違いでしたらジャイロが機体の水平をうまいこと調整してくれます。

ただこれだけのことで、耐クラッシュ性が大いに高まります。設定中などしょっちゅう傾いて落ちますが、今回これのおかげでプロペラもモーターも無傷で済みました。なんと今回はプロペラの破損なし。DIYヘリコプターの設定中はプロペラなど煎餅を割るぐらいのノリでパリパリ割れるものだと思っていましたが、実はそうではないようです。
まさに「転ばぬ先の杖」そのものです。


今回は、KK2.15フライトコントローラー。LEDスクリーンがついているので、設定をするのにPCが必要ありません。PCがあるところまで帰らないといけないとか、ノートPCを持っていくとか、そんなの面倒ですから、このフライトコントローラーはとても便利です。ただGPSは付けられませんので、無茶な飛ばし方はできません。


レーザーカットした部材を組み上げていきます。


今回は先に色を塗っておきました。


問題点というのは、往々にして設計時には気づかないです。
今回の問題点は、ここ。ESCをハウジングに押し込めたのは良いですけど、配線がゴチャゴチャはみ出してみっともないです。もう少しハウジングを長くしないといけません。


ご託はまあいいや、あまりものの部品を組み合わせて作ったものが出来た。


うーん、トライコプターはいつ見ても実に良い。骨組みに何かちょっと付け加えたらこうなりました、という感じがまさにDIY。重心を取ったらバッテリーがこんなに後ろに行ってしまいました。センター位置は設計で決まっているのですが、あまり当てになりません。その中心点に重心を合わせても、エレベーター(前後移動)スティック中立の状態で、前に勝手にタラタラ動いていくとか(フロントヘビー)、リアヘビーだと後ろにタラタラ下がってきます。それを見てバッテリー位置を調整します。


フロントヘビーになりがちのTコプターですが、これのとても良い点は、カメラを適当に取り付けてもプロペラが写り込まないと言うところです。クアッドコプターにしろ、その他のどんなマルチコプターでも、とにかく飛行中にプロペラが写り込むのを防ぐというのが頭痛の種なのです。ペラやペラガードが写り込んでいる空撮写真を私のビデオでも見たことがあると思いますが、あれは見苦しいよね。しかし、ペラが写り込めるなら写り込んで見ろ、というのがTコプター。素晴らしい。



そして初飛行。
ちょっと飛行中にグラグラしますね。もう少しPIを調整しないといけないようです。
このKK2.15はPI調整だけで、Dがないのようです。
PIDって何?というのは、説明が非常に難しいですので、思い切り簡単にわかりやすく解説してあるこちらのページ(PID制御って何?http://www.rkcinst.co.jp/techno/22/techno_22.htm)をご覧ください。

しかし実はPI調整ではなく、Self Level settingsの調整でした。これを直すのに昼休みいっぱいかかりました。

それ以外はかなり安定しています。やっぱり大型になると安定感が違いますね。ギンバルなしでも結構撮れちゃってます。これなら高価なブラッシュレスギンバルを使わなくても、フライトコントローラーから直接制御できるサーボギンバルで充分かもしれんね。


大型で邪魔くさいようでも、Tコプターは壁に引っかけておけるので邪魔になりません。


やろうと思えば折りたたみも出来ます。
うーん、Tコプターは構造が簡単で作りやすく壊れにくいし修理も簡単、収納時に邪魔にもならない。カメラをつけてもプロペラは写り込まないし、KISSの法則 (Keep It Simple, Stupid:シンプルにしとけよ、アホ=複雑にすんな、アホ) を見事に体現したマルチコプター。実にええかもしれんね。





今回GPSは積んでいませんが、GPSを積むと自動帰還が出来ます。
無茶な飛ばし方して、目視できないんだけどどうしよう?一体どこ飛んでるのか分からない、困った、、、と言うときにスイッチひとつで離陸点まで戻ってきます。ただ完全に信頼できるものではありません。






こちらはPhantom IIで撮ったもの。最後は目視できず、どこ飛んでるのかわからず、二人で
「どこにいる?見えない?ちゃんと見てろって言っただろ!」
とか大騒ぎして冷や汗かきながら、自動帰還スイッチを入れてみて、それでも見えないと大騒ぎ。

ぜひ見て欲しいのは、11:01からの全速力ダッシュ。やっとヘリを見つけた途端、目一杯アクセルふかして戻ってきました。それにしてもアクセル全開だと結構なスピードが出るものですね。