2014年10月19日日曜日

恐らく世界初の革キット

私は以前から革キットというものを作りたかったのです。
実際作ったことはあるのですが、これと言って特異点がなかったので、売るのをやめたとかそんな感じです。
革キットというのは東急ハンズなんかで見たことがあると思いますが、結局菱目打ちとかの道具をわざわざ買って用意しないといけないので、ちょっとやってみようというには敷居が少々高いのです。菱目だって4本目と2本目を揃えたら安いものでも4000円ぐらいするのではないでしょうか。

穴を最初から開けてあるキットというのもあったような気がしますが、縫い穴というのは貼り合わせるとなかなか合わないのです。結局貼り合わせてから縫い穴を開けた方が確実なのです。

今更パスケースとか似たり寄ったりなものを作っても面白くないだろうと言うことで、何と革絞りのキットを作ったのでありまーす。




革絞り(立体成型)してある革キットなんて見たことがないです。私が知らないだけですか?そうですか。


では縫い穴の位置をすべてエンボスしてある革キットというのは見たことが無いのではないでしょうか。これに合わせて、菱ギリで穴を開けていけば設計通りの場所に縫い穴を開けることが出来ます。


こういう穴位置用の型を設計して、実際に作ったのです。
穴位置はきちんと合うように設計してありますので、ズレるということがありません。こういうのはやっぱりCADの設計というものです。型紙をフリーハンドで描いてとかだとこういうものは出来ません。


ウチも革業界の一端ですけど、もう初っぱなの思想とか世界観が全く違うということはご覧いただけると思います。

革絞りで縫い穴位置がつけてある革キットというなら世界初でしょう、たぶん。


必要なのは、菱ギリと針、カッターナイフぐらいです。菱ギリというのがミソです。菱目打ちだと目が合いません。


まあ毎度の事ですが、刃型も自分で曲げたのでありまーす。
設計、絞り型切削、刃型製作、絞り成形とほぼ完全にすべてウチで完結しています。やっていないことと言ったら牛を飼うことと革をなめすことでしょう。


成形途中はこんな感じ。


刃型を合わせるガイドラインとか、フラップをつけるガイドラインとか色々なラインを最初からつけてあります。もうすっかり抜かりがないんです。

というわけで、恐らく世界初の革キット、作って販売してみたのでした。こちらのページ

これだけだとちょっとだけ面白みに欠けると思い、更に一段進化させてみました。


サイズを変えると刃型も作り直しになって面倒なので、同じサイズで二股に分かれている絞り型をモデリングしました。

正直もうしまして、完全に2本に分かれているのは存在していますので、自然と真ん中で分かれていて、口の方と先の方はこれまた自然に平たくなっていたり、丸くなっていたりというナチュラルな雰囲気で二股に分かれるものというのが今回のモデリングテーマです。


どうです?ちょっと半乾きですのでムラがありますけど、なかなかいけてますよ。


赤のオイルヌメでも作ってみました。



ご覧いただきたいのはこの部分。中間部分はかなり強引に絞っていますが割とナチュラルに球形に戻しております。


開口部側もナチュラルに平面戻し。


こういうことをソリッドでやろうとするとかなり複雑で相当な苦労を覚悟のモデリングになってしまいますが、難しいことを考えずにシングルサーフェスで制御点を引っ張って作るとモデリングは楽ちんだし、凹凸型のクリアランスを取るのも楽だし、データも軽いし、良いことづくめだな、ということを覚えたのでありまーす。


ワイヤーフレームで見ると制御点こんだけ。U:11 V:14。実にシンプルで爽快。スッキリ爽やかコカコーラだ。


せっかく作ったので、こっちもそのうちキットで出そうと思います。