2016年1月13日水曜日

ランドヨットが売れたよ

趣味で作っていたランドヨットですが、ひょんな事でうちに来られた造形教室の先生が、教材として使いたいという事で、採用が決まりました。
しかしながら教材として利用されるのでしたら、もう少し何か工夫が必要だろうと考え、しかし時間もないということで、必死で明日の試作品納品に頑張ってました。



まず車輪だ。
車輪はインラインスケートのものを使って作っているものが多いですが(私も作りましたが)、それだと直径が70mmとか75mmで、普通のアスファルト舗装でもかなり凹凸を拾い、かなりガタガタしてしまうのです。径は大きい方が有利だろうということで3つの車輪を120mmでつくります。これでしたら公園の未舗装グランドぐらいでもいけるかも知れません。



ラジコン用のホイールとかを使うと、それだけでかなりコストがかかって、小学生向けの教材としては高すぎる物になってしまうので、CNCでベニヤ板を削って車輪を作りますが、そのままだと実にチープなのです。

手作りそうろうでは見栄えが悪いので、車輪らしく、ホイールの切り抜きを作ります。
これを貼れば車輪らしくなるのです。本当です。



ほら、どうだ。ベニヤ板をカットしただけのものですが、実に見栄えが良いですね。
しかも、ベアリングを入れてあるので回転もとてもスムーズです。何という贅沢な、というかこういう肝心なところはケチらない。



タイヤ部分も工夫しました。
スポンジを貼り付け、その上にゴムバンドを巻きます。「ゴムバンド=太い輪ゴム」というのが肝です。すり減ったら取り替えられるわけです。しかも所詮輪ゴムですので実に安価です。飴色ではなくもっと濃い色のものを使えば更に見栄えが良いです。スポンジの効果でグリップとクッション性も良くなります。



次はステアリング部分です。ここもなかなかスムーズに回すのは難しいのです。というのは、車輪を傾けてあるので、ステアリング時に結構力がかかるわけです。



つまり上の図左側のように、30度ぐらい傾斜をつけてあるわけで、これを右のように傾斜なしで作れば、舵を切るときにほとんど力はかからないです。ではなぜ傾斜をつけるかというと、これはもう自転車やオートバイをご覧いただければ、フロントフォークは傾斜をつけてあるものというのがおわかりいただけると思います。ハンドルを切ったときに路面に対してネガティブキャンバーになり、この方が断然舵が利くわけです。ただ30°という角度がベストなのかどうかは、私にはよくわかりませんが。後輪の位置と水平で合わせることを考慮したら自然とこうなったと、そういうわけです。

こう考えるとCADは便利だ。本来、理数系がからきしダメな私でも設計段階から理論整然と屁理屈が並べられる。何かすごくシステマティックに設計しているような印象を与えられます。これを何も理屈を解説せずに、いきなり「手作りの良さ」とか言い出した途端、「こいつはすべて思いつきで行き当たりばったりに物事をやっている」とか「聞き心地の良い言葉を並べ立てて不都合な真実を隠そうとしている」となり、「どうせロクなものではない」となってしまうわけです。

この際だから思い切ってぶっちゃけてしまうと、この隠したい不都合な真実というのは、大概の場合
「この商品は価格相応の価値はありません」
ということだ。価値のないものをいかに価値があるように思い込ませて売りたい常套句、というのが耳に心地よい売り文句だと、そういうことですね。

結局のところ、ランドヨットDIYの難点はこのステアリング部分にあるわけです。ここさえクリア出来れば、あとは特別難しいところはありません。



スムーズに回転させるのは、やっぱりベアリングを仕込むのが手っ取り早いのです。



誰が作っても、というか小学生が作っても失敗せずにできるような組み立て構造にします。
まあ突っ込みどころは多いかと思いますし、もっと良い方法もあるのは間違いないと思いますが、簡単に失敗せずにとなると、私が思いつくのはこれぐらいかな、という感じです。


これだけスムーズなら良いでしょう。



帆を引っ張るサーボですけど、大概の(パチの)サーボは90度ぐらいしか回ってくれないので、180度回ってくれるように改造します。

改造と言っても、上の矢印部分の配線に2.2kΩ~3kΩの抵抗を噛ませてやるだけです。



大須のパーツ屋で100本入り200円でした。



帆を引っ張るサーボは結構力がかかりますので、附属の樹脂製のサーボホーンだとすぐに滑ってダメになってしまいます。ちょっと値段は張りますが、アルミ製のホーンを使います。



糸巻きの部分にアルミホーンをつけます。




これだけ回れば帆をかなり張り出せます。
海外のDIYランドヨットを見ていると、この部分がほんの少ししか回らない構造、つまり帆をちょっと緩める程度ぐらいのものを多く見かけますが、それでもちゃんと走っていますので、ここまでやる必要はないのかなぁ、などと思ったりしますが、やっぱり追い風の時に思い切り帆を張れる方が気分が良いです。



ホームセンターで手に入るこういう金具を曲げて糸を導く部分を作ります。



こんな感じで固定。



単3 x4本の電池ボックスを積んでチョチョッと配線。



マストをサポートする糸を張る部分のパーツも一応作っておくと、ちょっとだけ格好いいかも知れません。



何とか明日の試作品納品には間に合いました。



うーん、なかなかそれなりに見栄えは良い気がします。
今日は風がないので、試走ができませんが、坂を下らせて走らせた感じですと、おそらくホイールに巻いてあるスポンジのおかげだと思いますが、実に静粛で滑るように走ります。

インラインスケート用の車輪を使って作ったものは、かなり車輪からノイズが出てガラガラとうるさいし、ちょっと路面が荒いと、ものすごい振動なのです。振動を出すというのは、やはりそれがある程度の抵抗力となっているのは間違いありません。

さて、あとは何台受注になるかというところですね。