3Dプリンターというのは人間が張り付いていなくても、データを放り込んでおけば勝手に仕事をしてくれますので、寝かしていては損で、特に効果的なのは夜の時間。仕事から帰るときに10時間以上かかるような大きめのものをセットしておけば、次の朝、出社する頃には出来上がっているという大変便利なものです。昼間も延々と動かしているので、このところ24時間休みなしで3Dプリンターが動いております。
今回は、八角形を基本としたシェイプのパイプを作ってみましょう。せっかくですから手では作れないと言うか作りにくい形状、すなわち火皿も八角形のもの、をモデリングしてみます。火皿が丸というのはドリルを突っ込むだけですから手でもできるのですが、火皿が八角形というパイプは見たことがありません。そんなことをやっても意味がないという事かもしれませんが、誰かやってみたのか?誰もやっていないのなら、やってみる価値はあるだろう?
ステムとの継ぎ目は丸いほうが良いと思いますので、開いた口を八角形にして、途中から丸く角のないシェイプにいたします。
こういうのもシングルサーフェスでやってしまえば時間はかかりません。シワが寄らないようにコントロールポイントを弄ってやれば何とかなります。よく見ると多少シワが寄ってしまってますけど気にするな。相手は粘土なのですから、焼いてしまえばそんなの消えてしまいます。時間がないのですからスピード勝負ですよ。
火皿を作る型も八角形。こんなことをやる奴は見たことがない。ご覧あれ、これが3Dモデラーのパワーだ。作り方をよく知らなくても、描き方さえ知っていれば実際にモノが作れてしまう。こういう素晴らしい世界が今は実現しているのです。実にいい時代だ。「よし、俺もライノを導入して3Dモデリングの世界に入ってやろう」と思われる方がいたら、私は全力で阻止したいね。他人にやらせるなんて勿体ないわ。
3Dモデラーと3Dプリンターという組み合わせは、パイプそのものを作ることはちょっと無理、というのはABSやPLAは熱に弱いし、こんな樹脂の溶けた煙なんか吸いたくないです。しかしクレイパイプの型を作るということに関しては見事に適しています。
3Dプリントした粘土型。もう使用後ですけど。
粘土を詰めて成形。今回は瀬戸の陶土で作りました。陶土も5種類ぐらい用意してありますので、あれこれ作って味を比べてみます。
素焼きして釉薬かけたものがこちら。
根竹は掘ってきたものですので、磨いていなくてちょっと汚いですけど、これも時間があるときにまたそのうち。
内側もご覧の通り八角形。ちょっと花瓶ぽいです。
内側は釉薬かけずに素焼きのままですので、クレイパイプの水分吸収力はそのまま残っております。
さて、これ吸ってみましたところ。何となかなか旨いです。丸型のクレイパイプよりも、どういう理由かはわかりませんけど、あきらかに旨いです。八角形ボウルが旨いのか?今度はボウルだけ丸型で作ってみます。
ブライヤーに勝てるとか、そういう適当な嘘は言いませんが、これはなかなか旨いです。
世の中にクレイパイプを云々している方がそれなりにいらっしゃいますけど、自分で作って検証するのはこの俺ぐらいのものだぞ?
クレイパイプも形状で味が変わるのは間違いなさそうなので、探求してみる価値はありそうです。クレイパイプというのはもともと西洋のもので、現在日本で手に入るものも西洋で作られたものしか無いと思います。まず粘土が西洋と日本では違いますし、陶土なんか山のように種類がありますので、奥が深いと思います。結局日本にはパイプスモーカーが少ないので、今まで誰も探求や研究はしなかったのです。ここに初めてそういうくだらないことをやってやろうという奴が現れました。
何が言いたいかと言うと、クレイパイプは不味いと一言で片付けられるものではない、これは間違いないです。何しろ日本では作った人間がいるのかどうかもわからないという非常にマイナーな分野だからです。
そこで、クレイパイプは不味いと言い切ってしまっているアナタ!自分で日本の陶土を捏ねて焼いて作ってみたのか?タバコを吹かすだけが人生の楽しみで、他にこれと言って趣味も娯楽もなし、という俺の方向性はここに定まった。
私がモデリングして、日本の陶土で自分で焼いたクレイパイプ。そしてなかなか味がいい。まさに至福の瞬間です。