2018年3月9日金曜日

泥漿鋳込み成形にチャレンジ

泥漿鋳込み成形という、石膏型に泥漿(要するに粘土の泥)を流し込んで陶器を整形する方法があるらしいです。興味のある方はGoogleで探していただくとして、身近な物で言うなら陶器の貯金箱。ああいう中空構造を持つ陶器を作る方法が、3Dプリンターがあれば簡単にできそうだということで、チャレンジしてみました。
ロクロを回すことを覚えたり、手捻りを極めようとしたり、そういう普通で伝統的なセオリーは全く見向きもせず、面倒で根気のいることはすべてすっ飛ばして、3Dモデラーの力で手っ取り早く、力づくで見栄えの良いものを作ってやろうぜ、というのが実に私らしい物事の進め方だと思います。とは言ってもさ、今からロクロ回しを初めて、10年後にやっと一端になったとして、60歳だよ?そんな気の長いことをやってられないよな。



何はともあれ、まずモデリング。煙を冷やすチャンバーを持つ内部二重構造のパイプのガワを作ってみることにいたします。



大体3mm厚ぐらいの厚みを狙って作ってみます。ちなみに私がよくやっている外枠と内枠を作って成形するという方法とはちがい、泥漿鋳込みでは外枠だけ作れば良いです。内枠は必要ないのです。外枠(凹型)に泥がへばりついて鋳込み時間によって、だんだんと厚みを勝手に作ってくれます。しかしながら内枠(凸型)を作らなくても良いというのは実に画期的な方法です。

3Dプリンターで石膏型を作るための型をプリントします。型を作るための型という、ちょっとややこしい話ですね。



ここに石膏を流し込んで鋳込み用の石膏型を作ります。

で、石膏型の写真を撮り忘れたのでありますが、続けていきます。

泥漿の作り方を調べてみますと、陶土と珪酸ソーダと水を混ぜるとあります。鋳込み用の陶土や珪酸ソーダなんか買ってくるのは面倒ですので、そこら辺の空き地で粘土を採取してやってみます。



隣にある業者のゴミから拾ってきたペール缶に、そこら辺の空き地から  実家の裏庭から採取してきた粘土質の土と水を加えて混ぜて泥漿といたします。これは水を入れすぎたような気がします。こんなことできちんとした物ができるのだろうか?と思われるかもしれませんが、まあ良いじゃないですか。最初のチャレンジだし、材料はタダだ。



泥を流し込むと水分が石膏に吸収されて、泥の容量が減るわけなのですが、そういうことをよくわかっていないので、設計時に考慮してなかったです。仕方がないので竹筒を継ぎ足して間に合わせました。初めてやることはトライアンドエラーの連続ですね。



どれぐらいの時間を鋳込めばいいのかさっぱりわかりませんので、1時間ぐらい鋳込んで、泥を排出しました。

こんないい加減な方法では絶対に成形できないと思われるという方が大半かと予想しますし、私もこれではちょっと、、、と思っておりましたが、型を外してみましたところ



何と!成形できていました。ただ肉厚が2.5mmぐらいとちょっと薄かったね。
これを素焼きしたらどうなるか、というのはまだわかりません。明日まで乾燥させて焼いてみます。

とりあえず泥漿鋳込み成形の最初のチャレンジが、ここまでは何とか形になった、というお話でした。
すでに型は出来てしまっていますから、泥漿鋳込みのノウハウさえ掴んでしまえば、あとは流し込んで乾かすだけで何個でも苦労せずにホイホイ作れてしまうという素晴らしい未来が待っています。世の中には手作り一点ものと自慢している人が多いですけど、言ってみれば型の作り方を知らんとか、その技能を持っていないとか、大概はそういう次元の低い話です。



しかしながら、拾ってきた泥できちんとしたキャラバッシュ クレイパイプが出来たとしたら、実に夢のあるお話になりますなぁ。