一昨日の月曜日に発注した刃型が、本日上がって参りました。
刃型を知らない方のために説明をいたしますと、刃物をクネクネと曲げたものです。
少々特殊な作り方をしてもらっているので、普通の刃型を作るよりも時間がかかるのですが、2日で届くのは結構仕事が速いです。
普通の刃型を作るよりも二手間ぐらい余分にかかっている割には、お値段は驚くべきものがあります。私に同じ値段出すから、同じものを作れと言われても「オマエ舐めてんのか?その3倍払え」と思わず言ってしまいそうになる価格です。数千円で出来たりすることは絶対にありませんが、この2つの型で数百万~千万超えの売り上げを叩き出す事を考えれば(ホントかい?)、かなり安いと思います。
刃型の費用対効果を一度でも知ってしまったら、革を手裁ちするという行為はアホ臭くてやっていられなくなります。先回の記事でも書いた2D CADもそうですが、案外そこらへんの革工房では刃型を導入していません。刃型を導入すれば年に数百万余分に稼げるのに勿体ないことだと思いますが、逆に言えばウチが年に数百万円余分に稼げているのは、ただ単に刃型のおかげです。だから今後も刃型は普及しないでくれるといいな、と切に願っています。
だから私に「良い刃型屋を紹介してくれ」と言われても、絶対紹介しません。「都合良く楽をしようとするな、自分の足で探せ」と冷たく言い放ちます。きっとそのうちに刃型屋さんに怒られますね。
とは言ってもデジカメケースとなると、きちんとした刃型を作ってもらうには経験が必要です。素人が思いつきで刃型を作ってもまず製作段階で、あそこが合わない、ここが合わないということになります。何と言ってもデジカメケースの場合は寸法が非常にシビアですので、適当にデータを作ってもまずきちんとした刃型が出来上がらないです。結局2回、3回と作り直して、刃型という製品の初期投資に結構な金額がかかってしまうということになります。CADでしっかり設計をして、試作からレーザーカットして、最終的には0.5mm単位でデータを調整しながら試作を進めていく、というぐらいの厳しさがないと、正直難しいと思います。
こうなると後で楽をするために、最初に大変な苦労をするという、よくわからないお話しになってしまいますが、
カッターナイフを使ってフリーハンドでカットした厚紙の型紙で製品を作っています
というのと、
設計はCAD、試作はレーザー加工機、製品は刃型でカットして作ってます
とでは、与える印象がもう天と地ほどの差が出てしまいます。短く言って「別世界とか別次元のお話し」です。
2つ型があるのは、 スクリーン周りを綺麗にミシン掛けするためです。ミシンでステッチを入れた後、四角の別刃型でスクリーン周りをカットいたします。これがスクリーン周りに綺麗にステッチを入れるためのミソです。
あらかじめさび止めのクリア吹きはしてあるのですが、私は「刃型は黒が格好いいと」思っておりますので、つや消し黒で再度吹き付けます。変なこだわりがある割には、塗装は何でも良くて、ホムセンで198円で売っている缶スプレーで吹き付けて自然乾燥をしています。。日付もペイントマーカーで入れておきます。
以前は塗装もメラミン塗料を吹き付けて、オーブンで焼く、という焼き付け塗装をしておりました。焼き付け塗装となると、それはもう丈夫なもので、5年以上前の刃型でも錆び一つありません。最近は刃型の量も多く、もう面倒ですので、缶スプレーに格下げとなってしまいました。やはりあまり使わない刃型は結構さびが来ます。
USB穴の部分は、長辺が真っ直ぐだと綺麗に見えませんので、真ん中をわずかにすぼませております。とても微妙なカーブもきちんと曲げて来ております。プロは大したものです。