本日、2011年12月18日 日曜日です。
またまた、今日もやることがあるので休日にもかかわらず出勤してきました。
今日、まずやることは手縫い糸のロウ付け。革の手縫いをするときには、縫製途中に糸が緩まないようにという目的と、糸が擦れて糸痩せしないようにという目的で糸にロウ付けをします。
普通は糸を固形のロウ(蜜蝋と松ヤニを混ぜたもの)にこすりつけて、糸にロウをのせるというか、できれば糸にロウを染みこませるわけですが、当店の場合は手縫いも結構な量になりますので、一回一回使う度にロウ付けをするのは、大変効率が悪いということで、何百メーターという糸を一気にロウ付けしてしまいます。
まず用意するのは、蜜蝋。これはつまり蜂の巣を溶かして精製したものです。
これぐらいだと3kgぐらいでしょうか。養蜂業者さんから買います。
本来なら松ヤニを混ぜると良いのですが、蜜蝋だけでもほぼ問題なくロウ付け糸が出来上がるので、松ヤニは入れません。また蜜蝋だけだと糸が硬すぎになりますので(だから本来は松ヤニを混ぜるわけですが)、とある植物性油を混ぜて少々柔らかくします。
それを携帯コンロで温めて液状にして、その液体に糸を通して、ロウ付けをしていくわけです。
このようにロウを温めて液状にしてロウ付けをする方法は、完全に糸の芯までロウが染みこみますので、固形ロウに糸をすりつける方法よりも強靱なロウ付け糸が出来上がります。
まあ、こう言っては何ですが、冬の日曜日の朝から薄ら寒いスレートの倉庫で、寒さに震えながら手縫い糸のロウ付けをしている中年男の姿というものは、あまり格好いいものではありません。しかし、仕事ですから仕方がありません。
約2時間で約800メーターほどの糸をロウ付けしたと思います。とにかくダークタン用の焦げ茶色糸の消費が激しいので、この色だけで600メーターほど巻きました。600メーターあれば、400個ほどのダークタンケースが作れます。半年分ぐらいの量はあるんじゃないでしょうか。
午後11時。一仕事終えました。
今からロウ付けしたばかりの糸を使って、ダークタンケースの手縫い縫製をいたします。