本日、2011年12月4日 日曜日。世間の皆様は休日だと思いますが、私の方は仕事はたまっておりますので、午前8時半頃にヨタヨタ~と出勤してきて、仕事を始めます。
本日は2日前に届いたX10の貼り革の採寸をしたいと思います。
では早速始めましょう。
まず竹串でオリジナルの革の端をめくり上げます。
竹串とか爪楊枝を使うとカメラボディに傷がつかないのでお勧めです。
ちょっとめくれ上がったら、後は手でゆっくり引っ張って剥がしていきます。
そんなに大変な作業ではありませんが、今回X10で気をつけていただきたいのは、背面にある親指のグリップ部分です。これも両面テープでくっついているだけですので、一緒に剥がしてしまわないようご注意下さい。
この時点で私のX10の1年保証は、綺麗さっぱり消滅しました。
どこかのカメラレザーを売っている業者が、カメラ革の貼り替えの方法で、オリジナルの革から採寸しろとか書いてあったと思うのですが、カメラ革ってのは剥がすときにどうしても伸びて変形するのです。
上のイメージのような剥がしたレザーから、正確なカメラ革を作れたら、私はその人を心の底から尊敬しますね。素人相手だと思って、あまりいい加減な事を教えてはダメだよな。
では、どうやって正確な採寸をするのかというと、剥がした革をフラットベッドスキャナでスキャンして、2次元CADでその画像を読み込んで、それを下絵にして、トレース線を引いていきます。
「それじゃあ、一緒じゃないか?」と突っ込みたいところだと思いますが、そこからの作業がだいぶ違うのです。
トレースした線をレーザー加工機でカットして、現物のカメラに合わせてみる。当然合いませんので、合わない部分の線を引き直して、またデータをレーザー加工機に放り込んでカットする。
これを延々と繰り返します。この作業のミソは、CADで引いたラインと寸分変わらないラインでカットをしてくれるレーザー加工機です。これが無いと正確で複雑なカメラ革を作る事は至難と言っても構いません。きちんとしたものを作りたければ、きちんとした道具・機械というものが必要ということになります。
CADでザッとトレースしました。
レーザーでカット。CADと全く同じ線でカットしてくれます。便利な世の中です。こういう先端技術を当店程度の工房でもその気になれば導入できます。ちなみにウチはレーザー加工機が2台ですけどね。やる気があればこんなもんです。
しばらくは合うわけがないので、画用紙程度のものをカットしておけばいいです。
画用紙である程度データを煮詰めたら、ツキ板をカットしてさらに正確なデータを作っていきます。
ツキ板は伸縮がありませんので、これで合っていれば、それは間違いなく正確なデータとなります。
現在午前11時。フロントの2ピースは正確な貼り革データが完成いたしました。
今日は何とか裏の2ピースも貼り革データを完成させたいところです。
簡単な方から手をつけていきます。
午後1時50分。採寸が終わりました。
明日、データを刃型屋さんに送ります。
なかなか美しいX10になりました。
思ったよりも早めに終わってしまいました。Nikon 1でも手をつけようか。