2014年3月19日水曜日

双眼鏡の革貼り

双眼鏡に関しては、私はさっぱりわからないのですが、カメラ屋さんに聞いたところ、双眼鏡がやたら売れるときがあるそうです。

それは、日食とか流星群とかの天体ショーがあるとき。普段双眼鏡というのは全く売れないものなのだそうですが、そういうときは火がついたように売れるそうです。

あと、ジャニーズのコンサートがあるとき。これも恐ろしい勢いで売れるそうです。なので、コンサート当日は、コンサート会場近くに双眼鏡のメーカーさんが屋台のようなノリで山のように並べて、売って売って売りまくるという話しです。

でもどちらも高いものは売れません。販売価格帯は3000円とか高くても5000円とかそれぐらいでしょう。

それ以外のとき、双眼鏡の市場規模はデジカメと比べて3桁ぐらい低いものということです。
デジタルカメラの市場規模というのが、スマートフォンと比べると2桁ぐらい市場規模が低いと思いますので、双眼鏡の市場規模というのがだいたいおわかりいただけると思います。

知り合いが持ち込んできた話しなのですが、ドイツの有名メーカーが双眼鏡の革張りをしてくれる業者を探しているということで、双眼鏡を持ってきました。現行品ですが、今まで貼り替えをやっていた業者さんが年齢により廃業をしてしまったから、新たなところを探していると言うことなのです。


刃型も持ち込みなのです。
ただ革漉き作業が必要なので、革漉き機を持っているところでないと無理ですね。ウチは革漉き機がありますので、持ち込んできた刃型で革をカットして、漉いて貼り付ける。


カメラを使っている人なら誰でも知っているドイツの有名メーカーです。私はこういうところで取引先がどことかベラベラ話しませんので、メーカーのロゴは隠してあります。


条件は合いそうな感じです。
ただ上にも書いたとおり、双眼鏡の市場規模はカメラと比べてものすごく小さいですから、大儲けなどと言うことは絶対ありません。もし大きな利益が見込める仕事でしたら、ウチなどに話が回ってくることはないのです。それでも、超有名メーカー様の仕事を小さくてもやらせていただく、と言うことは、これは名誉ですから、ぜひ当店でやらせていただきたいと思うところです。


持ち込まれてきた刃型を見れば、結構いろいろなことがわかります。
ロゴを切り抜くポンチが別物になっている、つまりウチみたいな業者だと、一体にして工程を2つ減らしてしまいます。なぜ一体にしないのか?というのにも理由がありまして、こういうヤクモノを一体にした刃型は強度的に弱いので、油圧クリッカーを使うと、何かの拍子で壊れたりズレたりする可能性があるわけですね。当店は強度があまりない複雑な刃型はハンドクリッカーを使うので、そういう心配はありません。ウチでやるとしたら一体型に刃型を改造してしまいます。


32mmの刃型を使っていますね。これはこういう小さな仕事をするための刃型ではないです。トムソンで充分なのですが、そこの革業者さんが32mmの刃型を主体に使っていたので、統一していたのでしょう。おそらくカバン屋さんか靴屋さんですが、革業者さんというのは基本的にその二つしかありませんが、小物を作っていた業者さんではないですね。クリッカーはおそらく30トンというところかな。