しかしよく考えたら、そんなことをしている場合ではない、E-P2用のケースを作るほうが遙かに優先順位が上だと言うことに気づいて(遅いわ...)、朝から試作を始めました。
とりあえずE-P2の現物に合わせて、E-P1用ケースの合わない部分:つまりVF-2の干渉する部分のデータを引き直してみて、多少形状も改良してみてレーザーカット。
CADで線を引いた通りにカットしてくれます。これがないと当店は試作一つできません。というのは、刃型を作るときにCADデータを刃型屋さんに送って製作をしてもらうわけですが、このデータがしっかりしていないときちんとした刃型ができずに、実際に製品を作ってみたら、ちょっと合わないとなって、作り直しとか悲しい目に遭うのです。
実際に私がお願いしている刃型屋さんもレーザーでベニヤに溝を作って、その溝に刃を埋め込んでいくという方法で刃型を作っているので(トムソン刃型方式...でも最終的にベニヤの基板から刃型を外して納品してもらっています)、試作からレーザーを使うという方法は非常に理にかなっております。
ところで、上の画像をご覧いただければ、おわかりいただけると思うのですが、線の組み合わせが結構複雑なので、どういう順番でレーザーが線をカットしていくか?という疑問もあったりするかと思います。上の画像だとてんでバラバラにカットしている感じもします。
実は私もよく知らないのですが、どうやらCADで引いた線の順番通りにレーザーが走っているようです。なので、手直しした線は後の方でカットしているわけです。そうやってみると、何となく引いている線の一本一本にも意味があるんだなあ、という思いがしてきます。
とは言っても、実は何のことはない、基本的にDXFデータは数値データとか座標データで、ただのテキストファイルのようです(テキストエディタで普通に開けます)。結局新しく引いた線とか書き直した線はテキストファイルの末尾に追加されていくというだけの話のようです。
下の数値はDXFデータの一部。
画層0
6
CONTINUOUS
10
240.42056693826
20
190.878834648231
40
19.7233170229678
50
-141.204751792424
51
-103.962415309838
0
ARC
8
画層0
6
CONTINUOUS
10
237.109331257182
20
177.560983906567
40
6
50
-103.962412374512
51
-49.9526015396499
0
LINE
8
というわけで、切り上がった側面パーツ。まだまだ数回は試作が続きます。
大まかな変更点は上の画像のような感じです。
VF2の切り込みと、USB穴左線に弧をつける部分です。このUSB穴の弧はケースを組み上げた時点で穴の切り込みが真っ直ぐ見えるように視覚効果を狙ったものです。ここが直線だと、ケースを組み上げると、ちょっとふくらんで見えてしまいます。ほんの少しの事なのですが、せっかくだからこだわりたい、というところです。
正午までの試作状態。4個目です。外観はほぼE-P1のケースを踏襲しておりますが、全体的に細かな部分を改良しております。GF-1のレンズのようにサイズの大きなものも余裕を持って付けられるようにしております。
ほぼ形は決まりましたので、昼からは実際に使う革を使って、裏革も貼り付けて、最終製品試作を致しました。
上の画像は最終試作2個前。まだ底と側面は縫製しておりません。まあ形はこれで問題ないとおもいますので、次に最終試作となります。
E-P2ケース 最終試作 2009/12/20(日) 午後3時
製品と同じになる(はずの)最終試作です。製品とほとんど同じ作り方で、作っております。このデータで刃型発注となります。
VF-2もクリアしております。スクリーン周りのステッチラインは製品では多少変わるかもしれません。というか変わる可能性大です。
大きめのレンズも余裕でつきます。全作では少々厳しかったというかギリギリだったGF1のレンズも装着できます。
USBもケース装着のまま接続できます。上の方で書いたUSB穴の視覚効果も良い感じで出ております。
底と側面は、前作と同じく縁返し+駒合わせ縫い。この部分は手縫いのクロスステッチです。
E-P1にも全く問題なく装着できます。
刃型の製作に3日ぐらいかかり、ステッチラインをエンボスする型枠製作やら何やらで4日~5日ぐらいかかると思いますので、クリスマス頃に販売開始できる予定ですが、お正月までにお届けはできないと思います。
何と言っても、製品というのは販売前には製品試作をある程度しないと、販売ができません。つまり販売する前に、実際に製品を10個ぐらい作って、その製品製作に慣れて製品として品質を安定させるわけです。実のところ、製品はたくさん作れば作るほど慣れますので、品質が上がります。