2010年3月17日水曜日

E-PL1スナップケース in progress

昨日刃型が出来上がって、すぐにケースが出来上がるかというと、そうもいかないです。ウチの場合、なかなか段取りが多いです。

本日は昼からレーザーを占有して、型枠作り。このブログではそろそろ毎度お馴染みとなってきていると思います。


革の表面に ステッチラインのネン(押し)を入れるための型枠です。要するにミシンのガイドラインです。美しいステッチを入れるために、大変な手間をかけてわざわざこんなものまで作るわけです。


 ステッチが綺麗な製品と、ヨタヨタしたステッチの製品を比べたら、お客様に喜ばれるのはどちらかと言われたら、もう今更言うまでもないことだと思います。

美しいステッチラインだからこそ、Aki-Asahiの革製品、そうありたいと思っております。



4mmのアクリルを貼り合わせるときに、案外微妙にずれますので、データにφ2.5の位置合わせの穴を開けておいて、今回手っ取り早く竹串で位置合わせをして貼り合わせます。



我ながらなかなか芸が細かいと思います。



さて、出来上がった型枠に、昨日上がってきた刃型でカットした革を嵌め込んでみます。
刃型の寸法と、型枠の寸法が違っているとピッタリ填りません。毎度の事ですがピッタリです。こうやって寸法通りということが一目瞭然に証明出来てこそ、設計データ通りの正確な刃型と言えます。

ここまで見事に正確なカットが出来るとなると、「革の手裁ちなどアホ臭くてやってられるものではない」ということがおわかりいただけると思います。何と言っても何万枚でもキッチリ同じものが1枚わずか数秒でカットできてしまいます。


型枠のメス型に革を嵌めてオス型をかぶせて、Lucris MAIIIクリッカーで圧をかけます。
こういうときハンドプレスであるLucris MAIIIクリッカーは、ジワッと圧をかけられますので非常に役に立ちます。油圧プレスだと、高さ調整を失敗したりした場合、これぐらいの型枠程度ですと一発で破壊されてしまいます。


革の端にネン(押し)が入っているのがおわかりいただけますでしょうか。まさにこれがミシンが走るガイドラインとなります。これに沿ってミシンを走らせれば、設計通りのステッチが入るわけです。

詰まるところ、当店のやっていることは神秘的な職人技でも何でもなく、工程を一つ一つブレイクダウンして、誰でも理解できる理屈通りに積み上げていっているだけのことです。なので基本的に素人でも出来るようになっております。
おそらく明日から日本語が通じない外人が来たとしても、同じケースが出来るはずです。もちろん行程に熟練したスタッフがやった方が、私のストレスが少ないのは間違いないですが。

トヨタに勤めている知り合いが言いました:「それトヨタ方式だ
それが良いのか悪いのか私にはわかりませんが、、、効率を追求していく(=無駄を省いていく)と、行き着くところはそこなのかもしれません。もちろんこういう方式は私が考案したわけでも何でもなく、私が行っていたかばん屋の社長が、一つ一つの行程を事細かくノートに書き記して、それに沿ってカバンを作っていたのを、私が真似しただけです。


目出度く型枠も完成して、生産開始となるかというと、まだまだそうもいかないんですねえ。
底部用の型枠と、革の荒裁ち用の刃型の製作が残っています。生産前の段取りというか準備が非常に多いのですが、これがきちんとやってあれば、いざ生産に入ったときには、そのスピードはまさに鬼神。

他のケースを作りながらやってますので、すみませんけど、まだ少々お待ちください。