2010年3月21日日曜日

E-PL1ケースの続き

朝からE-P1/E-P2ケースの縫製をして、昼からとりあえずかかりました。


刃型と側面の型枠は出来上がっておりますので、荒裁ち用の刃型データ・裏革のレーザーカット用のデータ・スクリーン周りの補強材のデータ・補強のステン板用のデータのCAD引き。
ちなみに私が使用している二次元CADは、AR CADというもの。何とフリーです。JWCADの方がユーザー数が多く、知名度も高いと思いますが、正直あれはインターフェイスが古くさく、MS-DOSのノリのままという感じで、どうも私には合わないです(私はDOS時代からのPCユーザーですが)。
革製品を設計する程度の事でしたら、このフリーのAR CADで充分以上に役だってくれます。タダで使わせていただいて、利益まで出させていただいて、何かホントすみません、というかありがとうございます、という感じです。
しかしCADというのはホント便利です。ほとんどマウス操作+テンキー操作少々で正確な図面が描けてしまいます。いつも自分でCAD引きしながら、この便利さに感心します。しかも二次元CADは非常に軽い。
よくあるパターンですが、ウチに設計図持ち込まれるときイラレのデータを持ってこられると、もうだいたいが寸法が支離滅裂で、角の面取りもRではなくベジェで引いてあったりして、もう頭を抱えたくなるようなものばかりです。CADを使えばいいだろう、一体何が気に入らないんだ?と叫びたくなることがしばしばです。

さて、本日曲げた刃は2点。


荒裁ち用の大きなものと、補強用のステン板をカットするための小さな刃型1点。
せっかくですから、実際に曲げている様子をビデオでご覧いただきましょう。



革というのは成牛革の場合、基本的に半頭分が1枚で販売されます(半裁)。だいたい230デシ~大きなものだと300デシ(1デシ=10cm x 10cm)ぐらいですから、結構大きなものです。そこから必要分をカットして使うわけで、普通はさみとか革包丁とか使って必要分をカットしますが、当店の場合、カメラごとに専用で荒裁ち用の刃型を作って持っております。その方が断然効率が良いからです。
ちなみにこの荒裁ち用刃型の使い回しは効きません。要するに上の写真にある刃型は当店のE-PL1ケースにしか使えないわけです。考えてみれば恐ろしく贅沢な話ですが、自分で刃型が作れると刃の原価と自分の労賃だけで作れてしまいます。なので当店の場合、刃型だけは贅沢三昧が出来ます。


油圧クリッカーの脇には、よく使う荒裁ち用の刃型が並べてぶら下がっております。
左からE-P1/E-P2ケース用、先ほど作ったE-PL1ケース用、GF-1ケース用です。




ついでに底部の型枠。点々としている部分が革に押しをつける山です。手縫いステッチのガイドラインの役割となります。

これでE-PL1ケースを生産する治具はすべて揃いました。あとは量産試作を進めるだけとなります。

せっかくですから始めてみましょう。


 荒裁ちした革と心材を貼り合わせて圧着します。


ゴムのり塗り機で裏の面に糊付けしておきます。
山田さん、これホント便利ですよ。


1枚だけですので、MAIIIハンドクリッカーでカットいたします。


刃型でカットされた状態です。


荒裁ち用刃型のおかげで、革の無駄は非常に少なくて済みます。


縁返しのために、縁漉きをします。縁漉き機という便利な機械があります。ちなみにこの縁漉き機ですが、プロは様々な工夫をして便利な使い方をします。以下、青春ミシンさんのビデオを載せておきます。










革漉きというのも奥が深い世界です。革漉き専門のプロがいるぐらいです。

つづく。