今日は日曜日ですので、RX1スナップケースの試作を進めて参ります。
試作15号です。
あと5個ぐらいで試作終了かなという感じです。
データはこんな感じです。不思議な形状をしておりますね。こういう感じでないときちんとフィットしません。
そして、データを修正して16個目の試作。
まず表革のレーザーカット。試作はレーザーで切らないと、CADで線を引いている意味がありません。手なんかでカットしたら試作が台無しになります。とにかく求められるのは正確性です。
裏革のカットが終わった状態です。
裏革の拡大写真です。
透明な部分が薄いプラスチック板で、そのプラスチック板をはがしてある部分が曲がる部分です。
このプラスチック板がかなり重要です。というのは革というのは正直申しまして、そんなに強い素材ではないのです。引っ張ればすぐ伸びますし、基本的に伸びたら完全には戻らないのです。これは高い革でも安い革でも基本的に同じです。それを防ぐには芯材を入れるしかありません。つまりその芯材です。この薄いプラ板を入れると一気に革の強度が上がります。芯材を入れたら、今度は曲がりにくくなりますので、曲げたいところは芯材を抜くわけです。
芯を入れないことには上のイメージのように、こんな細い部分が持つわけがないということは、容易にご想像いただけることと思います。
試作16個目。全体的にはほぼ同じです。ただこのボタンは小さすぎです。
試作17個目。今度は動画ボタンの穴が少々大きいようです。
さて、デジカメのケースで重要なのは、液晶周りで、ここがピシっとしていないと何というかタラっとした、だらしないケースになってします。ここが案外肝です。
この部分も革だけではピシっとしませんので、ちょっと厚めのプラ板を噛ませます。
たったこれだけのことで、液晶周囲がピシっと気分が良い感じになります。ここがダラシナイと作った人間がだらしなく思われかねません。ちょっとしたことが意外と重要なのです。
試作18号。
スクリーン周りがピシっとしているのがお分かりいただけると思います。
また動画ボタンも適度な大きさになったようです。
あとちょっと気になるのが、上のイメージの部分で、この部分がロゴにかぶっては行けませんし、低すぎると、全体的にちょっと低いケースという印象になってしまいます。低いケースというのは良くないですね。作った人間が志の低い人間というイメージなりかねません。0.3mmぐらいのことですが、これも案外重要です。0.3mm高くしましょう。
そして、最後にケース全体をピシっとさせるために、ステンの補強を入れます。
上のイメージの黒い線の形状で入れます。ステンはウチのレーザーでカット出来ませんので、刃型を作る必要があります。これは私が刃を曲げましょう。
では型紙カット。
ステッチのラインに引っかかってはいけませんので、ステッチラインから多少離した大きさです。
フットベンダーで刃を曲げます。
「つまりは刃を曲げるだけだろ?」と簡単そうに見えると思いますが、小さい刃型というのはかなり難しいのです。私は刃型の曲げは正直素人ですので、かなり苦労します。以前はこんな細かい刃は曲げられませんでしたが、これは場数を踏んでいるうちにうちに何となく出来るようになりました。
「何となく」曲げられているだけですので、売るほど上手くないです。
ちなみに、革製品を作っているところで、刃型も作れるところは、ウチの他には1件ぐらいしかありません。普通刃型屋に頼むのです。ウチも頼んでますけどね。
苦労しましたが、1時間ほどで何とか3つ曲げました。
今作った刃型でステン板をカットして、所定の位置に貼り付けます。
そして裏革を貼り付けました。
そして縫製。
試作19号。上のほうにある試作と比べると、かなりピシっとしているのがお分かりいただけると思います。
上から見ると、カメラの外周にきちんと張り付いているのがお分かりいただけると思います。
カメラボディに吸い付くようにフィットするケースそのものです。
本日一日の成果です。結局線ばっかり引いていました。
後1回試作して、刃型の発注です。ここからがまた結構長いんです。