昨日削り出した2つの治具です。カメラの名前と日付を書いておきます。これは非常に重要なことです。これを怠ったため、一体何の刃型だか治具だかわからない物体が、うちには結構たくさんあります。
治具に表革を嵌め込んで、液晶周りの形状保持のプラ板と、金属板を貼り付けます。
液晶周りの形状保持のプラ板。これがないと、スクリーン周りがダラッとして非常にダラシナイです。
表革もすでに心材を貼り合わせています。
金属板。これは曲がるべきところを曲げる癖をつけるためのものです。
裏革と薄いプラ板を接着したものです。これも形状保持。カメラケースというのは形状が崩れたら役に立たないのです。革というのは使っていくうちに湿度を持ったり乾いたり、オイルを入れたりしているうちに必ずクタって、形状が崩れてきます。それが革の性質なのですから、経年の使用で必ずそうなります。それはそれで革の持ち味ですが、カメラケースで形状崩れははだめですよね。それを防ぐために心材というものが必要になるわけですよ。
曲がる部分は心材が要りませんので、剥がしておきます。
心材も端までは必要ありませんので、端から1mmオフセットして剥がしておきます。レーザー加工機でハーフカットをして、こういう芸の細かいことをいたします。
表革+各種心材+裏革を貼り合わせた状態です。ここから縫製となります。
ガイドラインに沿って、ミシンを走らせます。ただガイドラインを信じて縫製をすれば、すべてOK。迷いは全くありません。
実に美しく縫製が決まりました。
さて、ここでもう一つ余ったガイドラインがあります。これは何をするものかと言いますと、
スクリーンの窓枠を切るための刃型を合わせるガイドラインです。スクリーン周りはデジカメケースの命みたいなものですので、表革+各種心材+裏革を貼り合わせて、縫製をした後、最後にカットをしないと綺麗なカット線が出ません。
なんと言いましょうか。ここまで細かいというか用意周到に、行程を理詰めで組み上げていくわけです。設計から完成まで一貫して論理破綻なしというのが理想的な工程です。
こうやって見ると適当に引いたような線に見えるかと思いますが、すべての線に意味があるというか、その線はそこに存在する理由というものが出てくるのですね。だってステッチが心材と干渉するかしないかとか、曲がり部分に金属板が云々とか、ほとんどこの図でわかってしまうのですから。
そうなると線の一本一本が製品の魂そのものと言えましょう。
ガイドラインに合わせて、プレス。カットされた図です。
どうでしょう?この美しいカット面。
やっと長い道のりが終わって、最初の1つが完成。
金属板を入れて癖をつけてありますので、結構ボディにピタッとフィットしております。
LVFをアイレベルまで下げた状態で、革に押し上げられたりいたしません。
LVFを上げた状態。
カメラの重心が低いので、重厚な感じがいたします。格好いいです。