以前、2,3個リンホフの採寸をしましたが、私も何型かよくわからない。III型のはずだけど、それはIV型だとか指摘されたり、いや、それはIII型だ、とまた指摘されたり、もう面倒くさい。詳しい型番を言われても私は実は把握していないのです。
特にライカM3をシリアルナンバーで言われて、それに合う革をくださいと言われても、そんな私にライカのシリアルを言われたところで、中古カメラ屋さんじゃないんだからわからないし、あまり覚えようという気も無い、という不真面目なもんです。ライカぐらいでしたら耳(ストラップラグ)の形状と、セルフのありなし、ファインダー切り替えレバーのありなしを聞けば合う革がわかるし、間違ってたら送り直しますからで済みますが、リンホフぐらいになると切り直しも大変なので、型番がわからないから実機を送っていただければ、こっちの方で貼り替えておきます、という感じで何とかしています。
そんなわけで、本日はリンホフのIII型。
前のオーナーさんが適当に貼り替えているので、綺麗に貼り直して欲しいというご依頼です。
苦労の跡が見えます。ポンチがないとDIYではなかなか苦労するのがよくわかります。
オリジナルの革が残っているところを見ると、途中で貼り替えが嫌になってしまったのかも知れません。これだけたくさんあれば当たり前です。こんな面倒な事を自分でやるぐらいなら、7000円ぐらい払ってもきちんとしたカット済みの革が手に入れば、ぜひそれを買いたい、という心理を突いたのがうちの商売ですね。
リンホフぐらいでしたら自分で採寸してカットする手間を考えれば15000円ぐらいでも買う人もいらっしゃるかと思いますが、7000円ぐらいにしておいたほうが良いんです。「お客さんをカモにしてはいけない」。これが私が長年小さな商売を続けてきて会得したことの一つです。
まあオリジナルの革も合皮ですから年月が経つと縮むのです。
リンホフはグレーの革で作ればもっと売れると思いますが、グレーの革というのは、レーザーカットすると端が焦げるし、保管していると革が変色してくるし、なかなか難しいのです。
さて、本日はこれを剥がして合いそうなデータを使って貼り替えをして参ります。
画用紙をカットして当てながら、IV型のデータが流用できるかどうか見ていきます。
IIIもIVも似たような形ですけど、実際に当ててみると、すべてのパーツがどれも微妙に違うという、、、困ったもんだな。結局そのまま流用できるデータは何もないです。これはまた一日がかりです。泣けてくると言うのはこの事ですが、仕方がありません。合わないものは合わないのです。