そのミニラボではお店のディスプレイのために、業者から熱帯魚をリースしていました。毎日ラボの人間がエサやりをして、2週間に一度、業者がやってきて、水槽の水替えとか掃除とかしてくれるのだそうです。それで月額5千円。どれぐらいのサイズの水槽で何匹の熱帯魚がいたのかわかりませんが、5000円で月2回という金額で果たして商売として合うのだろうか?と少々不思議になりました。
1回だいたい1時間ぐらい作業をしていたそうです。移動時間も考えると1日に6件回れないですよね。2500円 x 6=15000円。個人でやっているなら何とか採算が合うかもしれませんが、人を雇ってとなると微妙なところだと思います。
色々根掘り葉掘り聞いていると、
熱帯魚が大きく育ってくると、業者が持っていってしまい、代わりに小さな熱帯魚を水槽に入れていく のだそうです。
なるほど、それだ!そこにどうやら肝があるようです。
つまり、他人のふんどしで相撲を取るよろしく、他人の水槽で熱帯魚を育ててもらい、大きくなって良い値段で売れる頃になったら魚を引き取っていく、という素人では思いも付かないビジネスを確立しているようです。誰がこんな頭の良いことを考えたのか?
電気代、えさ代、水槽の掃除代金、すべて顧客持ち。
ラボを閉店するとき、水槽はどうなった?と訊くと、業者曰く
「水槽は要りますか?要らないならこちらで処分しておきますが?」
どうやら、水槽は買い取りだったらしいです。つまり水槽も顧客持ち。
視点を変えれば、顧客全額負担で熱帯魚の養殖をやっていた(やらされていた)わけです。
しかも、リース終了時には商売道具の水槽をタダで引き取れます。次の顧客に「水槽は買い取りでお願いしているのですが、中古なら半額で結構ですよ」と言えば、また利益が出てしまいますね。
それでいて、顧客の方は月5000円で熱帯魚をリースして、月に2回掃除も水替えもしてもらえるので、特に悪い話ではないどころか、普通満足すると思います。もっと大きな魚をじゃんじゃん入れてくれよ、となると話は変わってくると思いますが。
しかし見事なカラクリですね。世の中には実に頭の良い人間がいるものだ、と感心いたしました。誰が絵を描いたのでしょう?
商魂たくましい、その言葉がピッタリの商売人です。ただ何かを作って売って利益を得るという単純明快な商売をしている私としては、少し見習わないといけません。