なんだかんだで何度も何度も失敗します。少しずつデータを変えて成形型を削り出して、ということを繰り返してやっとここまで来ました。
たまに絞り型のお問い合わせが来るのですが、恐らくザッとですがこれぐらいかかります、という返答をすると、どうも想定されている見積額が1万円とか2万円ぐらいのようで、大概その後のお返事がありません。
絞り型の製作は、私も大変な手間と時間をかけて、相当な回数を試行錯誤をしてベストなクリアランスのデータを出しております。1万、2万でベストなクリアランスを出した絞り型を作ってくれるなら、この私が頼みたいぐらいです。おそらく工業デザイナーの所に行って3次元のデータを描いてもらうだけでもそれぐらいの値段はすると思います。
これぐらい深い絞り(30mmほど)になると絞れる革の選択が難しいです。
凹と凸の型に革を挟みこみます。
いきなり大きな力をかけて押すと破れますので、押し方もなかなか難しいです。
平面のものを立体にしてやろうというのですから、そもそもやっていることに大変な無理があります。
そして型から外した状態がこれ。相当な無理矢理感がおわかりいただけると思います。
ここに書いていないだけで絞るのにもあれこれノウハウがあります。
余分なところをトリムした状態。
どうです?美しい成型ではありませんか。割といい加減な素材である革でも、きちんと3次元でクリアランスを追い込んで設計すれば、こんな感じで一分の隙もない立体成型加工が出来るのですね。作っている私もビックリです。
そういう無理難題を何とか誤魔化しながら、平面の革が立体になったのでした。
革製品ですよ。全然そう見えないですけど、紛れもないLeather product.です。
ローライ二眼用のフードのフォルムに似せてあります。
うーん素晴らしい。
ただエルマーだと、角形フードは使えません。ピントを合わせると、鏡胴が回転しますので、こんな感じで意味のないものになってしまいます。丸形フードはまた考えます。