2015年5月15日金曜日

Bali Kamis物語 その6: バリの黒魔術(ブラックマジック)

バリ島在住20年である店主の配偶者に何かバリの身近なことを書いてもらうことにします。
名付けてBali Kamis物語 (Kamisはインドネシア語で木曜日)。

前回は Bali Kamis物語 その5



バリの黒魔術(ブラックマジック)

インドネシアではホワイトマジックとブラックマジックと言う怪しげな魔術が存在します。
惚れ薬から、気に入らない人を病気にしたり、家族を崩壊させたり、殺すことだってできちゃうと信じられている魔術です。
その魔術(ブラックマジック)を解くのがホワイトマジックとされています。そんなことほんとにできちゃうなんて信じられない方は遠い国のお話ですから、適当に聞き流して下さいね。

バリでは原因不明だと思う病気にかかったとか、夫婦仲うまくいきませ~んなんて悩んでいる人たちは、まず、ブラックマジックにかかっているのではないかと疑います。(夫婦仲が悪い原因が自分達にあるとはまず考えないところがみそです)。
ですのでそれを解いてくれる人の所に相談に行き、お祓いをしてもらうのです。どのような人がマジックを解く事が出来るのか、、、、。

balian(バリアン):ブラックマジックとホワイトマジックが出来、中立的な人で解くこともできるけどかける事も出来ちゃう人です。

注意しないといけないのは、全ていい人とは限らない為、かけられる場合もあると言う事です。

Mangku(マンク):普通にヒンズー教のお坊さんの事で、マジックが出来るお坊さんがいます。

Peranda(プランダ):位の高いヒンズー教のお坊さんで、ホワイトマジックしか使いません(ブラックマジックも勿論できますが使いません)

この中から、その症状や状況に合わせて選び、お祓いをしてもらい、
そして、最後には全ての諸悪の根源はマジックにかけられたからなのだと納得するのです。

浮気が見つかってしまった旦那さんの10人中8人は奥さんにこんな言い訳をするのです。

奥さんどういうことよ!

旦那いやぁ、どうしてこんなことになったのか自分でもわからないんだよぉ。
   彼女に惚れ薬飲まされたんだよ絶対。俺は悪くないんだ、、、。不思議だなぁ。
   
こんな言い訳をされたら渋々了承しない訳にはいきません。だって言い訳を聞いたら許してあげるというのがこの国の暗黙の了解での決まりごとですからね。
もし私の配偶者が、浮気をして『おかしいなぁ、どうして浮気しちゃたんだろうね。ほんと自分でもわからないんだよ。多分彼女に惚れ薬飲まされたんだよ、、、』なんて言い訳しようものなら、無言で回し蹴り食らわせて落とし前をつけさせますけど。そのあたりがバリ人と日本人の違いといえば違いです。

最近友達から聞いた話ですが、不思議なジャワ人のおばちゃんがいるというのです。彼女は、インド人のぺぺと言う少女が乗り移りブラックマジックを解くことが出来ると言う人です。その人はマジックにかかった人の体を触りマジックがかかっている箇所から釘だったり、石だったり、大きい物では笹の枝を体の中から出してマジックを解き、もう二度とマジックがかからないように蓋をしてくれるらしいです。
そして最後にマジックをかけた人を知りたいか、そして仕返ししたいかを聞いてくれます。
でも仕返しをするとそれはまた自分(または家族)に戻ってくると言う、良~く考えると怖い、それこそがマジックのようなお話です。
誰がマジックをかけたかなんて知ってしまえば、永遠の戦いになりますからね。人間知らない方がいい事も沢山あります。

もちろん、体にメスを入れるわけではないのですが、釘が出てきた箇所は痣になるので、相当力を入れてつねってるのかもしれません。

しかも、大金を取るわけでもなく、気持ちでいいですと言われるので、友達は500円ほどをお支払いするようです。

そうすると、商売目的でないのなら、一体何が目的なのかなぁ?なんて本来疑り深い私は思ってしまうのでした。


*ぺぺちゃんがマジックにかかった人の体から出した釘