休みの日は好きなことをしようと、自転車にも乗らずに自転車のドレスアップパーツを作っていきます。このあたりでそろそろ自分の事に気づき始めます。
「私は特に自転車に乗りたいわけではなく、自転車を自分なりにドレスアップしたい」
認めてしまえばいいのです。恥ずかしいことではありません。ありのままを認めれば楽に生きられます。
さて、まず革グリップ。売っているものはチラ見しただけでロクでもないものしか売っていない事がわかりますので自分で作ります。革製品というのは大概にしていい加減なものが多いです。
俺は3Dモデリングからやるよ?本気だよ?
なかなか複雑な2時点展開図を描いて、革をカットしてピッタリと3Dプリントしたグリップに合わせて貼り付けます。
魔法でも使ったようにピタッと複雑なエルゴノミック形状に革を貼り付けました!
絶対に2次元展開できない形状ですので、なかなか苦労します。
縫製ラインが直線ではなく曲線を描いている、売っている革グリップにはこんな芸の細かいものはありません。
さて、次はハンドルバッグの製作。
3Dプリントしたものです。フィラメントの黒がなかったので、黄色でプリントして、黒に塗装します。大体黒以外の色は余るのか、セールで激安になっていたりしますので、それを狙ってたくさん買い込んでおります。
蓋の部分は見栄えを良くするために革でバイアスします。
ここが今回一番面倒くさい駒合わせ縫い。これを革だけでやろうとするとなかなかうまく行かないです。これを無理やりやっていると「馬鹿なんだな、気の毒に」と思われますが、3Dプリンターでフレームを作ってあるので楽です。フレームに糸道をつけてあるので、その穴に沿って手縫いしていきます。
補強と防水性を考えて、裏打ちの芯材は何にしようかと考えましたが、クリアフォルダー(書類を挟む文房具)を切って使いました。スエードも裏に貼ろうかと思いましたが、重くなるのでやめました。見えない場所だからこれでいいや。
サドル、グリップ、ハンドルバッグを同じ革で揃えて、かなりご機嫌ですよ。
ロゴは古代ペルシャ帝国(アケメネス朝)の旗のデザインを拾ってきて、レーザー刻印。かっこよすぎて泣きそう。クセルクセス1世はこの旗を掲げ、総勢20万だか50万だかの想像を絶する大軍を率いてギリシャに攻め込んだのだと思うと感慨深いものがあります。結果は合従連衡したギリシャポリス連合に負けて押し返されましたけどね、、、。
古代アテナイのフクロウ(知恵の象徴:リンク)のロゴにしようかと迷いましたが、ペルシャ帝国のロゴにしました。
なんにしろ買ってきたもの(=他人様が作ったもの)ではなく、自分で作ったものでドレスアップすると満足度が高いです。
フレームの色が塩ビ管なのではじめはちょっと後悔しましたが、オリーブグリーンの革と合わせるとなかなか悪くないです。
保革オイルを入れて、ジーンズで擦れて黒光りを始めた革貼りサドル。自分の掌底に合わせて曲面をモデリングしたグリップ。大したものが入らないのに妙な存在感を主張する革のハンドルバッグ。晩秋の夕日の下で、じっと見ているだけで満足して時間が過ぎてしまうという、このたいそう無駄な時間の過ごし方は、これはこれで結構良いものだと思うのでした。