2021年12月24日金曜日

Neo Compoの外装7段化

 

12000円ぐらいで買ってきた30年前の折りたたみ自転車、台湾のNeoBike社製 Neo Compoですが、もともとスターメーアーチャー製の内装3段ギアが付いています。


これもYoutubeの解説を見ながら分解清掃とグリスアップして近場の移動に使っておりましたが、家の周りは坂ばかりという人力の自転車だとなかなか厳しい環境におります。
そこで、ギアを多段化すれば人生はもっとより良きものになると判断して、改造を施すことにいたしました。ただ簡単ではなさそうです。

正直、後輪だけで良いんですけど、そういう売り方をしてくれないので305ホイールを前後買います。カセットスプロケットがつくものというところが重要です。16インチホイールにボスフリーだと14-28tしか付きません。これが漕いでも漕いでも進まない自転車になってしまい何ともなりません。

中国の独身の日セールで買ったので、実際は送料込83ドルでしたが、この時点で自転車本体の価格とどっこいとなりました。しかし商品写真には写っていないチューブとタイヤまでついていたのでお得感満載でした。


カセットホイールを買ってしまったので、もうやらないわけには行きません。リアエンド幅は110mm程ですので、カセットホイールが入る130mmまで無理やり広げます。精度とかそういう面倒な事は考えません。広げるとエンドがハの字に広がりますので、これも大きなモンキーレンチなどで挟んでまっすぐに曲げてやります。アルミフレームだとこんなの無理ですけど、スチールなのでこういうことも何とかできます。それにしても本当に強度は大丈夫か?というぐらい柔らかいフレームです。


12-32tというスプロケットとそれに合うディレーラーを取り付けてみましたが、地面とのクリアランスが取れません。というかすでに地面よりも下に位置していますので、平均台の上を走るのでもない限り、単純に走行不可能です。


また違う問題も出てきました。トップ側でフレームにチェーンが干渉します。多段化ということを前提にフレームを作っていないので、仕方がありません。あと2mmぐらい逃せばなんとかなるかもしれません。とにかくここまで来て諦めるわけにはいかないのです。


16インチにはロー側28tぐらいが限界だろうということで、

RD-TY21-MB 6S ゲージ:SS 正爪 14-28T ディレーラー
CS-HG41-7 7S 11-28T スプロケット

を買い直し。6速ディレーラーで7速を無理やり引っ張ることにします。正爪ブラケットだとこれぐらいしか選択がないのですから仕方がありません。


ギリギリですが地面とのクリアランスは一応取れているようです。


特に何をしたわけではないですが、チェーンはギリギリ干渉しなくなってました。後から考えると、リアエンドがハの字になっているのをまっすぐに直したからかもしれませんが、まあよくわかりません。いずれにせよフレームが外装多段ギアをつける構造にはなっていないのは間違いないことです。
あくまでギリギリ干渉していないというだけで、状況によっては6速,7速でチェーンがフレームにわずかにかすってシャーという軽い音を刻んでくれますが、平凡なようでも人生を50年以上生きているとそういうことも起こるものだという大きな気持で、慌てず騒がず深く気にしないことにします。


オリジナルのチェーンリングをはめてみたところ、あらま!チェーンが噛んでくれません。
そういえば、もともと内装ギア用のチェーンだったものを外装8速用チェーンに交換したので、チェーンの太さが違ってきているのですね。


52Tのチェーンリングは持っていたので、5アームクランクの中古を調達してきて装着しました。近くのハードオフにはジャンク籠みたいなものがあり、無造作に自転車パーツがゴロゴロ入っていて、不思議なことに今回の改造で使える中古の自転車部品が色々入っていました。


様々な面倒事を乗り越えてやっとここまで来ました。16インチ305サイズホイールの7速化が一応終わったのでした。


地面とのクリアランスを稼ぐために1コマ分チェーンを無理やり詰めています。


オリジナルの鉄板を打ち抜いたような重たかしいチェーンリングを軽量のリングに交換したので、見た目がスリムでスッキリ。チェーンカバーも取っ払いました。フェンダーとリアキャリアも外すとスポーティな姿で実にカッコいいのですが、雨の日にも乗る実用車なので泥除けフェンダーは残しておきます。


6速ディレーラーで7速のしかも指定範囲以上のギアを引くので、ディレーラーを色々調整しても今ひとつ変速が気分良く決まりません。中間ギア(3速4速)を合わせると両端ギア(1速7速)がきれいに入らない、その逆をやると中間ギアがグズグズする、そんな感じです。どうやらキャパが足りてないようです。妥協点として、両端ギア(1速7速)からチェーンがスプロケットから脱落するのは面倒なのでこれを優先して、中間ギアはグズグズ言っていたとしても私が腹を立てるぐらいの事で、実害はそれほどないのでこっちはもう仕方がないと諦めます。スパッと入らなくてもギアをガチャガチャと上げ下げしていればそのうちに目的のギアに入るから。
要は無理に無理を重ねているので、うまく動く方がおかしいのです。しかも施工しているのは素人ときています。ここまで良く頑張ったと生暖かく見てほしいところです。



ブレーキは前後ともシングルピボットの全然効かないオモチャみたいなブレーキからデュアルピボットのものに交換して、ブレーキの効きはだいぶまともになりました。16インチの小径車でブレーキがやたら効きすぎるというのもこれまた怖いですので、ちょうどいい塩梅というところではないでしょうか。


305サイズのホイールですから、トップ11Tで頑張って漕いでも平地だと30kmぐらいでしょうか。下り坂だと37kmぐらい出ましたけど、こんないい加減な自転車で40kmも出したくはないです。調子に乗ってスピードを出していると大事故を起こしそうな雰囲気がこの自転車には漂っています。
街乗りの平地だと4,5,6速だけで間に合います。それ7速化の意味あるの?という感じですが、威力を発揮するのは登坂時ですよ。普通の坂で3速、ちょっときつい坂で2速、激坂で1速。1速だと猿回しの自転車芸みたいな感じになりますが、自転車を降りなくても坂を登れるのはありがたいです。運動部の学生がママチャリで立ち漕ぎしながら必死に登ったり、軟弱な文系学生が自転車を押して登る坂も、私はこの自転車を低いギアで高回転でペダルを回しながらも登坂していきます。これは一種感動的な姿です。
スピードを出さずに低めのギアでチンタラ漕いでいても、それがまた何だか楽しいなと思える、そんな素敵な自転車になったのでした。


同系色の革を巻いた3Dプリントのグリップがこれまたいい。


7速のシフターは数百円で新品が買えてしまうというコスパの良さ。それでいてなかなか使いやすいという文句の付け所がないものです。見た目が安っぽい?数百円の商品にそんな文句を言うのは完全に間違っていますよね。



結局、自転車整備の知識も技術もない人が力づくで改造して車体以上の金をかけて7速化というアホみたいなチャレンジが終わったのでした。
ですが金をかけた以上に満足度は高いです。この自転車でちょっとした遠出も可能になるわけで、私の人生は7速化で更により良きものになったのでした。


ウチのネコによく似たシルエットの自作サドルバッグもいい感じになっている。
気になる重量ですが、バッグ類全部つけて実測12.1kg。古い時代の自転車だし鉄フレームだし14kgぐらいあるのでは?と思いましたが意外と軽いです。

30年前のコテコテ自転車を無理やり自分で何とかして乗れるようにする、このプラグマティズム、これが私にはカッコいいあり方なのでございます、、、なんつってな。

追記

散々苦労しましたけど、このディレーラーを使えば小径車でも32Tぐらい全然行けるらしい。
このディレーラー、10速スプロケ、シフター、10速チェーンと揃えたら結構なお値段になりますけどね。

2021年12月13日月曜日

今日から俺は!ストリート系(笑)


一生懸命ペダルを踏むガチ勢にはとてもなれないけど、ドロップハンドルはカッコいいと思う。昔読んだ漫画「ギャンブルレーサー」で競輪選手が乗っていた自転車、そういう形状に憧れます。
でも「見た目だけで良いです」という軟弱エンジョイ勢に向いたそんな自転車はないだろうか?大丈夫、そういう層を上手いこと取り込んでいるメーカーが世の中には存在している。

Tern Bicycle https://ternbicycles.jp 

Ternのプロモーション動画を見ていただければわかると思う。

https://www.youtube.com/watch?v=GUNxixKBL7E

アパレル広告のビデオかと思ったよ。

オシャレな兄さん姉さんが颯爽と街中でこれまたスタイリッシュなTernの自転車に乗っている素敵な姿が動画になっている。しかもオープンカフェで自転車を壁に立てかけてコーヒーなんかも悠々と飲んでたりもする。当然テーブルの上に広げているのはWindowノートではなくMac Book。絵に描いたようなドヤ顔のリア充っぽいその姿、でもそれがまた似合っているのだ。私なんかコンビニの前で紙パックのコーヒー牛乳を飲んでいるような人間だよ?同じオープンスペースでコーヒーを飲むだけを見てもえらい違いだね。自転車もファッションの一部として売りたいというメーカーの意図がそこには見えます。

こういう自転車を「ストリート系バイク」というらしいです。おしゃれに街を流そう、という感じで、ヒルクライムなどの苦行は断固拒否します!というイメージですね。

ちなみに私はクソダサいオジサンなので、そういうおしゃれな若者とはまたぜんぜん違う層なのですが、先日Tern Rivetというストリート系のロードバイクを個人売買で入手したのでした。私がTernのようなオシャレ系自転車を乗るのはかなり不適当な気がしますが、ほぼ乗られていない新ピカ、タイヤはバリ山という状態で2万円という魅力には所詮敵うはずはありません。


どうでしょう?カッコいいというよりも美しい。ドロハンのカーブは見入ってしまうほどだ。2018年以降は新車が販売されていないようですが、新車で7万円ちょっとという価格だったようで、ガチのレーサーからしたらロードバイクの範疇に入れてもらえないルック車に近いようなものじゃないかな。「走りたいならもうちょっとまともな物を買え」という感じかもしれません。でも私はこれで充分です。
前のオーナーはほぼ乗らずに室内観賞用としていたそうです。これだけ美しいフォルムだと傷つけたくないので乗らないという選択がわかる気がします。その前オーナーはBianchiのこれまたカッコいい自転車を手に入れて、こちらはスペースの都合でなくなく処分。大丈夫、私が責任持って大切にしますよ。捨てる神あれば拾う神ありです。


650cのホイールで、50cmサイズは小柄な私にはちょうどよいです(身長168cm)。


チェーンリングはオリジナルが44tのものを52tに変えてありました。濃尾平野ではこれで良いでしょうけど、私のように家の周りが坂ばっかりの環境では辛いです。思い切って小さなものに変えてしまいます。

Rivetのフォントもいちいち洒落ている。そしてトップチューブはこのように水平であるべきです。

クラシカルなダウンチューブに装着されたシフトレバー。キラキラと輝くフォーク。


いつも頭を悩ますのは鍵だ。長時間の駐輪をしないのでゴツい鍵とかは考えなくてもいいですが、ファストフードで飯をかき込むとか、コンビニで買い物をしたりトイレを借りるなど自転車を離れる短い間、安心できる程度で良いです。鍵がついていないとやむを得ず目を離すのも気が気でないです。かと言ってゴツいチェーンキーを持ち歩くのは勘弁してもらいたいのです。

とりあえずGorinのシリンダーキーというのでしょうか、ハードオフで110円で買ってきたものをつけてみますが、当然ですがこんなのつけたらカッコ悪いです。美的感覚を疑われます。だが待たれよ、一工夫すれば良くなるかもしれない。そこでだTernのロゴを刻印した革を巻いてみます。

おお、これならなかなか悪くないですよ。


ハンドルもそのままで美しいのですが、まず1mm厚のスポンジを巻いて、余っている革を使って、Youtubeを見ながら見様見真似でバーテープを巻きました。右左のブレーキレバーが違うのは、交換するのが面倒なだけです。そのうちに直します。


このドロハンはカーブが本当に美しいと思う。革を巻いても美しさは変わらなくてよかった。


ディープリムの部分にもTernのロゴ入れてしまいました。
ただドロハンが革巻きだと、サドルが妙にバランス悪い気がしますね。そこで同じ革で革巻きサドルを加工します。


オリジナルのサドルを加工するのはやめて、今回ハードオフで880円で手に入れてきたメッシュサドルを使います。これはクッション入りのレーサーパンツ(いわゆるピチパン)を履いて乗るのが前提なのでしょうか?ジーパン履いて乗ると坐骨を直撃してしまい痛くて10分と乗っていられません。


10mm厚程のゴムスポンジをサドル形状に合わせてカットして貼り付け。


ここに革を巻きます。


革巻きハンドルとマッチして更に美しくなりました。そしてスポンジの硬さが私にピッタリ合っている。恐ろしく座り心地の良いサドルが出来上がったのでした。


ハンドルバッグとサドルバッグは8号帆布生成りを使って作りました。綿100%素材は革との相性が良いです。樹脂素材というのは新品が一番良い状態で、時がたつにつれて見窄らしくなるだけですが、革とか帆布はボロくなると味が出てくるのが大きな違いで、やっぱり何とも言えない良いものだと思います。


サドルバッグはちょっとダボッとした雰囲気で今ひとつな気がしますので、また気が向いたら作り直します。ロゴはアテナイのフクロウ(ミネルヴァのフクロウ)を拾ってきてレーザー刻印。


オリジナルも全然悪くなかったのですが、金属っぽい尖った感じがだいぶ抜けて、柔らかい雰囲気になったと思います。どうでしょう?落葉の晩秋に違和感なく溶け込んでいる気がします。
これではせっかくのTern Rivetが台無しだ!と思われる向きもあるかもしれませんが、オリジナルはどれだけカッコよくても所詮はすべて他人様が作ったもの。自分が気に入ればそれでいいです。

20年ほど前に知り合いだった人が、ブログでTern RivetとTern Ripのどちらを買うか悩みに悩んで苦渋の決断でRipの方を選んだと書かれていました。Oさん、私はRivetを手に入れましたよ。



2021年12月3日金曜日

ノグチグリップ ロングの革巻き

 日本製の安くて評判が良いノグチグリップ。これのロングの方を革巻していきます。


やっぱり不便でも革がいいです。


こっちはフラットの革を2次元展開して貼り付けてみました。
このグリップは割と無理なく2次元で展開できる形状です。稜線に合わせて端のラインを作りカットすると弱いS字のカーブが描かれ何とも美しい縫製ラインができます。このグリップは実に良い設計というか良いモデリングですね。この時点で販売されている大概の革グリップよりも良いものが出来上がりました。売っている革グリップは見た限りすべて縫製ラインは真っ直ぐで芸というものが感じられません。


フラットではちょっと芸がないと思い、パンチングのタイプを作ってみました。
穴があると滑り防止にもなるし、夏場は蒸れ防止の効果も期待できます。


フラットの展開図。


カットラインのカーブに合わせて約5mmぐらいの間隔で線を縦横に引きます。


ガイドラインの交差点にΦ1mmの穴をつけていきますと、きれいに流れるようなパンチング穴が並びます。

なかなか美しい革グリップが出来上がりました。