モデリングはまあこんな感じで、部品を選定していきます。
ハンドプレスはカム部分が肝です。偏心カムで一度試作しましたが、ハンドルを回せば回すほど力が必要になるので、カムを特殊な形状にして、最初の90度で10mmガツンと下げて、それ以上はジワリジワリと力がかかり、ストロークエンドで最大パワーがかかるように設計してみました。大体パワーが必要なのは最後の3mmで、それ以外は正直言ってパワーは必要ないです。それでいてまたある程度はストローク(上死点と下死点の距離)がないと使いにくいので、ストロークは16mmの設計です。
また逆回しは出来ないようにしてあります。
削り出しは実に金がかかります。
回転軸を入れてガタついてはいけないし、圧入するほどキツキツだと回らないし、難しいところです。公差というのはなかなか難しいです。
鉄板の底板だけでは少々小さいので、木材の台を削って嵌め込む事にします。
フレームの位置決めはなかなか難しいので、型紙をレーザーカットして鉄板に貼りつけます。
これならフレームの位置が一目瞭然。所定の位置にフレームを決められます。
最初に溶接の点付けをする場所は、あらかじめ切り欠いてあるという、これまた驚くべき用意周到さです。CADで設計をすると「大体これぐらいでいいや」という現場合わせがほとんどなくなります。
溶接は私のような素人がやってはいけません。27年前から知っている溶接屋さんに頼みます。
大ハンマーでぶっ叩いても大丈夫そうな頼もしい溶接です。私の溶接とは大違いです。
底板は6面フライスで面出し、金がかかるなぁ。製品では圧板も6面フライスでやります。
ハンドルはφ20の丸棒に旋盤でねじを切って接合します。まあこれぐらいでしたらまず曲がるなんてことはありませんけど、カーボンスチールですので、焼きを入れることも出来ます。
もっと細い丸棒でも充分ですけど、ビジュアル的に頼もしいというのも重要です。
ブラケットにカムをはめます。スペーサーが噛んでいるのは、カムの設計を変えて軸の長さが足りなくなってしまったからです。試作だから仕方がありません。製品できちんとやれば良いのです。
まだ塗装をしていないので汚いですが、試作と言うことで。
またこの2本のバネがなかなか重要な部分で、これがハンドルのダラ下がりというか自然落下を防ぐと共に、圧板の回転防止の役割も担っております。それでね、このバネの選定ってのもなかなか苦労します。大体どれぐらいの強度があるバネを選んだら良いのかなんて、設計時にはさっぱりわかりません(私の経験値が低いためです)。同じサイズで最強のものと最弱のもの、その中間のものを取り寄せてみて、合わせてみるとどれも合わないのです。それから中間から最強のバネの間にあるタイプを選定して合わせて、という数打つ方式で、一体どれだけバネ買ったんだよ?という感じです。
後半でカットしているこの形状は、刃型を使っている方はお分かりいただけると思いますが、なかなかパワーが要る形状なのです。革の厚みは3mmほど。設計がもう後一歩という状態なので、かなり力を入れていますけど、をもう少し詰めれば、もうちょっと軽くパコーンといけるようになります。
似たような形状の〇〇製よりも2倍以上パワーが出ています。
設計「俺」のハンドクリッカープレス、試作機でした。