腕ミシン(シリンダーベッド・ミシン)を持っていなかったのか?と驚かれるかもしれませんが、ウチは袋物を作らないので、平台ミシン(フラットベッド・ミシン)だけで困ることは無かったのです。
ヤクモという今は無きメーカー(JUKIに吸収されたみたいです)。30年ぐらい前に製造されたものなのでしょうか、よくわかりませんが、かなり年季が入っております。
この時代の日本製品は、何と言いましょうか、やたら丈夫です。丈夫すぎて買い替え需要が起こらず、しかも故障もしないのでメンテ費用も取れず、メーカーが潰れてしまうという、そういう時代でした。メーカーがクソ真面目にものつくりをやりすぎていたわけです。
しかも電気仕掛けのミシンではありませんので、またこれが丈夫なんです。
電気仕掛けではないミシンと言いましたけど、ミシンはモーターで動かします。じゃあ電気仕掛けだろ?と思われるかもしれませんが、違います。モーターとミシン本体は動力伝達をするプーリーで繋がっているだけです。ミシン本体は完全なる機械仕掛けです。
これまた年季が入ったクラッチモーターがついておりますが、サーボモーター(コンピューター制御のモーター)を積んだミシンを普段使っている人間は、もうクラッチモーターを積んだミシンでは仕事が出来ません。一針一針進めていくような細かい仕事はまず無理です。
それだけモーターが進化したと言えますし、それだけ職人がナマクラになったとも言えます。
サーボモーターは機能も立派ですが値段も立派で、10万円の出費は見積もっておかないといけません。たかがミシンに積むモーターが、中古ミシン本体と同じ代金ぐらいというのが、何とも納得しにくい話です。
とは言っても、サーボモーターで10万円の出費をしたとしても、商品を一発当てれば数千万円になるんですから10万円ぐらい誤差の範囲とも言えます。あくまで商品を一発当てればの話ですが。
とは言っても、サーボモーターで10万円の出費をしたとしても、商品を一発当てれば数千万円になるんですから10万円ぐらい誤差の範囲とも言えます。あくまで商品を一発当てればの話ですが。
定規がついております。
縫う物の端をこの定規にあわせてミシンを踏んでいくと、縫い目がピシッと揃う、そういう役割のものです。
定規が必要ないときはすぐに跳ね上げられるようになっております。
ご丁寧なことに、2つも定規がついております。
定規を逃がした状態です。どうして2つも定規をつけていたのでしょうか。おそらく縫う素材や目的によって使い分けるのでしょう。なんだかんだで知らないことばかりです。
しかも替え定規が2本も入っております。先が広いものと狭いもの。
昔の職人さんは色々な小道具を持っているものですね。
倍釜です。普通釜はあまり下糸が巻けませんので、ボビン交換が少なくてすむ倍釜は有り難いです。
送りと押さえも違う形をしたものが数種類入っております。こんなものすべて同じ形状だと思っておりました。
針やらボビンやら、ボビンケース。
前のオーナーの職人さんはドイツ製のシュメッツの針を愛用していたようですね。恐らくシュメッツの針に合わせて調整してあるのだと思います。私は日本製のオルガン針を愛用しております。
案外知られていないのですが、同じDP17という針規格でも、驚くべき事にシュメッツとオルガンでは長さが1mmぐらい違うんです(シュメッツが短い)。オルガン針に合わせて調整してあるミシンにシュメッツ針をつけると、糸飛びが増えたりすることがあります。逆だと針が釜に干渉して針が折れたり曲がったりすることがあるかもしれません。これは由々しき問題だと思うのですが、誰も文句は言わないようです。
ここで私は言いたいです。「シュメッツもオルガンも同じ規格の針ならきちんと長さを揃えろ」
針とボビンは安いんですが、倍釜のボビンケースが高くて1個3000円ぐらいするんです。
ボビンケースは、下糸の番手によってテンションを変えたものを数個用意しておくものですから、一度に数個買おうと思うと結構痛い出費です。
今回2つ中古と2つ新品のボビンケースが入っておりました。ラッキーです。
ちなみに、ボビンケースのテンション・スプリング(下糸のテンションを調節する平バネ)がヘタってもボビンケースは捨ててはなりません。テンション・スプリング(平バネ)は1個200円ぐらいで入手可能です。ボビンケースで壊れるところはこの平バネぐらいです。
まあそんなわけで、何はともあれサーボモーターの手配です。