2023年12月25日月曜日

材料がなくなり、早めの正月休みを取らせていただきます。

 年末はいつも通り12月30日ぐらいまでやろうと思っていたのですが、困ったことにブラックシュリンクの革材料がなくなってしまいまして、やむなく早めの正月休みを取らせていただきます。

今、当店では定番として使っているブラックシュリンクの革ですが、予想していたよりも消費が激しく、11月終わり頃に再注文をしたのですがまだ納品されてこないです。

革というのはオーダーをすると一ヶ月ぐらいはかかるのですが、年末でもあり時間はかかります。

革のオーダーというのは、実は想像されるよりは難しく面倒です。

1.元となる下地の革があり、それの在庫があるか?から始まります。クロム革の下地ではなくヌメの下地でないと当店では使えません。

2.その革にエンボス型を押してシボをつけます。これをきちんと指示しないと浅いシボになりカメラ用の革には使えません。とにかくしつこく「可能な限りの深シボで押してください」と指示する必要があります。

3.シボをつけた革に染色をします。ここできちんとつや消しと指示しないと、大概テラテラに光沢がある革が出来上がってきます。基本的に光沢ありなのが色付みたいで、しつこく「つや消し」を指示する必要があります。

4.最後に革漉きですが、とにかくギリギリまで薄く漉いてと指示しないと、カメラ用に使えない厚みの革が仕上がってきます。漉き屋さんは薄くすると革に穴が開いてしまいかねないのであまり薄くしたがりません。それを「ところどころ穴が空いてもいいからギリ薄くお願いします」とこれもしつこく指示をしないといけません。

これだけしつこく指示していると鬱陶しがられますが、これを省くと使えない革が納品されてきます。実際何回も使えない革が来たことがあります。

このように革のオーダーはかなりハードルが高いです。この一連の作業はすべて別の業者なので話は面倒になります。当然ですけど、1枚2枚ではやってくれません。牛だと半頭分10枚分(牛5頭)が1オーダー単位になるのですが、全部失敗してとか指示したものとは違うものが納品されてきたときは愕然とします。結構賭博性が高いと言っても良いでしょう。

私がこの一連の業者さんのところに行って指示をするわけではなく、窓口となる革問屋さんというのがありますので、その革問屋さんといい関係を築いていないとうまくいきません。革問屋さんが私の意図をしっかり理解していて、きちんと業者さんに伝えられるか、それが鍵になります。

どんな職業・業種でも様々な表に出ない苦労があると思いますが、ウチもこのように苦労があります。