2016年11月18日金曜日

刃型のベンディングマシン また売れたのでした



8月に1台売れて、9月にまたどこか刃型屋さんが廃業されて、ベンディングマシンを1台引き取ってきたわけですが、本日それがまた売れました。

刃型屋、抜き型屋でもない人、もしくは刃型を作ったことがない人が、一体全体なぜこういうものを買うのか?と疑問に思われる方がいらっしゃると思います。話はちょっと長くなりますが、説明をさせていただきましょう。

革製品を作っていて、それがそこそこ売れてきたりすると、大概の場合は刃型・抜き型を導入するわけです。売れてきても刃型を導入せず、革包丁で頑張ってカットしていたりすると、実際のところ仕事が間に合わないのです。それでも手作りにこだわりたいから、カットは革包丁で頑張る、という人も中にはいらっしゃいますけど、結局それですと数千万円から、もしかして数億円を稼ぎ損なってしまいます。いわゆる機会損失というやつです。まあ普通の人間は数千万円とか数億円稼ぎ損なうなどと言うことは到底我慢が出来ませんので、(手動、油圧問わず)裁断機(クリッカー)を購入して、一気に生産力を上げていくという事になります。

そして、刃型・抜き型を導入すると、革包丁でカットという方法にはまず戻れません。何と言っても効率が10倍、20倍アップどころの騒ぎではなく爆発的に上がり、しかもカットは何千個カットしても寸分違わず同じ形状で、カット面も惚れ惚れとするほど美しいですから、もう手を使って小汚いカットなど馬鹿馬鹿しくてやってられない、それが人間ってものです。30分、1時間とかけてチマチマとやっていたようなクソ面倒くさいカット作業が、何とワンクリック、時間にして一瞬で完了。楽な方法を知ったら、面倒くさい方法には絶対に戻れないのです。

そうなると、刃型が増えます。利益が上がっているから刃型・抜き型の代金など気になりません。冗談ではなく恐るべき勢いで刃型・抜き型が増えます。ただ発注している刃型・抜き型の中には、簡単な長方形とか、円形とかの刃型、精度の必要のない荒型にまでそれなりの金を払うのはちょっと疑問だな、とか思ってくるわけです。刃型・抜き型屋さんに「精度は適当で良いから安くしてくれ」と言っても、大概安くはなりません。
そこでだ、もしかして精度が必要でないものは自分で曲げても適当なものが出来るのではないか?とか、ちょっと頭の回る人間は考え始めるわけですよ。何と言っても精度が必要ないものなのですから、ちょっとぐらいいい加減なものでも充分実用に足るのです。

例えば本裁ちする前に2枚貼り合わせをするような時に、本裁ち刃型より一回り大きめのものをカットする場合、その一回り大きめのものをカットするための刃型がやはり欲しいですが、これを本裁ち刃型並に金をかけるのは、どうしても嫌だというのが人情で、かといって荒裁ち刃型をケチると仕事の効率が悪くなるという、大きなジレンマとなります。

そういう荒裁ち刃型や簡単な刃型を自分で作ってやろうじゃないか、今の仕事量だとベンディングマシンの初期投資20-30万円ぐらいならすぐに元が引けるはずだ、しかも新しい事を覚えるのは実にチャレンジ精神を刺激し、何と言っても刃型・抜き型を自分で作れるなんて実に楽しそうだし、仕事と人間の幅も広がるに違いないと、私はそう考えて6,7年前にベンディングマシンを導入しました。かなり狭い世界の話で、一般の方からしたら珍しい事かも知れませんが、この世の中で同じ事を考えるのは決して私だけではない、そういうことです。今回購入された方も、まったく同じ考えです。荒型さえ自分で作れれば、初期投資回収などそれほど時間はかからない、と仰ってました。



どうやって刃型・抜き型を曲げるのか?とかプロに聞きに行っても、教えてもらえるわけがありませんが、私は基本的な刃型・抜き型の曲げ方をビデオに撮ってありますので、私から買えばそれを使ってレクチャーしてもらえます。先日購入された方は、すでにプロ並みの出来映えの立派な刃型をすでに作られております。すでに私よりも上手いです。

まあ、そんなわけで、今回も売れてしまったのですが、また仕入れておきますので、刃型・抜き型を自分で曲げてやろうじゃないかというチャレンジ精神が旺盛な方は、いつでも私にお問い合わせください。



さて、また油汚れ落としで2,3日セスキ炭酸ソーダ水にどぶ漬けしておきます。そこから錆落としとグリスアップ。



テーブルはツーバイフォーでというご指定なので、モデリングして、寸法出しいたします。



ツーバイフォーのカットはこれで良いはず。6フィート6本で収まる計算です。